今回のSC13では、Colorado Convention Centerの2階のフロアが展示会場にあてられ、企業、大学、研究所など、あわせて350のブースが設けられた。

開発途上の技術展示

SCでは毎回、まだ実用になっていないが、将来が期待されるテクノロジの展示コーナーが設けられる。今回、展示された中から、3つを紹介する。第1は、MicronのAutomataプロセサで、パターンマッチを超高速で行う非ノイマン型のプロセサである。このAutomataについては別の記事で詳しく紹介しているので、詳細は、そちらを参照していただきたい

Micronの超高速サーチ用の非ノイマンプロセサ「Automata」

スマホ用プロセサを並べてスパコンを作る「Mont Blancプロジェクト」

Stanford大のカーボンナノチューブLSI

第2は、ECで進められているMont Blancプロジェクトの展示である。次世代のエネルギー効率の高いスパコンを作るというプロジェクトで、SamsungのExynos 5 Dualプロセサを計算ノードとして使う。7Uのシャーシに、計算ノードを15ノード搭載したブレードを9枚収容して、 全体で135ノードで、Cortex-A15を270コア、Mali-T604 GPUを135コアと540GBのDRAMメモリを詰め込んでいる。

第3は、Stanford大のカーボンナノチューブLSIである。カーボンナノチューブはシリコンより高性能のトランジスタを作れると期待されているが、半導体のナノチューブだけでなく、金属のナノチューブができたり、意図した方向以外のナノチューブができたりして、回路がショートしてしまう。これを金属ナノチューブは燃やして灰にして取り除き、フォールトトレラント技術で変な位置にできた半導体ナノチューブがあっても、正常に動作する回路を考案し、小規模ではあるが、コンピュータとして動作するLSIを作った。カーボンナノチューブLSIを実用化する最初の成果である。

企業展示

今年は、スパコンの新製品の端境期で、新スパコンの発表は少なかったが、それでも、興味深い展示が多く見られた。

日本のスパコンメーカーの展示

意欲的な印象を受けたのは、Micronの超高帯域メモリであるHMCを使う次世代スパコンのプロトタイプを展示した富士通のブースである。この新スパコンについては、別の記事で詳細に紹介しているので、そちらを参照して戴きたい

また富士通は2013年8月のHot Chipsにおいて発表したSPARC64 X+のウェハも展示していた。富士通のハイエンド ビジネスサーバのSPARC M10-4は2.6GHzクロックのSPARC64 Xを搭載しているが、SPARC64 X+はクロックを3.5GHz以上に引き上げ、暗号化やデータベース処理命令などを拡充している。

富士通の展示ブース

3個のSPARC64 CPUチップと合計24個のHMCを搭載する次期スパコンのプロトタイプボード

ハイエンドビジネスサーバSPARC M10-4のマザーボード

8月のHot Chipsで発表されたSPARC64 X+のウェハ

NECは、SC13の直前に製品発表したベクトルスパコンSX-ACEを持ち込み、ブースの前面に展示していた。SX-ACEは、前世代のSX-9と比較すると消費電力1/10、設置面積1/5という新スパコンである。SX-ACEについては別の記事で詳しく紹介しているので、詳細はそちらを参照していただきたい

新スパコンSX-ACEを前面に展示したNECブース

SX-ACEの前面扉を開けたところ

SX-ACEの2ノードモジュール

日立はPower7を搭載するSR16000などを展示していた。

日立の展示ブース

Power7/7+を搭載するSR16000のボード

米国のスパコンメーカーの展示

IBMは、専用スパコンのPOWER 775やBlueGene/Qは歴史展示のコーナーに追いやられ、IntelのXeonプロセサとXeon Phiアクセラレータを使うiDataPlexが主体の展示であった。また、NAND Flashファイルからテープアーカイブまで幅広いストレージを展示しており、ストレージの展示に力を入れていた。

IBMの展示ブース

Xeon Phiを搭載するiDataPlexのモジュール

IBMのNAND Flashシステム

IBMのリニアテープファイルシステム

CrayはXC30スパコンやビッグデータ向けのCS300スパコンと並んで、SC13直前に発表したTiered Adaptive Storage(TAS)を展示していた。TASはFlashファイルなどの第1レベルの高速ストレージ、第2レベルの大容量のディスクストレージ、第3レベルのアーカイブ用の巨大容量ストレージ、そして、通信回線経由の他のセンターのストレージという4階層のストレージの間でのデータの格納を最適化するシステムで、使用頻度の高いデータは自動的にプロセサに近い第1階層に移し、使用頻度の低いデータはアーカイブなどに移し、ストレージの利用を最適化する。

IBMも同様な製品を出しており、今回のSC13では、主戦場は、計算サーバからビッグデータを扱うストレージに移った感がある。

CRAYブース

水冷のXC30スパコンの前面ドアをあけたところ

ビッグデータ向けのCS300スパコンの空冷版のCS300-AC

4レベルのストレージの最適化を実現するTiered Adaptive Storage

HPは高密度サーバのMoonshotを展示していた。Moonshotサーバは、4.3Uというキャビネットに45個のサーバカートリッジを収容する高密度サーバである。Centerton Atom、Avoton Atom、AMDのAPU、TIの4コアARM+DSPと4種のチップを使うカートリッジが展示されていた。

HPの展示ブース

4.3Uのキャビネットに45台のサーバカートリッジと中央にスイッチとアップリンクカードを各2枚収容するMoonshotサーバ

Atom S1260CPUを搭載するHP Mooonshot用のサーバカートリッジ

Silvermontコアを8個搭載するC2750 Avoton Atomを搭載するサーバカートリッジ

AMDのOPTERON X2150 APUを4チップ搭載するサーバカートリッジ

TIの4コアARMとDSPを集積したチップを4個搭載するサーバカートリッジ

Top500 1位の天河2号のメーカーであるInspur(浪潮)は、実物は無かったが、天河2号を前面に出して展示を行っていた。SGI、DELL、BULL、EuroTechなどのシステムメーカーもHPCシステムを展示していた。

BULLやEuroTechは、とても日本のメーカーは真似できない外観で、ヨーロッパのデザインセンスを感じさせる。

天河2号のメーカーのInspur(浪潮)のブース

天河2号のラック列(写真)を背景にして立っている写真が撮れる

スパコンやサーバのメーカーのSGIのブース

PCからスパコンまで手懸けるDELLのブース

大胆なデザインのパネルのフランスのBULLのHPCサーバ

BULLの水冷サーバのラックの裏側

水冷の美しいマシンを作るイタリアのEurotechのブース。中央に見える白い箱がラックで、前面パネルはカラー液晶である

EurotechのAuroraマシンの水冷コールドプレート