宇宙、それは神秘で未知な世界です。一方、何年も先の日食が秒単位で予測できたり、人間の一生を遙かに超える億年単位の天体の寿命を推定できたりします。

ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介する恒例の「宇宙、どうでしょう」。2022年3~6月の分をば。

なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。この連載の第223回に紹介がございますのでご参照くださいませー。

3月~6月 ぶっち明るい金星が、夜明け前の空に輝く

星として一番明るく見えるのは、金星です。その明るさは最大で夏の大三角のベガとしても知られる織姫星の100倍です。こないだまでは80倍でした。今年2022年から国立天文台が発表するための計算方法をあらためたら100倍になったのです。

参考:国立天文台 暦象年表の改訂について (2022)

さて、そのぶっち明るい金星が、今年は夏過ぎまで夜明け前の空に輝きます。特によいのが2月~6月でございます。日の出1時間で空が白んでいても楽勝に見えますので、3~6月についてその時間での見える位置を示しますねー(東京基準)。まあ、夜明け前の東の空のぶっち明るい星=金星。で間違いはないです。

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    図.夜明け前1時間で金星が見える方向。10日ごとの位置。まあ東

図はいずれも、アストロアーツ社のPCソフトステラナビゲータによります。

あ、日の出の時刻ですが東京では次の表のとおり。

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    表.東京の日の出時刻

各地は国立天文台のWebサイトでサクッと計算できますよー。し、しかし5月には日の出5時前か。さっきの図は4時前ってことですな。見るのは簡単ですが、ねむそう。

5月1日(日)夜明け前の木星との接近は見もの! 3月下旬も楽しい

先ほどの金星の場所の図には、他の惑星も載せました。すると、3月は火星とよりそい、3月末には土星もよってくるのがわかります。

惑星は iPhone 11以降ならば、楽勝で手持ちで撮影できますので、朝早起きをして、定点撮影するのもちょっと楽しいですな。

そして、5月1日には木星と金星が接近します。これは見もの!!

双眼鏡の視野でもおもいきり接近します。

ガチ勢の天文ファンだとタイムラプスで望遠鏡写真を撮影するとか、いろいろやるでしょうけど。ライト勢としては、できればがんばって早起き! あとはガチ勢の写真とかを楽しむってところですなー。

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4末~連休、6月22日ごろ 超難関の水星も、見るチャンス多し!

太陽系第一惑星の水星は、太陽の近くにあるため、日の入り直後か日の出直前に、しかも地平線近くでしか見ることができません。太陽系の姿を「地動説」として提唱した(その図にはもちろん水星が書いてある)科学者コペルニクスも水星は自分の目では見たことがなかったという逸話もあるくらいです

が、その水星、実は結構明るい星で、タイミングさえうまければ見られます。そういうチャンスがこの3~6月は何度かあります。

まず、最初のチャンスは今! で、夜明け前30分ころに見えます。が、一番良かったのが2月の10日ごろだったので除外。

で、次は大型連休前後の夕方です。図は下の通り。西が開けているのが条件になりますが、百貨店の屋上とかからでも行ける場所あるかもー。

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    図.水星がまだ見やすい時期の水星の位置。4月29日前後日の入り後30分の位置。1日ごとで、左が早い日、右が遅い日です。連休のころはほぼ同じ位置ですな

一方、明け方では6月22日の前後。夏至のころですな

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    図.水星が見やすい時期は6月22日前後の日の出前30分。1日ごとの位置

水星は「見た!」というのがポイントで地味といえば地味ですが、太陽系の主要な星をコンプするには欠かせないチェックポイントですので、よろしければチャレンジしてください。私、昔、山道で日が暮れるときに偶然水星を見たことがあり、空気が澄んでいることもあり意外な明るさにびっくりしたことがあります。見えればよく見えるのよ。水星。

5月27日(金)。白昼の空、金星と月が超接近(鹿児島南部以南で金星食)

