今年(2018年)7月31日。15年ぶりに火星が「大接近」します。地球から最遠で4億km、平均でも2億kmにある火星が、4か月で6000万kmを切るまでに接近。平素は星の明るさランクで20~30位くらいをウロウロしていたのが、2位まで上昇します(1位は鉄板の金星)。まー、ふだん見慣れないやたら赤い星が見えるのですから、何も知らない人でもびっくりなんですな。これはもちろん今に始まったことじゃありません。今回は、この天文ショーに先駆け、人類がこれまで「火星を見たら、わかっちゃったー」ことをチェックしてまいりましょー!。あ、火星については、本コラム(どこでもサイエンス)の第68回でも書いていますので、そっちも読んでねー。

火星の接近、大接近

火星は2年2か月ごとに地球に接近し、特に15または17年ごとの接近は「大接近」といわれております。接近の度合いと、その時望遠鏡で見た火星の大きさの違いを並べると、こんな感じでございます。

  • 年によって異なる火星の大きさ

    年によって異なる火星の大きさ

両端の2003年と今年2018年が「大接近」なのですが、他の2年ごとの接近にくらべ、ずいぶん差があります。あ、いや、いまグラフを描いてみて、自分でびっくりしております、ほー。 

なお、元データは、東亜天文学会の「火星通信」Webサイトを参照しました。ちなみに東亜天文学会というのは「学会」と名前がついていますが、アマチュアの同好会です。ただ海外とも盛んに研究交流するなど、かなりレベルが高い人の集まりでございます。

なんで接近するの?

さて、ここで、なんで火星が「接近」するのかでございます。細かいところは国立天文台の説明を読んでいただくとして、すげー、ざっくりいうと…

地球が火星を「追い抜く」からです。で、それが2年2か月ごとなんですな。

で、追い抜く=接近は、こうイメージしてください。

  • A:前を歩いている人がいます
  • B:自分は、後ろから早足で歩きます
  • C:そのうち、前の人はどんどん近づきます(そりゃそうだ)
  • D:で、追い抜くときが、いちばんの接近です。

え? バカにするな? そう思うあなたは、他の人よりイメージ能力が高めなんですよ。なかなかソラでイメージできないんですよー。私のような凡人は。

2年2か月という周期があるのは、火星と地球がそれぞれ、太陽の周りをまわっているからです。その回転周期が地球は1年、火星は1.8年なので、2年チョイごとに地球が火星を追い抜くのですなー。どこでもサイエンスの第88回の図なども参照してくださいまし。

(後編は4月11日に掲載します)

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。