パンデミックの影響によってテレワークが普及し、働き方の多様化が加速しました。そして現在、次世代の働き方として注目されているのがハイブリッドワークです。→過去の回はこちらを参照。

  • マシンルームとブランケット 第6回

今回は、実際のハイブリッドワークの経験を通して得たポイントを、日本ヒューレット・パッカード Pointnext事業統括GreenLake&コンサルティング推進本部 デジタルワークプレイスソリューション部 シニアコンサルタントの縄井英樹が紹介します。

HPEが考えるハイブリットワーク

この連載を読んでいる方は、ここ2年半パンデミックの影響で出社が難しい人、それでもなお出社せざるを得ない人など、さまざまな立場の方がいらっしゃると思います。

一般的に、ハイブリッドワークが語られる時、リモートワークのことが中心に語られることが多いのではないでしょうか。オフィス以外で働くことができる、働く場所を選択できる、など一人称で語られることが多いと私は感じています。

私たちHPEは、COVID-19が猛威を振るうずっと前から、働き方について多くの施策を継続的に行ってきました。

リモートワークでは、働く場所を従業員が選べるメリットに比べ、ユーザー目線では共同で行う提案活動が思うように進まない、PCやネットワークのトラブルで会議に参加できない、会社目線ではセキュリティ対策が必要、労務管理を適切に行うことが困難、などデメリットが先に思いついてしまうのではないでしょうか。非常事態宣言も解除され、出社する人も増えたと感じます(電車、普通に混んでますよね)。

私たちHPEがハイブリットワークと考える時、会社などで多くの人が働く場と、リモートワークで自宅など個々に働く場を繋いで一緒に働くことを考えています。

緊急事態宣言下のような、ほとんどの人がリモートワークしていることを指すのではありません。それぞれの場所に一人ではなく、同じ空間に複数人がいる場所も合わせた働く環境を考えます。

ハイブリッドワークを最適に行うには?

私たちが提唱しているEDGE-TO-OFFICEでは、オフィスを主たる働く場とするOffice Workerとオフィス以外を主たる働く場とするEdge Workerを柔軟につなげて、より良い働く環境を整えることを目指しています。これがまさにハイブリッドワークです。

そこで、私たちは、貸し会議室を借り、擬似的に大多数がいるオフィスと自宅でのリモートワークを合わせた会議を丸二日間にわたり実施してみました。ほとんど全員がリモートワークしていただけでは気が付かなかった点が見えてきました。

  • マシンルームとブランケット 第6回

    ハイブリッドワークはいいことばかりではない

  • 良かった点
    参加方法、参加場所を自ら選択できた。Face to face はノンバーバル(非言語コミュニケーション※)の把握が容易なことを改めて把握した

  • 改善すべき点
    情報共有の仕方の難しさ、参加者間の距離感によるディスカッションの難しさ、ネットワークやマイクなどファシリティの課題

※ノンバーバルコミュニケーションとは「言語以外で行うコミュニケーション方法」です。身振り、手振り、表情、声の調子など、人間が五感によって捉えることのできるコミュニケーション

  • マシンルームとブランケット 第6回

    最適なハイブリッドワークを模索した

ハイブリットワークを最適に行うには、

  • 同じツールを使う
    オフィスでも在宅でも同じツールを使う

  • 準備を行う
    ハイブリットワークはコミュニケーションに時間がかかるので事前準備を怠らない 進捗も共有することで、メンバー間の理解度を深める

  • 打ち合わせの進め方
    よりディスカッションを中心に行う、一方通行のコミュニケーションにならないようにまんべんなく意見を拾う。そのためにファシリテーターの役割が非常に重要

  • 情報共有のあり方
    情報共有に用いるルールを決める。資料をクラウドに格納し、オンライン共同編集を行う

上記のことが重要になると改めて感じました。

ハイブリットワークより良いコミュニケーション環境の形成が成功に導く

これらを整えることで、生産性が向上するだけではなく、企業価値の向上や社員一人ひとりの意識改革にも繋がります。強いて言えば、組織の継続的発展につながるとも言えるでしょう。

また、そのために私たちは日々の活動におけるワークリレーションシップが原点にあると考えています。全員がALLYSHIP(セクシャルマイノリティだけでなく、多種多様な人間性を認め合う間柄)を出発点に多様性を受け入れることを最優先に位置づけることで、ハイブリットワークを行ううえで、より良いコミュニケーション環境が形成できると考えています。

  • マシンルームとブランケット 第6回

    ALLYSHIPを出発点に多様性を受け入れることを最優先に位置付けた

ワークリレーションシップは、ALLYSHIP自体が目的ではありません。相手を認め合い、お互い理解しようと思って聴き、タフな会話でも対立する必要はなく理解し合うことが大事です。

それにはニュアンスも含めた知識を共有することから始め、もしコミュニケーションに間違いがあれば修正していくことが重要です。

チャレンジにミスはつきものです、そのときは相手からのフィードバックを受け入れ、相手により詳細を尋ね、相手の気持ちを確認します。それらとともに自分自身が学び成長していくことが重要なのです。

ともするとハイブリットワークはIT環境が整えばいいと考えがちですが、より良いコミュニケーション環境の形成が成功に導くのです。

  • マシンルームとブランケット 第6回

    ハイブリッドワークを導くための3つの主要原則

お互いが求めることと境界を尊重する

まさに、すべての従業員に対して、それぞれの経験、能力、考え方を認め、活躍する機会を提供するインクルージョンは重要です。

そのために、成果を祝い、ワークライフバランスを保ち、さまざまなグループに参加することでお互いを認め合っていきます。そのためには、Office WorkerとEdge Workerに隔たりなく情報が共有され、全員に発言の機会が与えられる必要があります。IT戦略においては、コミュニケーション、コラボレーションが行える場を提供していきます。

そして、お互いが求めることと境界を尊重することが信頼を構築するうえで最も重要になっていきます。それには、例えば自分自身の期待の明示、コミットメントの可視化、タスクに対するタイムマネージメント、情報の事前共有による効率化など常に説明責任を果たすことが伴います。

このように、ハイブリットワークにかかわらず、働き方として認め合う姿勢、多様性を受け入れ、さまざまな意見を尊重することが背景にあればこそ、ワークリレーションシップが濃厚なコミュニケーション形成に役立つと信じています。

われわれからは実体感にもとづきメリットだけではなく、デメリットも合わせてご紹介しており、働き方を推進するお客さまへワークショップも実施しています。

弊社のALLYSHIP、インクルージョンへの取り組み、信頼関係を高めることでお互いを認め合う土壌づくりが、より濃厚なコミュニケーション形成に役立っていると自負しております。これら、私たちが体験しているハイブリットワークやその環境整備の知見をぜひ皆様の働く場でも活用していただきたいと思っております。

日本ヒューレット・パッカードの社員によるブログをぜひ一度ご覧ください。製品やソリューションの紹介だけではなく、自身の働き方や日々のボヤきなど、オモシロ記事が満載です。