ChatGPT for Excelをビジネスで使おう
本稿執筆時点で、ChatGPT for Excelが提供している機能は次の6つの関数だ。
- AI.ASK("質問")
- AI.LIST("質問")
- AI.FILL(サンプルデータ範囲,推測してほしいデータ範囲)
- AI.EXTRACT("元データ","抽出してほしいデータの指定")
- AI.FORMAT(元データ,"求めるフォーマットの指定")
- AI.TRANSLATE("元テキスト","翻訳先の言語の指定")
少ないと捉えるか、多いと捉えるかは個人差があるだろうが、これら6つの関数だけでもいろいろなことができる。開く人によって表示する内容が変わったり、インタラクティブに表示内容が変わったりするシートを作ることができる。
最終回となる今回は、そうしたスプレッドシートのサンプルを紹介しよう。
多言語対応のアンケートシートをつくる
業務によっては、日本語のみならず多言語言語に対応した資料を必要とすることがある。日本語をベースとする企業であれば、オリジナルの資料は日本語で作成し、それを各国言語に翻訳するといったビジネスフローが発生することになる。
ChatGPT for Excelを利用すると、この手の資料を単一のMicrosoft Excelのデータで済ませられる。
例えば、次のスプレッドシートは簡単なアンケートを模したものだ。
このアンケートのベースは日本語で、そのデータはB12:B15にまとまっている。B17:B20には英語のテキストが記載されているが、これは=AI.TRANSLATE()を使って翻訳したものだ。次のような感じでB17:B20にAI.TRANSLATE()が仕込んである。
翻訳する先の言語はD1に書いてある。このスプレッドシートを受け取った社員は、D1に自分の使っている言語を入力すると、その言語に表示が切り替わる仕組みになっている。
試しに、D1に「Chinese」と入力すると、スプレッドシートの表示は次のようになる。
表示されている中国語が適切なものかどうかは別途確認を行う必要はあるものの、作業が一気に自動化できることがわかるだろう。
この方法は対応している言語が多岐にわたるという点で協力だ。特定の言語への翻訳に対応したサービスはあるが、ChatGPTは対応している言語の数が多い。これは多言語を必要とする場合には重要なポイントだ。
例えば、D1に「Spanish」と入力すると次のようになる。
D1に「French」と入力すると次のようになる。
D1に「Portuguese」と入力すると次のようになる。
D1に「Italy」と入力すると次のようになる。
D1に「Korean」と入力すると次のようになる。
ここで使っているのはChatGPT for ExcelのAI.TRANSLATE()関数だけだが、これだけでも実務に応用できるシートを作成することができる。
本格的に使うならOpenAI APIの購入を検討する
OpenAI ChatGPTは登録を行えば無償で使えるが、ChatGPT APIを使うには支払いが必要だ。本稿執筆時点では5ドル分がフリートライアル分として提供されているのでとりあえず使ってみることはできる。ChatGPT for ExcelはChatGPT APIを使うアドインなので、試すことはできているわけだ。
もし、ChatGPT for Excelを使ってみて業務や日常で使っていこうと考えたのなら、その分を購入する必要がある。フリートライアル分の使用状況や本格使用へ向けた購入についてなどは「OpenAI API」から確認や操作を行うことができるので、こちらを参照していただきたい。
LLM技術を使って体験し、これからの仕事につなげる
ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)技術を活用したサービスやプロダクトは現在、急ピッチで普及している。プログラミングやコーディングの現場ではこの機能による支援は欠かすことができない存在になってきているし、文書処理においてもLLM系サービスのありとなしでは作業の効率が大きく違ってくる。仕事を効率的に進める上で、LLM技術はもはや欠かせないものになっている。
LLMは普及が始まったばかりであり、使いこなしている人と、こうした技術の普及やできることを知らない人には大きな乖離がある状態だ。
しかし、今後はこの技術なくして仕事をするのは現実的ではなくなってくる可能性が考えられる。早い段階でこうした技術を使い、経験し、活用方法を模索していくことが大切だ。
ChatGPT for ExcelはMicrosoft Excelというビジネスマンになじみの深いアプリケーションで利用することが可能で、その使い方も簡単だ。まだ使ったことがなければぜひ一度試してほしいアドインだ。