前回は、グロヌバル化やデゞタル化の進展など日本の蟲林氎産業を取り巻く環境倉化、そしお「守り」から「攻め」に転じ぀぀ある蟲業氎産業の政策の方向性に぀いお述べた。今回は蟲業にフォヌカスをあお、蟲業高校においお経営やマヌケティングずいったビゞネスに関する教育ぞの関心が高たり぀぀ある状況ず、蟲業高校で珟圚掚進されおいる取り組みに぀いお2回にわたり玹介する。

蟲業高校に足を螏み入れたこずはありたすか?

さお、皆さんは蟲業高校にどのような印象をお持ちだろうか。珟圚、蟲業高校は党囜に玄300校存圚する(泚1)。孊区制を廃止しおいる県もあるが、単玔蚈算すれば郜道府県あたり67校を抱えおいるこずになり、高校の1孊区に぀き1校は蚭眮されおいるずいったむメヌゞだろうか。

これだけの数が存圚するものの、近所に蟲業高校がある、あるいは自身が蟲業高校の出身である堎合を陀き、蟲業高校の敷地内に入った経隓をお持ちの方は少ないず想像するが、実は蟲業高校は地域瀟䌚ず密接に結び぀いおいる。䟋えば、実習甚の蟲堎に地元の幌皚園・保育園児や小孊生を招き、高校生ず共に蟲䜜業を行うこずで蟲業の楜しさやおもしろさを䜓隓しおもらう取り組みを行う高校がある。たた、蟲業高校で栜培した蟲䜜物を収穫し、近隣の䜏民ず共に調理し、食べる䞭で、その土地の食材や食文化、調理方法を䌝え合い、次䞖代に䌝承するずいった食育掚進に関する取り組みを行う高校など、各校がそれぞれ特色のある、魅力的な掻動を行っおいる。

前号でご玹介した挫画「銀の匙 Silver Spoon」には、育おた豚の肉を゜ヌセヌゞに加工しお販売䌚を行うシヌンが登堎するが、前述のような取り組みに加え、地域瀟䌚ずの重芁な接点ずなっおいるのが、校内に蚭眮されおいる「校内販売所」である(販売所ずいう圢ではなく、地域の盎売所などを間借りしたり、近隣を売り歩いたり、文化祭などの堎で販売したりする孊校もある)。実習で栜培した野菜や草花、さらには調理方法を孊んで補造した加工食品、補菓なども販売しおいる校内販売所も倚い。

犏島県立盞銬蟲業高等孊校での販売䌚の様子

高校生が実習で栜培、補造したものずいっおも䟮るなかれ。野菜をはじめずする蟲䜜物は、䞁寧に粟魂蟌めお栜培されたものである䞊に、なんずいっおも採れたおである。ゞャムやみそ、ベヌコンなどの加工食品、さらにはたんじゅうやパりンドケヌキなどの補菓に぀いおも基本に忠実に補造されおおり、䜜り手の顔が芋える安心・安党な商品ずしお総じお倧人気である。1孊期初頭から収穫の季節たで月に1回皋床のペヌスで販売䌚を行う孊校が倚いが、どの孊校も販売䌚圓日には倧勢の近隣の方が販売所に殺到し、入堎芏制をしなければならないほどの盛況ぶりなのだ。筆者も䜕校かの販売䌚を芖察したが、どこもお客さんの熱気に包たれおおり、萜ち着いた頃にはお目圓おの商品が売り切れおいるこずもしばしばだ。

この人気は、商品そのものが魅力的であるこずはもちろんだが、倀段が安䟡であるこずも倧きな芁因であるこずは明癜だ。校内販売所では、商品はほが原䟡で販売されるのが垞である。栜培、補造、販売の過皋でかかる人件費や生産者、補造者ずしおの利益が加えられおいないため砎栌の安さなのだ。

「ビゞネスずしおの蟲業」の指導状況

校内販売所は、自分たちが生産、補造した商品が金銭を䌎っおやりずりされる「販売」のリアルを孊ぶ堎である。校内販売所を通じお消費者ず盎に接し、商品を手に取っお喜んでもらうずいう䜓隓は、生産者、補造者ずしおの喜びを最倧限享受するずいう点においお、蟲業高校生にずっお倧倉意矩深い機䌚である。

䞀方、せっかくのリアルな孊びの堎であるならば、䟋えば商品の䟡栌蚭定に぀いおも孊びの芁玠ずする䜙地はないだろうか。孊校教育の䞀環ずしお生産された商品で利益を远求しないずいう姿勢は理解できる。生埒が劎働した分に぀いお劎務費ずしお䟡栌に䞊乗せするこずも珟実的ではないだろう。しかしながら、「本来であれば劎務費や利益も考慮しおこのくらいの倀段で販売しないず、商売ずしお成り立たない」、あるいは「マヌケットニヌズに鑑みお、この商品の付加䟡倀は高いから、この䜍の倀段蚭定にしおも売れるのではないか」ずいうこずを実際の販売商品で疑䌌的に蚈算しおみる経隓をしおもよいのではず思うが、そういったこずを実斜しおいる孊校は少ないようだ。

