年間約2万トンが廃棄されるバルク
化粧品業界とSDGs。そう聞くと「化粧品の容器」を思い浮かべる人は多いだろう。石油由来の樹脂に比べて70%近くのCO2を削減できるとされるバイオマス樹脂や、飲料用プラスチックボトルを100%リサイクルして生まれる再生PET樹脂を使ったものなど、サステナブルな容器は続々と登場している。→過去の「SDGsビジネスに挑む起業家たち」の回はこちらを参照。
一方で、サステナビリティというテーマとは対照的に、大量に廃棄されるものの1つが「化粧品バルク(以下、バルク)」と呼ばれる、化粧品容器に小分け充填する前の中身である。化粧品メーカーでは商品を研究開発する際、幾通りもの色味を試作する。
サンプルの中には商品化されないバルクも数多くある。それらは化粧品として使えるにも関わらず、世に出ることなく捨てられる運命だ。後述するモーンガータの独自調査によると、生産過程などで化粧品メーカーから出るバルクの廃棄量は、国内上位5社だけで年間約2万トンもあるという。
そんな中、捨てられることが業界の常識だったバルクを再利用する、新しい取り組みが注目を集めている。凸版印刷とモーンガータが開発し、東洋インキが協業して製造したインキ「ecosme ink(エコスメインキ)」である。
ecosme inkを使って販促物や資材、パッケージの印刷に活用するアップサイクルを行い、化粧品メーカーのSDGsの取り組みを支援することが10月25日に発表された。