企業価値を高める土台は言うまでもなく人材。そして人材の価値を高めるのは教育だ。ビジネスの成長に向け、多くの企業がより効果的な教育の実現に頭を悩ませていることだろう。グループ全体で約1万人※の従業員を抱えるマイナビでも、人材育成の強化を目指して全社学習基盤の刷新に乗り出し、ユームテクノロジージャパンが提供するAI活用学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」を採用、2025年に本格稼働を開始した。その取り組みの詳細と成果、そして未来に迫る。
※2024年12月現在
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左から、株式会社マイナビ 人事企画本部 安藤 陽一郎、人事企画本部 田中 裕樹、
デジタルテクノロジー戦略本部 野久保 水織、デジタルテクノロジー戦略本部 碓氷 裕紀
旧プラットフォームが抱えていた運用上の課題
マイナビでは以前から、eラーニングで実施する全社向け必須研修を中心に学習プラットフォームを採用していた。同社のシステム部門であるデジタルテクノロジー戦略本部で社内システムの導入、運用保守、ユーザーサポート等を担う野久保水織が、利用状況についてこう振り返る。
「コンプライアンスや情報セキュリティなど、コーポレート部門が主体となって全社向けに実施する研修で、あるプラットフォームを利用していました。ただ、学習管理者が学習コンテンツを作成して受講へ導くまでに学習管理者だけでは完結せず、システム管理者の作業が必要となることが多く、さらに学習コンテンツのアップロードは1日3回まででファイルの種類も限られ、動画はアップロードできませんでした。アップロード時もカスタマーサポートに解決を依頼しなければならないようなエラーがしばしば起こり、受講スタートまでに時間がかかるという問題もありました」(野久保)

株式会社マイナビ
デジタルテクノロジー戦略本部
碓氷 裕紀
野久保の上司に当たる碓氷裕紀は、こんな課題も指摘する。 「旧プラットフォームはUIが若干古いデザインで、従業員からは学習する気力が起きないといった声が出ていました。また、強制的に受講させられているようだとの声もあり、自発的に学ぼうという環境をうまく醸成できていませんでした」(碓氷)
同本部はここ数年、レガシーの旧システムを最新トレンドに合わせた新システムに刷新し、ICTを同社の成長により活かしていく施策を積極推進している。効果的な教育に基づく人材育成は自社の未来に向けて重要なテーマ。旧プラットフォームで発生していた様々な課題を受け、より自発的に学習したくなる環境整備の必要性を強く感じて、同本部ではリプレースの検討を始めた。
学習システムを独自導入していた部門との統合も視野に
全社的な教育環境の醸成という視点では、次のような課題もあったという。
「コーポレート部門が行う全社研修はあくまで必須のものに限られ、充実しているとまではいえない状況でした。そこで研修に力を入れたい事業部では個々に別のシステムを導入し、スキルアップに向けた任意参加型研修を行っていましたし、人事からもまた別のシステムで任意参加型研修が展開されていました。これでは研修を提供する各主体にシステム管理者がいることになり、全社を俯瞰した統合的な管理運用は難しいです」(野久保)

株式会社マイナビ
人事企画本部
安藤 陽一郎
人事企画本部で人材育成に携わる安藤陽一郎が、各事業部と人事部門の任意参加型研修について整理して解説する。 「各事業部が独自で提供する学習や研修は、例えば営業ノウハウなど各部門に特化した教育を目的としたもの。それに対して人事が提供するのはロジカルシンキング、マーケティング、経営戦略といった、部門を問わず必要な汎用的スキルを学べる全社共通の研修です。人事ではこの研修を、あるタレントマネジメントシステムに付帯するLMS(学習管理システム)で展開していました」(安藤)
一方、各事業部が以前から活用していた学習プラットフォームが、UMUだった。
UMUは最新の科学的知見とAI技術により、効果的学習をサポートするプラットフォーム。その機能は、AIを駆使したコンテンツでスキルを的確に身につけられるものだけではない。自発的な学びを促す工夫を取り入れた豊富な学習機能や、レイヤーごとの研修や履修履歴が一元管理できる効率的な学習管理機能、複雑なシステム設定を介さずに学習コンテンツを手間なく作成できる機能などが大きな特徴となっている。また、旧プラットフォームで碓氷が示していたUI面の懸念に関しても、UMUはわかりやすく親しみやすいUIを採用しており、“学ぶ環境”の醸成に適したプラットフォームといえる。マイナビでは2020年にある事業部が導入して以降、計5事業部に活用が広がっていた。
「全社向け必須研修プラットフォームのリプレースにあたっては、できればそれまで各事業部で個別に使っていたプラットフォームとも統合したいとの思いがありました」と野久保。たしかに、学びのプラットフォームが分散した状況はユーザー目線から望ましいとは言い難い。デジタルテクノロジー戦略本部がすでに5つの事業部で使われていたUMUをリプレース先の検討対象としたのは、いわば自然な流れといえるだろう。リプレース先選定にあたっては、この分散解消と単一システムへの統合が大きなポイントになった。
リプレース先にUMUを選定し、1年かけて導入を進める