月が金星を隠す金星食。なかなか印象深い光景なのですが、今年は5月27日にあります。ただし、白昼! 1時30分ごろ。望遠鏡を使わないとわかりません。

観察会を予定している施設もあるようですので、鹿児島あたりにお住まいの方、ご予定の方は、予定がうまくあえばチャレンジも。

4月18日(月)~4月24日(日)前後は、恒例の科学技術週間! オンラインも

全国の研究所の特別公開があったり、科学博物館でイベントがあったり、科学なポスターの配布があったりする科学技術週間。今年は事業が募集中ですが、例年通り実施されるようです。まあ、コロナ禍も続いているので「新型コロナウイルス感染症の状況や地域の実情に応じて、インターネットを活用した取組も含め」とありますな。

いまのところ詳しい情報は発表されていませんが、ネット講演会などは、結構おもしろいです。23、24日の土日に例年集中するので、予定をあけておくと楽しめますぞ。

5月29日 天文宇宙検定 締め切りは4月14(団体)におよび21日(個人)

秋じゃねーのと思っていたら、年2回実施なんだそうです。まわりに結構検定受けている人がいて、力試しにちょうどいいのかしらね。会場が釧路・郡山・小松・東京・松本・名古屋・京都・岡山・高知・鹿児島となっていて、特に釧路や郡山、高知などは、いままで受けにくかった人にも朗報ではないかなと思いますね。

なお、試しに1級と2級の問題を解いてみたことがありますが、4択でまぐれで取れるのをのぞいて、60点くらいかなというところ。合格かは微妙ですなー。勉強しないと!

1級は2級合格者のみが受けられるのだそうですが、2級とはえらい差があります。天文学の大学くらいのしっかりした知識と周辺の雑学を色々知らないと解けませんなー。2級まではテキストをさらっとけば大丈夫っぽいです。

宇宙開発はどうなってるの?

おなじみ SpaceFlight Nowから拾ってみましょう。

3月1日(現地時間)にアメリカの気象衛星GOES-Tの打ち上げ

前回の宇宙どうでしょうでも滑り込ませましたが、スケジュールまだ変更になってません。いけそうですな。

なにしろ、何回かの打ち上げ延期を経てのことですが、新世代静止気象衛星の3機目で、GOES18という名前に変わる予定。GOES16と2機で、アフリカ~ニュージーランドまでのインド洋を中心にカバーします。ちなみに大西洋からアメリカ本土は、GOES17がカバー。東太平洋は日本の気象衛星ひまわりがカバーしておりますな。

かつて日本のひまわりが打ち上げられなかったときにGOES5が太平洋上空に移動してカバーしてくれたことがあります。

静止軌道の気象衛星は、世界的なインフラですので(日本だって、海外旅行だけでなく、アラブからの石油やヨーロッパとの貿易など国際航路での物流などにすごくお世話になっている)新鋭機が無事打ち上がるのを祈りましょう。

SpaceXの大型有人宇宙機スターシップのテスト

時期は未定ですが、3~4月に「空飛ぶイカめし」こと スターシップの軌道フライトテストが行われる見込みです。前澤さんが月旅行するときの乗り物で、イーロン・マスクが「火星にいくんじゃ!」と言っているやつですな。

3月18日 ソユーズで3人が国際宇宙ステーションに

3名のロシア人飛行士を乗せて国際宇宙ステーションに向かいます。カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられます。ロシアはいま緊張が高まっていますが、緩和して平和裏に宇宙開発に向かってほしいと願わずにいられませんね。

3月30日 クルードラゴン、Axiom社による貸し切りミッション

2月打ち上げが遅れているやつです。以前、内容に触れていますのでごらんくださいませ。

4月5~6日 ソユーズにより赤道ギニアからヨーロッパのGPSことガリレオが打ち上げ

欧州版のGPS衛星(GNSS)がソユーズロケットで赤道ギニアの欧州基地から打ち上げです。ロシアとヨーロッパは宇宙ではこういう協調しているのですよ。したたかですな。

4月中 アメリカ月宇宙船アルテミスのテスト

をするのだそうです。着々ですなー。

4月15日 クルー・ドラゴン打ち上げ

アメリカ2人、欧州1人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに運びます。

5月20日 米ボーイングの商用有人宇宙船CST-100スターライナーの2回目の無人テスト

有人のテストは今年中に! だそうです。

ということで、今年前半も宇宙を楽しんで参りましょうー