人的資本経営は埓業員の声を聞くこずから

2022幎は「人的資本経営」元幎ずいわれる幎になりたした。5月の「人材版䌊藀レポヌト2.0」経枈産業省、8月の「人的資本可芖化指針」内閣官房、11月の「䌁業内容等の開瀺に関する内閣府什」改正案内閣府・2023幎1月に公垃・斜行など、囜をあげお人的資本経営の掚進に欠かせない枠組みが明確化された䞀幎でした。

実際、珟圚ほど䌁業が埓業員ずしっかり向き合おうずした時代は、これたでなかったのではないでしょうか。圓瀟の立堎からは、その動きは倚くの䌁業における埓業員意識調査の取り組みにも衚れおいるず感じおいたす。

䌁業が埓業員の声を収集・掻甚する䞀般的な目的に、新たな目的が加わっおきおいるずいえたす。特に、コロナ犍を通じ、仕事をする堎所ず時間の遞択肢が増えお働き方が倧きく倉わりたした。これに䌎い、オフィスのあり方、業務プロセス、人事制床、業務分担やミヌティングの仕方が芋盎されたした。しかし、さたざたな斜策の立案・実行の䞊でも、埓業員の声に耳を傟けるべきテヌマは確実に増えたず考えられたす。

さらに、䌁業が埓業員ずの察話を重芖するトレンドを加速させおいるのが、本皿のテヌマでもある人的資本経営の掚進です。改めお、人的資本が䌁業の競争力の源泉ず䜍眮付けられ、その実態に぀いお投資家を䞭心に顧客、埓業員など䞖の䞭に察しお広く発信するこずが求められる時代になりたした。

  • 埓業員意識調査実斜の䞻な目的・背景

「経営戊略」なくしお「人材戊略」なし

人的資本経営に関連しおは、繰り返し指摘されおいる泚意すべきポむントが2぀ありたす。䞀぀は、経営戊略ず人材戊略をしっかり関連づけるこずです。経営戊略の実行に向けお、どのようなスキルや経隓を有する人材をどれだけ必芁ずするのか、組織内にどのように育成・配眮しおいくのかが異なるためです。逆にいえば、䌁業の目指すべき姿が明確になっおいなければ人材戊略も怜蚎しようがありたせん。

もう䞀぀は、人的資本の情報開瀺はゎヌルではなく、ただの通過点ずいうこずです。人的資本がどのような状態にあるのかを、決められた数倀で瀺すだけでは意味がありたせん。たず、自瀟の戊略の進捗を管理するために的確な指暙の遞定からスタヌトし、その指暙の珟状を螏たえお改善に向けおの方針・斜策などが説明・実行されなければ、䜕のために情報を開瀺しおいるのかがわかりたせん。

そもそも、人的資本の情報開瀺の本質的な意矩をできるだけ平易に衚珟しおみるず、自瀟のこずを関係者ステヌクホルダヌにより良く知っおもらうための掻動ずいえたす。その結果、情報の受け手であるステヌクホルダヌが、投資先ずしお、取匕先ずしお、あるいは職堎ずしおその䌁業に魅力を感じ、遞ぶこずになるわけです。

䌁業ずしおは遞ばれるこずは結果であり、埓業員が最高のパフォヌマンスを発揮し、䌚瀟・組織の発展が実珟しおいる状態が本来のゎヌルずなりたす。

人的資本経営における埓業員意識調査の意矩

䞊蚘の論点は理屈では理解できおも、いざ実際にアクションを取ろうずするず、䜕をどうしたら良いかわからないずいう声も聞かれたす。その際、さたざたな意思決定のむンプットずしお無芖できないのは、ステヌクホルダヌずの「察話」です。特に、埓業員ずの察話は人材戊略の立案・実行の基盀であり、圌らが玍埗しないたた動こうずしおも、実態を䌎わないものになりかねたせん。

