顧客の声を包括的な顧客体験の改善に生かせていない原因とは

「顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス:CX)」という言葉、その影響力に注目が集まり始めてから、数年がたとうとしています。製品・サービス、ビジネスのあり方を顧客の視点から再構築する取り組みは、多くの企業で実施されてきました。しかし、その実態としては「NPSなど顧客推奨度を測っているだけ」のケースや、「CX向上=効率化と定義している」部署内で情報が完結しているケースが見受けられます。

顧客の声を包括的な顧客体験の改善に生かせていない原因の一つに、オムニチャネル化(Web、チャット、電話、対面)が進む中で、各接点で顧客からのフィードバックを得ていながら、それを他部門と共有して複数部門で議論を進められていないことがあります。

オムニチャネルに関しては、「お客さまがよく使うチャネルの声は聞いている」「Web、チャット、電話、対面の必要性を理解しているから十分」というケースが見受けられます。しかし、クアルトリクスでXM(体験管理)に関する調査やXM推進を加速するための情報発信を行っている「XM Institute」の調査結果によると、同じ消費者でも事柄によって希望するチャネルが違うことがわかりました。

例えば、テクニカルサポートや請求書の問題解決など、不安・疑問を解消したい場合は電話を希望する傾向(それぞれ35%と44%)にあります。また、ゆっくり吟味して相談することを希望する、銀行口座を開く(口座開設後に投資やローン相談が想定される)場合は対面を希望すること(それぞれ52%、39%)が多いのです。

各事象とチャネルを掛け合わせて消費者の声を取ることが大事

下図は、お客さまがたどるカスタマージャーニーを一般化した流れです。先述したXM Instituteの調査によりますと、たとえ同一の人物だとしても、ステージごとにさまざまなチャネルを使い分けていることがわかっています。

  • カスタマージャーニーを一般化した流れ

例えば、「Web広告を見て認知→商品や企業について友人に相談→企業HPをみて詳細確認→店舗にて実物確認→オンラインで購入」というパターンが考えられます。

また、「友人の口コミで商品を認知→Webで調査や比較→店舗にて実物確認してから購入→トラブル発生時は電話サポートへ連絡」というパターンもあります。

つまるところ、各事象とチャネルを掛け合わせて消費者の声を取ることが顧客起点の体験の改善には必要不可欠であると言えるのです。そして全体を俯瞰した情報を企画部門だけが見るのではなく、関わっている各部門にも共有することで顧客目線を意識しやすくなってきます。

全社的な取り組みが必須の顧客体験:場合によっては社外との連携も

前段では顧客視点でジャーニーを俯瞰し、事象とチャネルの掛け合わせで体験を分析していくことの必要性を説明しました。次は、具体的に社内でどのように改善を推進していくかを整理していきます。

下図は、製品の検討から購入、配達から商品が届いた後のサポート、その後の更新までのカスタマージャーニーに沿って、どのようなステークホルダーが関わっているかを示したものです。

  • 顧客体験とステークホルダー

BtoBビジネスでは、営業やカスタマーサクセスなどの部門が顧客と関わりますが、契約時には経理、また導入時にはカスタマーサポートなど、それ以外にもさまざまな部門が関わります。

関わるステークホルダーが社内に限らない場合もあります。購入後のお問い合わせをコールセンターなどに外部委託している場合、また設置工事など保守・サポートはパートナー企業が担当している場合は、社外のステークホルダーが顧客体験を提供することになります。

いずれのケースでも、顧客起点で考えるのであれば、関わっているステークホルダー全員が一人の顧客がたどっているジャーニーを見て、お客さまがどのような状態なのか、その際抱いた気持ち・感情は何だったのかを理解することが重要です。各ジャーニーにおけるそれぞれの顧客の感情を一つのプラットフォームで収集・管理・分析を行うと、効率よく全ステークホルダーに共有することができます。

とはいえ、一つのプラットフォームで何のデータを取得すれば、顧客体験の改善につながるでしょうか。