IndigoのMavenサポート
前回紹介したとおり、Indigoでは様々な新機能が追加されている。その中でも今回はMavenのサポートについて取り上げたい。
ご存知の通りMavenはJavaベースのビルドツールの一種だが、単純にソースコードのビルドやパッケージングを行うだけでなく、ドキュメントやテストレポートの生成、サーバへのデプロイなど、ソフトウェア開発プロジェクトにおける反復作業を自動化してくれる。特に依存ライブラリを自動的にダウンロードしてくれる機能は、膨大なオープンソースのライブラリ/フレームワークが溢れているJavaの世界では非常に便利な機能だ。
IndigoではこのMavenの利用がサポートされている。これはもともとm2eclipseというサードパーティ製のプラグインとして開発されていたものがEclipse Foundationにコントリビュートされ、現在はm2eプロジェクトで開発されている。
なお、Eclipse.orgで配布されているパッケージのうち、標準でMavenサポートが含まれているのは「Eclipse IDE for Java Developers」のみだ。それ以外のパッケージを使用する場合、更新マネージャに最初から登録されているIndigoの更新サイトから追加インストールすることができる。
Mavenプロジェクトの作成
Mavenを使用するプロジェクトを作成するには「File」メニューから→「New」→「Project」でプロジェクト作成ウィザードを開き、「Maven」→「Maven Project」を選択する。
Mavenプロジェクトの作成ウィザードではアーキタイプを指定してプロジェクトを作成することができるが、アーキタイプを使用しない場合は図2の画面で「Create a simple project」にチェックを入れて次の画面に進めばよい。
また、既存のプロジェクトでMavenサポートの機能を利用するにはプロジェクトを右クリック→「Configure」→「Convert to Maven Project」を選択すればよい。
依存関係の追加
Mavenに関する操作はプロジェクトを右クリックして「Maven」サブメニューから行うことができる。
プロジェクトを右クリック→「Maven」→「Add Dependency」で依存ライブラリを追加できる。以下のようなダイアログが表示されるのでグループIDとアーティファクトIDを手動で入力するか、ライブラリを検索して、検索結果から追加するものを選択することができる。
依存関係を追加するとプロジェクトのクラスパスに自動的にjarファイルが追加される。また、プロジェクトを右クリック→「Maven」→「Download JavaDoc」や「Download Sources」でJavadocやソースコードをダウンロードしてjarファイルにアタッチし、Eclipse上で参照できるようになる。
ゴールの実行
Mavenのゴールはプロジェクトを右クリック→「Run As」サブメニューから実行できる。
デフォルトでclean、generate-sources、install、testといったゴールがメニューから選択できるようになっているが、「Maven build...」を選択することで以下のような設定画面が表示され、任意のゴールを実行することが可能だ。
使用するMavenのバージョン
Mavenは現在Maven 3系が最新だが、まだMaven 2系を使用しているという方も多いのではないだろうか。IndigoのMavenサポートではデフォルトではMaven 3を使用してビルドを行う。Maven 2を使用したい場合はEclipseの設定ダイアログの「Maven」→「Instllation」でMaven 2のインストール場所を指定する必要がある。
まとめ
Eclipseではこれまで別途プラグインをインストールするか、Maven側でEclipse用の設定ファイルを生成するといった方法でMavenとの連携を行う必要があったが、ここにきてようやく標準でサポートされるようになった。筆者の試した限り、動作も安定しており使い勝手も良好だ。
NetBeansなどでは以前からMavenが標準でサポートされていたが、今後はEclipseでもよりいっそうMavenの活用が進むことを期待したい。