充電のタイミングを探し、身につけ続ける

スマートウォッチを手に入れたら試してみたいことはいくつもあるだろうが、まずは「1日中スマートウォッチをつけ続ける」ことに挑戦してみよう。一般的な腕時計と異なり、スマートウォッチは寝ている時間も含めて1日中身につける。身につけ続けることでバイタルデータを取り続けることができ、そこから得られるデータが大切なのだ。

スマートウォッチはスマートフォンのように定期的に充電する必要もある。充電頻度はデバイスによって異なる。月に1回、週に1回、日に1回など。なるべく長く身につけておきたいので、生活の中で最短で充電できるタイミングを探そう。そのいい例が入浴中だ。デバイスにもよるが、スポーツタイプのスマートウォッチなら入浴中にフル充電が可能だと思う。常にバッテリーに余裕がある状態にしておくと、充電を忘れてしまってもバイタルデータを取り続けることができる。

ここが出発点、自分の消費カロリーを知ろう

健康的な身体を維持するポイントのひとつは適度な運動を生活に取り込むことだ。それにはまず、現在の自分がどの程度活動しているのかを知る必要がある。

除脂肪や健康増進を目的とした書籍などでは、年齢、体格や体重、性別、仕事の種類、週の運動時間などをとっかかりにして1日に必要となるエネルギー(カロリー)の参考値を算出することが多い。エネルギー消費は基礎代謝、生活活動代謝、食事誘発性熱産生などの消費活動によってもたらされる。これを細かく計算することは面倒なので、最初から表になっているデータから該当するものを選んで参考値とすることが多いようだ。

しかし、その値はあくまで参考値だ。生活活動代謝は1週間でも大きく変わる。出社退社のある日、テレワークの日、何もしない週末、買い物に出る週末など、生活活動代謝は一定ではない。先程の参考値はあくまで参考値で、自分の実際のエネルギー消費ではないのだ。

スマートウォッチはこの手間がかからない点がよい。身につけ続けていれば、1日の消費カロリーは自動的に算出してくれる。そして日による違いもすべて計測してくれる。自分の実際のエネルギー消費を知ることができる。

例えば、次のスクリーンショットはほとんど活動していない日の計測データだ(Polar Vantage V2で計測。Polar Flowアプリでデータを閲覧しているところ)。テレワークを行っており、ほとんど外出していない日だ。

  • ほとんど動いていない日の計測データ

    ほとんど動いていない日の計測データ

  • ほとんど動いていない日の計測データ

    ほとんど動いていない日の計測データ

4000歩も歩いておらず、消費カロリーも2300kcal強といったところだ。自分の場合、エネルギー消費としてはこの辺りが最小値ということになる。

次のスクリーンショットは、比較的アクティブに活動していた日の計測データだ。日中はほぼ歩き回り、夕方にストレッチを行っている。自分の場合、故障しない範囲でアクティブに動くとこの辺りが上限になってくる。ほぼ外回りで仕事が終わる日であったり、1日中立ち仕事で体を動かしていたりすると、これと似たようなデータになってくる。

  • アクティブに活動していた日の計測データ

    アクティブに活動していた日の計測データ

  • アクティブに活動していた日の計測データ

    アクティブに活動していた日の計測データ

上記では4万歩弱ほど歩いており、消費カロリーが4200kcal強といった感じになっている。

このように、実際には日によって消費カロリーは変わってくる。生活活動代謝は活動によって大きく変動するのだ。スマートウォッチをつけ続けていると、このように実際に使われたエネルギーと近い値を記録しておくことができ、自分の平均的なエネルギー消費量を知ることができる。まずは、ここから始めよう。

データがたまってくると、次のスクリーンショットのように月単位でデータの比較ができるようになる。次のスクリーンショットはPolarのクラウドサービスである「Polar Flow」のものだ。2020年11月と2020年12月のデータを掲載してある。

  • 2020年11月の計測データ

    2020年11月の計測データ

  • 2020年12月の計測データ

    2020年12月の計測データ

データを分析して使うとなると、スマホアプリよりもPCのWebブラウザからアクセスしたほうが便利だ。

上記のデータを整理すると、2020年11月は1日の消費カロリー平均が3170kcalくらいで、2020年12月の1日の消費カロリー平均が3330kcalくらいになっている。体力(VO2max)の向上と除脂肪が停滞していたので、生活設計を見直して運動量を増やしてみた結果だ。

平均の消費カロリーを知り、生活設計の基盤とする

最初からいろいろやろうとしても長続きしないものだ。まずはスマートウォッチをつけ続けて、バイタルデータを収集してほしい。1カ月、2カ月ほど継続して、月単位で1日の消費カロリーを計算してみよう。自分がどの程度アクティブに活動しているのかを認識することが大切だ。最初は収集されるデータをアプリやWebでチェックするだけでも楽しいんじゃないかと思う。

例えば、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によると、30歳~49歳の男性(体重68.1kg)の基礎代謝量は1530kcalとされている。1日の活動に必要になるエネルギーは基礎代謝約60%、生活活動代謝約30%、食事誘発性熱産生が約10%くらいと考えられている。この割合に従えば、単純計算で30歳~49歳の男性(体重68.1kg)の1日の消費エネルギー目処は2550kcalということになる。これより少なければ身体活動レベルが平均より低く、これより高ければ身体活動レベルが平均よりも高いということになる。だいたい除脂肪や健康増進系の書籍に掲載されている活動レベルの指標と同じくらいだ。

自分の消費カロリーを計測したら、それが身体活動レベルとして「平均」なのか「低い」のか「高い」のかを知ろう。「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」の74ページに掲載されている「表5 参照体重における基礎代謝量」の値をベースに計算すれば、ある程度の比較ができるだろう。ここを出発点として、生活にどうやって消費カロリーを上げる運動を取り込んでいくのかを設計していくのだ。まずは自分の現状を知る、これが大切だ。