2011年6月22日(現地時間)、Eclipseの最新版となる3.7(Indigo)がリリースされた。62のプロジェクトを含むという、Eclipse史上最大のリリースだ。

今年もEclipseの季節がやってきた!

2011年6月22日(現地時間)、Eclipseの最新版となる3.7(Indigo)がリリースされた。62のプロジェクトを含むという、Eclipse史上最大のリリースだ。

ここ数年、Eclipseはバックエンドのアーキテクチャや、細かな使い勝手の改善が多く比較的地味なリリースが続いていたが、今回は外部からコントリビュートされた多くのプラグインが組み込まれており、Eclipseとしては近年稀に見る新機能満載のリリースとなっている。

図1: eclipse.org

Indigoの主な新機能

まずはIndigoで新たに追加されたプラグインを紹介しておこう。ただし、これらのプラグインはすべてのパッケージに含まれているわけではないので注意して欲しい。

Gitのサポート

これまでEclipseは標準ではバージョン管理システムとしてCVSしかサポートしていなかったが、EGitによってGitも標準でサポートされるようになった。これは元々Google Code上でオープンソースで開発されていたものがEclipse Foundationに移行したものだ。

Mavenのサポート

NetBeansではすでに標準でサポートされているMavenだが、Eclipseでもようやくサポートが提供されるようになった。これもSonatype社が開発していたオープンソースのm2eclipseというプラグインがベースになっている。

WindowBuilder

昨年Googleが買収したInstantiations社のSwing/SWT向けGUIビルダがEclipse Foundationに寄贈されたもの。これまでEclipseにはVisual EditorというSwing向けのGUIビルダが存在したが、これに代わるものだ。WindowBuilderはInstantiations時代から使いやすさには定評があり、Eclipseにもようやく実用的なGUIビルダが標準搭載されるようになったわけだ。

Jubula

JubulaはJavaとHTML用のGUIの機能テストツールを提供する。Eclipse Foundationのプロジェクトの中でも比較的新しい部類に属するが、Bredex社が提供していたGUIdancerという商用製品がベースになっている。機能テストを自動化するためのツールとして期待したいところだ。

なお、残念なことながら、IndigoではJavaSE 7自体が未リリースの状態であるため、JavaSE 7への対応は見送られている。ただし、JavaSE 7サポートの開発自体は進められており、今後アップデートとしてJavaSE 7のサポートを提供する予定のようだ。

ライバルであるNetBeansではすでにJavaSE 7がサポートされており、今後アップデートによって修正していくという方針が採られている。NetBeansは最新仕様の一早いサポートに定評があるが、JavaSE 7のサポートに関してはそれぞれのプロジェクトの方向性の違いも現れているといえるだろう。

Indigoで提供されるパッケージ

Eclipse.orgでは用途にあわせてプラグインを組み合わせたパッケージを提供しているが、Indigoでは以下のパッケージが用意されている。

表1: Indigoのパッケージ

パッケージによってはEGitやWindowBuilder、MavenサポートといったIndigoの新機能が含まれていないものもあるので注意して欲しい(もちろんこれらの機能が含まれていないパッケージであっても追加インストールすることは可能だ)。

また、以前のバージョンでは提供されていたPHP向けのパッケージはメンテナ不足のためIndigoでは提供されていない。ただし、必要に応じてIndigoの更新サイトからインストールして利用することは可能だ。

Pleiadesも提供開始

日本語化されたEclipseディストリビューションとして人気の高いPleaidesも早速Indigoに対応したバージョンがリリースされている。

図2: PleiadesのWebサイト

Pleiadesは日本語化されているだけではなく、様々なサードパーティ製のプラグインが同梱されている。また、Eclipse本家では提供されていないPHP向けのパッケージも提供されている。PHPでの開発を行うのであればPleiadesを利用するのがいいだろう。

まとめ

今回はIndigoのリリース概要をお伝えした。IndigoはEclipseにとって久々に機能面でのフィーチャーが多いリリースとなっている。もちろん今回紹介した新機能だけでなく、既存の機能にも様々な改善が行われている。次回からはこれらの細かな改善も含め、Indigoの新機能の詳細について触れていきたい。