セレンディクスが三井住友海上火災保険(三井住友海上)とともに、3Dプリンタで作られた住宅に対する保険の開発を目指すと報じられた。ではなぜセレンディクスらは、3Dプリンタ住宅の保険開発に着手するのだろうか。今回は、そんな話題について紹介したいと思う。

セレンディクスが3Dプリンタ住宅保険の開発に着手した理由とは?

まずはセレンディクスを紹介したい。セレンディクスは、兵庫県西宮市に本社を置く3Dプリンタ住宅メーカーだ。2022年3月には、愛知県小牧市にて日本初となる3Dプリンタ住宅を完成させ、大きな話題となった。この3Dプリンタ住宅は、コンクリートによる球体のような形をしている。施工は百年住宅・楓工務店・ナベジュウ・ルミノシティなどが実施し、施工開始からわずか23時間12分で完成したというから驚きだ。

  • 日本初となる3Dプリンタ住宅「Sphere」

    日本初となる3Dプリンタ住宅「Sphere」(出典:セレンディクス)

ではなぜセレンディクスは、この3Dプリンタ住宅に取り組んでいるのだろうか。

それは、30年以上の住宅ローン、住宅の建設にかかる脱炭素化、ウッドショックによる木材価格の高騰、人件費のさらなる上昇、自然災害がもたらす住宅の甚大な被害などの社会課題の解決に端を発する。

しかし、まだこの3Dプリンタ住宅は「欠陥や耐久性など、新しい形式の住宅ならではの不安があり、未然にケアして安定運用に繋げて欲しい」「地震・台風への安全性とか課題はまだまだ沢山あると思う」などの安全性に関する意見が多数あるという。そこでセレンディクスは、三井住友海上の協力を仰ぎ、3Dプリンタ住宅固有のさまざまなリスクに対して最適化された保険の開発に取り組むことにしたのだ。

さらにセレンディクスは、耐震構造設計領域において国内で多くの実績を持つKAPと連携し、地震災害に強い未来の住宅の施工実現を目指して始動している。

  • KAPによるSphereの耐震構造設計図

    KAPによるSphereの耐震構造設計図(出典:セレンディクス)

いかがだったろうか。セレンディクスの情報発信には、魅力的でキャッチーなコピーがたくさんみられる。例えば、3Dプリンタ住宅について「車を買える値段で」「24時間以内に完成」「火星の強風にも耐えられる球体設計」などだ。セレンディクスは、さまざまな社会課題を解決しながら先端的な技術を開発するなど、素晴らしい取り組みを行う企業だと感じる。