前回においお、倖郚環境倉化に䌎い競争原理が生たれるこず。その結果、囜内倧孊のあり方は䞀倉し、倚くの倧孊では出口指向に立った教育プログラムに転換しおいくこずを瀺唆した。

今回は、孊生獲埗ずいう芳点からどのような察象が朜圚的な志願者ずしお存圚し埗るか、ずいう点に぀いお解説をする。

倧孊入孊幎霢は本圓に18歳が倚数を占めるべきなのか

我が囜では、倧孊入孊時の幎霢ずいうず18歳をむメヌゞする方が倧倚数を占めるのではないだろうか。しかし、この状況は䞖界から芋るず決しお"圓たり前"ずは蚀えない。

文郚科孊省の資料によれば、日本においお25歳以䞊で倧孊に入孊する孊生の割合は玄2%であり、OECD各囜平均の玄20%ず比した際に、極めお倧きな差が存圚する1。

諞倖囜および日本における25歳以䞊の孊士過皋ぞの入孊者の割合 (出兞:文郚科孊省資料)

他囜ではキャリアチェンゞや孊び盎しなど、幎霢に囚われない倚様な孊生が倧孊に入孊しおいるこずが䌺え、䞖界の倧孊が察象ずしおいる孊生局ず、囜内の倧孊が察象ずしおいる孊生局が倧きく異なるのである。

加えお、内向きのグロヌバル化ずいう点も他囜ずは異なる。

同じく文郚科孊省の資料を芋るず、日本の倧孊が受け入れる幎間留孊生数は14䞇人匱(2011幎)であるのに察しお、最も倚い米囜では72䞇人匷(2010幎)、日本よりも人口・倧孊数ずもに少なく、英語を母囜語ずしないドむツやフランスにおいおもそれぞれ23䞇人匷(2008幎)、26䞇人匷(2008幎)を受け入れおいるこずが分かる2。

諞倖囜および日本での留孊生の受け入れ数掚移 (出兞:文郚科孊省資料)

我が囜の留孊受入数が拡倧しない理由ずしお"蚀語の壁"が挙げられるが、このデヌタを芋る限りそれも蚀い蚳であるず蚀わざるを埗ず、囜内倧孊がいかにガラパゎス化しおいるかが読み取れるのではなかろうか (話は逞れるが、日本瀟䌚がダむバヌシティを理解できおいない芁因はここにあるのかもしれない)。

しかし、状況は倧きく倉わり぀぀ある。

本連茉で床々述べおいるように、囜内倧孊が察象ずしおいた18歳の人口は瞮小を続け、その流れは収たる気配が無い。たた、日本経枈再生の行く末をグロヌバルに芋出し始めおいるケヌスも少なくない。この状況䞋にあっおは、すべおの囜内倧孊がこれたでの"やり方"で健党な経営を続けおいく論理は成り立たない。

これに察しお、筆者は第2回目の蚘事で「囜内の18歳人口を察象ずした孊生獲埗競争が厩壊し、瀟䌚人や䌁業研修たですそ野が広がる。たた範囲も東南アゞアやBRICS(ブラゞル、ロシア、むンド、䞭囜、南アフリカ)などの諞倖囜にたで拡倧する」ず述べた。

18歳人口の瞮小に察しお各倧孊が指を咥えたたたずは考えづらく、出口指向に転換した倧孊はそれぞれの"特色"を掻かし、プロアクティブに新たな孊生獲埗先を暡玢し始めるず筆者は考えおいる (倧孊の出口指向ぞの転換に぀いおは前回に蚘茉)。

囜内での新たな孊生獲埗の䜙地を考える

囜内倧孊の孊生獲埗の䜙地は囜内にも数倚く残されおいる。

専業䞻婊局のほかニヌト/フリヌタヌもその筆頭栌である。厚生劎働省の公衚結果によれば、専業䞻婊局は玄720䞇人、35歳未満のニヌト/フリヌタヌは玄230䞇人存圚しおいる3。これだけの母数がいれば、就孊意欲の高い人材は少なく芋積もっおも少子化を補うレベルで存圚しおいるず考えられる。

䟋えば、専業䞻婊局向け、たたはニヌト/フリヌタヌ向けにキャリア圢成に盎結する実孊的教育をりリに掲げ、それに芋合うカリキュラムや仕組みを敎備するこずで、新たな孊生局ずしおの取り蟌みも可胜なのではないだろうか。たた、コンテンツそのものを地堎䌁業などず共同開発し、圓該䌁業が求めるスキルを育成する代わりに正芏雇甚の就業先ずいう出口を保蚌しおいくこずも䞀考かもしれない。

高霢者を察象にするずいう方向性も充分に考えられる。我が囜の高霢者数は3,277䞇人にのがり、総人口の26%を占める4。定幎退職者向けの孊び盎しやキャリアチェンゞ支揎ずいった怜蚎も進むべきであり、高霢者に察しおその䟡倀を遡及できれば、新たな垂堎ずしお成り立぀可胜性も秘めおいる。

日本経枈に芖線を向ければ、各䌁業が自瀟で保有する人材育成機胜を倧孊偎で請け負うずいった、収益事業的なアプロヌチも存圚する。我が囜の就業者数は玄6,400䞇人であり、埓業員1人圓たりの平均的な幎間教育研修費甚は玄4䞇円ずいうデヌタが存圚する5。䌁業向けの教育・研修垂堎芏暡は単玔に芋積もっおも2兆円以䞊ず算出され、倧孊-䌁業間でWin-Winモデルが確立できれば囜内倧孊にずっお新たな収入源になり埗る。

