買い替えタイミングとバッテリ劣化

スマートウォッチの買い替えのタイミングはバッテリの劣化が目安になることが多い。スマートウォッチは常に身につけて使い続けることに意味があるデバイスなので、充電してもすぐにバッテリが切れるようになってくると使い勝手が悪くなる。

スマートウォッチは基本的にバッテリ交換を行わないが、バッテリ交換サービスを提供しているベンダーもある。ただし、その価格は安くなく、この値段を支払うなら買い替えた方がよいのではといえるものが多い。

劣化したリチウムイオン電池は膨れ上がってきて危険なことも多いので、ある程度古くなってきたら買い替えるなりバッテリを交換するなり、対応は必要だ。

買い替えタイミングと性能劣化

スマートウォッチを操作するにあたって必要となる操作速度は満たされつつある。1年ごとに新しいモデルに買い替えたとしても、大きな性能の差を感じることは難しい状態になってきている。

もともと、スマートウォッチのフラッグシップモデルは3年や4年といったスパンで公開されることが多い。毎年のように新しいモデルがリリースされているように見えるが、実際にはフラッグシップモデルから機能が抜かれたものだったり、コンセプトに合わせてカスタマイズしたものだったり、根幹となる部分は1~2年ではほとんど変わらない。搭載されるセンサーに大きな変化もなく、抜本的な性能が引き上がるのは数年に1回といったペースだ。

常に最新の機能を使いたいなら、フラッグシップモデルの新製品がリリースされる3~4年周期での買い替えが目安になる。この頃には、バッテリーの持ちもだいぶ悪くなってくるので買い替えにはよいタイミングだ。

フラッグシップモデルと新旧製品の比較

性能にあまりこだわりがないのであれば、フラッグシップモデルや1つ前のモデルと比較してどの程度の性能があるスマートウォッチなのか確認してから購入を検討するとよいと思う。

多くのモデルはフラッグシップモデルから機能を差し引いたモデルが提供されており、別の方向にカスタマイズすることはあってもフラッグシップモデルにさらに機能を追加して出すというケースは少ない。

比較検討して1つ前のモデルも2つ前のモデルもそれほど性能に差がないのであれば、古いモデルを選ぶというのも選択肢に入ってくる。古いモデルほどディスカウントされていることがあるし、以前のモデルのデザインの方が好みならそちらを選ぶのも悪くない。

スマートウォッチはさまざまな種類があるが、本連載では提供されている機能の多さからスポーツタイプのスマートウォッチをお薦めしている。

今回はちょうど新年度を迎えた時期でもあるので、スポーツ向けのスマートウォッチを提供している代表的なメーカーから比較的最近発表された新しい人気モデルまたは特徴的なモデルを取り上げ、フラッグシップモデルとの差などを取り上げる。購入時の参考にしてもらえれば幸いだ。

Apple Watch Series 8

iPhoneユーザーが世界的に見てもかなり多い日本では、Appleの提供するスマートウォッチである「Apple Watch」は知名度が高い。そのApple Watchの最新モデルで最もスタンダードとなるのが「Apple Watch Series 8」だ。

  • Apple Watch Series 8

    Apple Watch Series 8

モデル Apple Watch Series 8
サイズ 41mmまたは45mmケース
ディスプレイ LTPO OLED常時表示Retinaディスプレイ、最大1,000ニト
ベゼル Ion-Xガラスディスプレイ(アルミニウムケース)、サファイアクリスタルディスプレイ(ステンレススチールケース)
プロセッサ S8 SiP (64ビットデュアルコアプロセッサ搭載)、W3ワイヤレスチップ、U1チップ(超広帯域)
センサー 皮膚温センサー、血中酸素ウェルネスセンサー、電気心拍センサー、第3世代光学式心拍センサー
耐水性 50メートル耐水性能
防塵性 IP6X等級
通信機能 LTE、UMTS17、Wi-Fi、Bluetooth 5.3
位置計測機能 GPS/GNSS、コンパス、常時計測高度計

1つ前のモデルとなる「Apple Watch Series 7」とApple Watch Series 8には搭載されているプロセッサが「S7 SiP」と「S8 SiP」のように異なっているが、実際にこのプロセッサは同じ仕様のものだと言われている。さらにひとつ前の「S6 SiP」も同じ仕様だと指摘されているので、Apple WatchはSeries 6からSeries 8まで同じプロセッサを搭載していることになる。

これはスマートウォッチ業界では珍しいことではない。スマートウォッチは3年や4年といった周期で次の世代のプロダクトを出荷する傾向があるため、3年間同じ仕様のプロセッサを搭載しているのはよくあることだ。

Appleは年に1回新しいApple Watchを発表するため中身が刷新しているような印象を受けるが、実際に使われているチップやセンサーは1年で大きく変わったりすることはない。

Apple Watch Series 8におけるApple Watch Series 7に対する大きな違いは、センサーとして「皮膚温センサー」が追加された点ではないかと思う。

性能に大きな差は見られないので、Apple Watch Series 6~Apple Watch Series 8は価格やデザインをベースに選んでもよいと思う。ただし、新しいモデルでしか使えない機能もあるので、使いたい機能がある場合にはその機能が対象となるシリーズで提供されているか確認しておく必要がある。