打ち上げ前日の4月29日、マイナビニュース取材班(筆者一人)は、現地で観測ロケット「MOMO」3号機を取材することができた。本稿では、打ち上げを控えた機体と射点の様子を詳しく紹介することにしよう。
MOMOは、エタノールを燃料、液体酸素を酸化剤とする液体ロケット。機体の中央部にエタノールタンク、下部に液体酸素タンクがあり、上部にタンクがある高圧ヘリウムでそれぞれを押し出している。エンジンの推力は約1.2トン。
3号機の外観は、塗装を除くと2号機とほぼ同じだが、内部は大きく変わっている。この記事でお伝えしたように、推進剤の配管が大きく変更。それに伴い、エタノールのメインバルブの位置が、ロケット下部からタンク間部(エタノールタンクと液体酸素タンクを結合する部分)に移動しており、タンク間部が若干長くなったとのこと。
また3号機ということで、作りやすさも向上している。インターステラテクノロジズ(IST)の稲川貴大社長によれば、人月ベースで初号機の半分くらいになっているそうだ。過去2回は結果こそ失敗だったものの、その経験は着実にノウハウとなって活きている。
一方、射点の設備は前回、機体が派手に炎上した割に被害は小さかったのだが、損傷したバルブ等を交換ずみ。なお3号機では新たにCFT(Captive Firing Test)試験を実施したが、そのための設備が射点のスタンドの側面に設置されていた。
ちなみにMOMO3号機のCFT試験は、フライト品とは別の実機相当の機体を作って行ったとのこと。MOMO3号機を打ち上げた後、残ったCFTの機体は展示等での活用が考えられているそうだ。