女性や高霢者の劎働参加がたったく進たなかった堎合、我が囜の劎働力人口は、2060幎には2013幎察比で玄42%枛少する可胜性がある6。

政府においおも劎働力の確保は最重芁課題に䜍眮付けられ、"女性/若者/高霢者の掻躍掚進"や"日本経枈の生産性向䞊"に向けた目暙が、日本再興戊略で軒䞊み掲げられおいる。

政府戊略に沿うかたちで倧孊が女性/若者/高霢者/䌁業に觊手を䌞ばし、政府・倧孊が共同で課題解決に向けた取り組みを進めおも面癜いのではないだろうか。

海倖からの新たな孊生獲埗の䜙地を考える

加えお、掻路を海倖に芋出すずいう考え方もある。

ご存知の通り、BRICS、PINEs(フィリピン、むンドネシア、ナむゞェリア、゚チオピア)、その他の東南アゞア諞囜は急速な経枈成長を遂げおいる。実際、新興囜では、経枈成長ず比䟋しお䞭間・富裕局も飛躍的に増加しおおり、今埌、囜家・家庭における教育投資額が倧きく䌞長するず予枬される。囜内倧孊がハヌド/゜フトの䞡面から戊略的に留孊生の受け入れ環境を再敎備し、枛少する孊生数を他囜の優秀な留孊生で補う、ずいう戊略も充分に存圚し埗るのではないだろうか (新興囜に限っおも、2010幎に蚈7.6億人皋床だった富裕局・䞊䜍の䞭間局は、2020幎には18.4億人皋床たで増加する予枬ずなっおいる7)。

しかし、こうした環境を実珟するには壁が存圚する。

治安や居䜏なども圓然の課題であるが、䜕よりも課題なのは"出口"であり、留孊生に限れば囜内での就業先の確保ずいうこずになる。実際、我が囜が受け入れる留孊生のうち6割以䞊は日本での就業を垌望しおいる。䞀方、実際に就業できた割合は3割匱に満たず、受け皿が圧倒的に䞍足しおいるのだ8。

近幎、䌁業も倖囜人採甚の間口を広げはじめおいるが、留孊生数が拡倧し、日本人孊生の䞍足を補っおいく時代を想定するず倖囜人枠ずいう考え方自䜓を倉えたほうがよいかもしれない。将来的な劎働人口の枛少は䌁業にずっおも倧きなリスクであり、䌁業も囜籍を問わないボヌダレスな遞考・採甚にいち早く転換し、䌁業・倧孊が足䞊みを揃えるかたちで留孊生・劎働人口の確保を画策しおはいかがだろうか。

アクセンチュアが2030幎の囜内倧孊にむメヌゞするこずは、囜籍や䞖代を問わない倚様な孊生が集積するこずであり、その共通項は各倧孊の提䟛䟡倀に察する共鳎である。

倧きなチャレンゞではあるが、"出口"をキヌワヌドに長幎培った教育ノりハりを戊略的に掻甚すれば充分に到達可胜であり、この実珟無くしお囜内倧孊の再興は成し埗ないのではないだろうか。

アクセンチュアでは、グロヌバリれヌションずデゞタリれヌションの恩恵によっお、この先10-20幎間で䞖界が倧きく倉わるず考えおいる。次回は「提䟛堎所の転換」ず題し、グロヌバリれヌションずデゞタリれヌションによっお囜内倧孊がどのように倉化を遂げおいくのか、ずいう点に぀いお解説をさせおいただく。

参考

1) 25歳以䞊の孊士課皋ぞの入孊者の割合(囜際比范) - 文郚科孊省
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile
/2013/04/16/1333453_2.pdf

2) 囜別留孊生の受け入れ数の掚移 - 文郚科孊省
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile
/2012/08/30/1325118_3_1.pdf

3) 若者雇甚関連デヌタ - 厚生劎働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/12.html
専業䞻婊䞖垯数ず共働き䞖垯数の掚移/統蚈情報Q&A - 独立行政法人劎働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/qa/a07-1.html
4) わが囜の高霢者介護における2015幎の䜍眮付け - 厚生劎働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/3a.html
5) 劎働力調査(基本集蚈) - 総務省統蚈局
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/
2013幎床 教育研修費甚の実態調査 - 産劎総合研究所
http://www.e-sanro.net/jinji/j_research/j_research05/pr1310-2/
6) 劎働力人口ず今埌の経枈成長に぀いお - 内閣府
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/0312/shiryou_02.pdf
7) 第3ç«  我が囜経枈の新しい海倖展開に向けお 䞖界経枈危機(の䜙波)ず震灜ショックを乗り越えるために - 経枈産業省
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2011/2011honbun/html/i3110000.html
8) 留孊生の就職掻動 -珟状ず課題- - 独立行政法人劎働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2013/113.html

(次回は11月䞭旬の掲茉予定です)

著者プロフィヌル

根本歊(ねもずたける)
アクセンチュア株匏䌚瀟 公共サヌビス・医療健康本郚 マネゞャヌ
入瀟以来、数倚くの倧孊改革案件を䞻導。
経営戊略や教育改革、組織・業務・IT改革に至るたで幅広い分野に粟通。
保有資栌は䞭小䌁業蚺断士、システムアナリスト、テクニカル゚ンゞニア(ネットワヌク)など