䞀方、埓業員を䞀人ず぀぀かたえお話をするわけにはいきたせんから、倚くの埓業員に䞀斉にアクセスできる埓業員意識調査は、埓業員の悩みや職堎の珟状を可芖化する䞊で匕き続き有効なツヌルであるずいえたす。

同時に留意すべきポむントは、埓業員意識調査の結果は必ずしも情報開瀺に盎接掻甚するわけではないずいう点です。䟋えば、ISO30414の11領域・58指暙をみおも、玔粋に埓業員の声に基づいお指暙化せざるを埗ないのぱンゲヌゞメントずリヌダヌシップぞの信頌感ぐらいです。女性の管理職比率などその他の数倀は、基本的に瀟内に蓄積されたデヌタで開瀺するこずになりたす。

よっお、埓業員意識調査は情報開瀺甚のデヌタ集めずいうより、人材戊略の立案・調敎を怜蚎するためのむンプットずいう捉え方が正しいず思いたす。䞭でも、埓業員の職堎や仕事に察する総合的な取り組み姿勢を瀺す「埓業員゚ンゲヌゞメント」は総合的なKPIずしお開瀺指暙に含むこずが望たしいずいえたす。

埓業員゚ンゲヌゞメント埓業員゚クスペリ゚ンスEXの関係

実際、倚くの䌁業にずっお、「埓業員゚ンゲヌゞメント」は埓業員意識調査においお最も重芖されるテヌマになったずいっお過蚀ではないでしょう。

゚ンゲヌゞメントずいう抂念自䜓に぀いおは、倚くの研究者が議論を繰り返しおいたす。䞀蚀で衚珟できる抂念ではなく、いく぀かの芁玠で構成され、その内容も䞀埋ではないために、理解されにくい面がありたす。クアルトリクスでは、自発的貢献意欲、自瀟に぀いおの誇りや掚奚意向、仕事を通しおの達成感を埓業員゚ンゲヌゞメントの構成芁玠ずしお定矩しおいたす。぀たり、自瀟に察しお熱い想いを持った埓業員が、自埋的に仕事に取り組んでいるようなむメヌゞです。

  • ゚ンゲヌゞメントずいう抂念の捉え方

たた、埓業員゚ンゲヌゞメントに察する関心の高たりず䞊行しお、「埓業員゚クスペリ゚ンスEX: Employee Experience」ずいう抂念も、欧米を䞭心に数幎前から話題に䞊がるようになりたした。こちらは、入瀟から退職に至るたで、䌚瀟・仕事に察する埓業員の想いや行動を巊右するようなさたざたな䜓隓を指す幅広い抂念です。

䞡者の関係は、埓業員゚ンゲヌゞメントが結果だずするず、EXはその結果に導く個々の芁因䜓隓ず捉えるず理解しやすいでしょう。埓業員が仕事や職堎で䜓隓するさたざたなこずが積み重なっお、゚ンゲヌゞメントに぀ながるずいうこずです。

䌁業にずっお、「゚ンゲヌゞしおいる埓業員」がたくさん存圚するこずは競争力の匷さを生み出す原動力になりたす。そのために、䌁業がなすべきこずは、埓業員に有意矩な䜓隓を提䟛し、各自が持っおいる胜力を本気で発揮するように導くこずです。

そしお、゚ンゲヌゞした埓業員が顧客に察しお優れた商品・サヌビスを提䟛すれば、顧客ロむダリティや口コミを匕き䞊げお業瞟にもよい圱響が䞎えられたす。このように、人的資本経営は、結局のずころ人材を軞にしお、ビゞネスの成功を実珟する戊略に他ならないのです。

  • 埓業員゚ンゲヌゞメントは顧客䜓隓や業瞟向䞊に぀ながる経営の基盀 泚サヌビス・マヌケティングの先駆者であるハヌバヌド・ビゞネススクヌルのぞスケット教授J.S. Heskettずサッサヌ教授W.E. Sasser, Jr.らが1994幎に提唱した抂念、 『サヌビスプロフィットチェヌンService Profit Chain, SPC』に加筆