Google Workspaceには個人向けの無料/Individual、そして企業を対象としたBusiness Starter以上のさまざまなエディションが存在します。

実は2022年2月にもう1つ、「Essentials Starter」という新しいエディションが追加されていることはご存知でしょうか。→過去の「Google Workspaceをビジネスで活用する」の回はこちらを参照。

異色のエディション「Essentials Starter」

これは、無料で利用できるGoogle Workspaceのエディションの1つなのですが、他のエディションとは決定的に違う点が1つあり、それは「Gmailが使えない」ということ。GmailはGoogle Workspaceの中核を担うツールの1つでもあるだけに、それが使えないエディションを提供するというのには疑問を抱く人も多いことでしょう。

  • Google Workspaceをビジネスで活用する 第45回

    2022年2月に提供開始された新しいエディション「Essentials Starter」。Gmailが利用できないという、従来にはない異色のエディションとなる

では一体、Essentials Starterはどのような人を対象としたエディションなのかと言いますと、簡単に言えばGoogle Workspace以外の形で自社ドメインのメールを運用している企業に向けたものとなります。

【関連記事】
≪無償版「G Suite」終了一転、非営利目的の個人に限り継続利用が可能に≫
≪「Googleサイト」を使い自社ドメインのWebサイトを公開する方法≫

すでに社内で運用しているメールの環境を、Business Starter以上のエディションを契約してGoogle Workspaceに移し替えるとなると非常に多くの手間がかかってしまう、というのも正直なところです。

そこでメールサービスはそのままの形で運用を続けつつ、他のGoogle Workspaceのサービスを利用して業務効率化を図るというのが、Essentials Starterの狙いとなっている訳です。実際、Essentials StarterではGmail以外の多くのサービスが利用可能。

「Googleドライブ」でファイルを共有したり、「Googleドキュメント」で共同編集したり、「Google Meet」「Google Chat」でビデオ会議やチャットをしながら作業を進めたり……と、Google Workspaceの各機能を活用して仕事を効率よく進められるようになっているのです。

  • Google Workspaceをビジネスで活用する 第45回

    Essentials Starterで利用可能なサービス。他にも「Googleカレンダー」「Google フォーム」「Google Keep」など多くのサービスが利用可能だ

ただし、Essentials Starterには、Gmailが利用できない以外にもいくつかの制約があります。

1つのチームアカウントに登録できるユーザー数が25人までとなるほか(同じドメインで複数のチームを作成することは可能)、サポートがない、Googleドライブの容量は無料版と同じ15GB、Google Meetの同時利用人数は100人までで、3人以上参加する場合時間は60分に限られる……などです。

有料の「Enterprise Essentials」

これらの多くは無料であるがゆえの制約ですので、お金を払うことで回避できます。実はこのエディションには上位版となる有料の「Enterprise Essentials」も用意されているので、そちらに移行すれば多くの制約を取り払い、ビジネスで必要な機能を追加することが可能となっています。

そして、最大の制約となるのが、アカウントを作成する際に必要なメールアドレスです。先にも触れた通り、Essentials Starterはすでに独自ドメインのメールアドレスを持つ企業などに向けたもので、個人は対象にしていないことから、無料版の「gmail.com」や他の無料メールサービス、あるいはインターネットサービスプロバイダー(ISP)が発行するメールアドレスで登録することはできません。

  • Google Workspaceをビジネスで活用する 第45回

    Essentials StarterにISP発行のメールアドレスで登録を試みたところ。独自ドメインではないメールアドレスでは基本的に登録できない仕様のようだ

さらに言えば、Business Starter以上のGoogle Workspaceで用いているドメインのメールアドレスでも登録することはできません。あくまで「Google Workspace以外で使っている」「独自のドメイン」でないと利用できない点に注意して下さい。