株式会社マイナビ
デジタルテクノロジー戦略本部
野久保 水織
リプレースを検討開始した当初は他のプラットフォームに各事業部個別のUMUを移行する案もあったようだが、「UMUは他プラットフォームと比較して機能が充実していますし、各事業部からもUMUを他に移行するのは難しそうとの声が出てきたため、UMUにリプレースして各事業部アカウントも統合する形がいいという結論になりました」と野久保は振り返る。
UMUを選んだ理由としては、この統合に加えて、AIロープレなどAIを活用した機能が豊富である点や回数を気にせず動画をアップロードできる点、学習コンテンツを効率的に作成・公開できる点、UIが感覚的にわかりやすい点がある。加えて、受講対象者の学習状況を可視化できる学習管理面の機能を評価する声もあったという。経営層からも、今後の共通の学習基盤としてUMUを評価する声が聞こえてきたことから、決定まではスムーズに進んだ。
そして2023年末、旧プラットフォームからUMUへのリプレースプロジェクトが、碓氷をプロジェクトマネージャー、野久保をプロジェクトリーダーとする体制でスタートした。導入プロセスでは、まずUMUを使った経験のない碓氷と野久保自身がUMUを理解するところから開始。ユームテクノロジージャパン担当者のサポートにより知見を蓄積していった。並行して、旧プラットフォームの学習管理者にUMUへの移行と新たな運用について伝達。また、UMUをすでに導入している各事業部にも統合で得られる利点を伝え、理解を促すなど、社内調整を進めていった。
「統合することで、これまで各事業部が手動で行ってきたアカウント管理が自動化されることや、部署を異動しても学習履歴情報を共有・引き継ぎできることなどを説明し、メリットを感じてもらいました」と野久保。こうした社内調整を、もともと各事業部とつながりを持っていたユームテクノロジージャパン担当者のサポートを得ながら、2024年中盤まで半年程度かけ実施していった。
その間、2024年2月には人事企画本部にもプロジェクト参加を要請している。
「全社共通新プラットフォームでの教育を促進していくにあたり、人材育成を主導する人事もプロジェクトに入ったほうがいいのではとの提案をデジタルテクノロジー戦略本部からもらい、以降は話し合いながら共に導入を進めていきました」(安藤)
人事企画本部もUMU使用経験がなかったため理解から深め、そのうえでプラットフォーム切り替えをイントラサイト等で社内周知する取り組みを進めていったという。「人事としては、いつでも、どこでも、誰でも学べる環境をつくるという思いを大切にしながら、UMUを使えば社員はそれが実現できるという世界観を広めていくことに注力しました」と安藤は回顧する。
表れた成果とAI活用の可能性、そして学習風土醸成への期待
UMUがマイナビの全社学習基盤として本格稼働を始めたのは2025年1月のこと。そこから半年程度だが、成果はすでに見えてきたという。
「学習コンテンツの数がかなり増え、学習管理者になりたいと希望する社員も増加傾向にあります。また学習コンテンツ作成時間も削減され、効率的に学習コンテンツの展開ができるようになりました。そのほか、利用者の満足度も高まっています」(碓氷)
こうした成果は数字にも表れている。旧プラットフォーム時代、新たな学習コンテンツは月に4.3件程度公開されていたところ、UMUに切り替えて最初の3カ月で計23件と大幅増。学習管理者の希望も従来の月3件から月38件となっている。学習コンテンツの作成時間については、旧プラットフォームで同様の数のコンテンツを作成していた場合と比較すると175時間程度減らせたとのことだ。「多少の問題が起きても学習管理者だけで解決できるようになり、管理が楽になった感覚があります」と野久保は評価する。

株式会社マイナビ
人事企画本部
田中 裕樹
一方の人事企画本部としては、ポータブルスキルの強化に関する施策を担う田中裕樹が、現時点での定量評価は難しいと前置きしつつも“手応え”を教えてくれた。
「当本部でも2025年4月から任意参加型研修の展開をUMUに移行したことで、従来手動で行っていた学習対象者の管理などが自動化され、研修の運営に関する工数削減は明確に効果が出ています。ただ、これはまだまだ入り口。いつでも、どこでも、誰でも学べる環境を実現するベースがUMU移行により整えられた段階であって、今後実際にその取り組みを進めていくところです」(田中)
田中も、UMUへの移行で学習コンテンツ提供のハードルが下がり、積極的に公開しようという温度感が高まっていると明かす。そのうえで、今後はより質の高い学習コンテンツを揃えていく段階に入るとして、UMU活用を促すコンテンツ作成も近々に予定しているとのこと。そうした取り組みを地道に広げ、「必要な情報にリーチしやすく、画一的でない多様な学習コンテンツを自発的に提供できるUMUの活用を、長い目で見て会社の学習風土醸成につなげたい」と力強く語った。
UMUの大きな特徴であるAI機能の全社的な活用はまだこれからのようだが、田中はすでに営業部門で成果が出た例を紹介してくれた。
「従来は上長が対応してフィードバックしていたロールプレイングをAI機能で行ったり、営業に必要なワードをきちんと出しているかAIでチェックしたり、といった活用が行われています」(田中)
碓氷は、「UMUは利用者同士でのコミュニケーション機能も充実しているため、学習コンテンツについて自分が追加で学んだことや気付きをコメントするなどしてボトムアップで学びが広がっていけるとよいです」と今後に向けた意気込みを語る。UMUをベースに、システム部門、人事部門、事業部門、そして受講者がノウハウを共有しながら協力し、そこにユームテクノロジージャパンのサポートも加わることで、より良い学習環境がデザインされていくだろう。
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