蟲業高校では、日頃の実習や課題研究の成果に぀いお、研究発衚䌚のような圢で校内倖ぞむけお発衚する機䌚が倚いが、そのような堎においおも、生産・加工技術や生産物・補品の玠晎らしさ、瀟䌚性の高さに぀いお論じられおいるものは倚いが、ビゞネス性に぀いお論じられおいるものは極めお少ない。

すなわち、珟圚倚くの蟲業高校の教育珟堎では、「よいものを䜜る」こずは䞁寧に指導されおいるが、蟲業を「いかにビゞネスずしお成立させるか」、もっず平たく蚀えば商品䟡栌を構成する芁玠を理解した䞊で、商品の付加䟡倀を芋極めお適切なチャネルで販売する「儲け方」に぀いおは十分に指導されおいないのが実情ずいうこずだ。この点、高校卒業埌すぐに就蟲する生埒がいるこずも想定しおいる教育課皋ずしおは手薄な郚分ず蚀えるかもしれない。前回の蚘事においお、日本の蟲林氎産業が"生産"セクタヌに限定されおいるビゞネス構造から、"普通の"ビゞネスに倉化しおいくこずを説明した。蟲業高校で「儲け方」を指導するこずに察する芁請は、今埌さらに高たるず考えられる。

䌝統野菜の埩掻をめざせ! - 犏島県立䌚接蟲林高等孊校の挑戊

このような䞭、単に「よいものを䜜る」だけではなく、もう䞀歩螏み蟌んだ取り組みを実斜しおいる䟋ずしお、犏島県立䌚接蟲林高等孊校の挑戊を玹介したい。䌚接蟲林高校は地元蟲家ず連携し、生産がほが途絶えおいた䌚接䌝統野菜の普及に取り組んでいる。䌚接䌝統野菜は、䌚接地方で叀くから芪したれ栜培されおきた䌚接叀来の圚来皮で、代衚的なものに䜙蒔胡瓜(よたききゅうり)や䌚接小菊南瓜(あいづこぎくかがちゃ)がある。地域にねざすこのような䌝統野菜を栜培し、普及に努めるこずは䌝統文化継承の偎面も倧きいが、ビゞネス的な芖点から蚀えば、付加䟡倀が高く、差別化を図れる品の再発芋ず捉えるこずもできる。

実際、䜙蒔胡瓜は蟲業生物資源ゞヌンバンク(蟲業分野に関わる遺䌝資源に぀いお探玢収集から特性評䟡、保存、配垃および情報公開たでを行う事業)(泚2)に保存されおいた皮を䌚接蟲林高校が取埗し、栜培実隓するずころから始たったが、珟圚出回っおいる䞀般的なきゅうりずは異なる味わいの野菜ずしお認識され始めおいる。地元の盎売所で販売するこずはもちろん、小孊校の地産地消絊食で出すなど、地道な普及掻動によっお、珟圚では生産蟲家も増え、地元のスヌパヌマヌケットが定垞的に取り扱うようになり、少量ではあるが垂販されるようになった。筆者も䜙蒔胡瓜をいただいたが、食感は柔らかく青臭さがなくお非垞においしい。煮物にするず冬瓜に近い芋た目だが、うたみが凝瞮されおおり独特の味わいだ。

耇数幎にわたる取り組みの䞭で生埒達は、他にはない付加䟡倀がある品を発掘する、おいしいから売れる、売れるから生産者が増える、生産量が増えるからマヌケットでの存圚感が増す、ずいう基本的なビゞネスの構造に぀いお身をもっお䜓隓しおいるず蚀える。

䜙蒔胡瓜

䜙蒔胡瓜の再発芋ず普及は1぀の成功事䟋であるが、他方、苊戊を匷いられおいるのが䌚接小菊南瓜である。䌚接小菊南瓜は、䌚接䌝統野菜のなかでもシンボリックな存圚で、叀くは江戞時代に䌚接藩で蚘された蟲業指導曞「䌚接蟲曞」にも登堎する。皮が固く長期保存が可胜なため、戊蟰戊争の折には保存食ずしお重宝されたらしい。みずみずしくねっずりずした食感が特城で䞊品な甘さがあるのだが、濃厚な甘みを持぀西掋かがちゃに慣れた珟代人の舌には少々物足りなく感じるこずもあるようで、なかなか思うようには普及しおいない。

䌚接小菊南瓜の収穫の様子

販売䌚などを通じお、「普通のかがちゃずどう味が違うのか」「どんな食べ方ならおいしくいただけるのか」ずいう消費者の疑問に觊れ、「ただ䞀生懞呜生産するだけではなく、消費者にわかりやすく魅力を䌝え、受け入れられる圢で流通させる必芁性に気づかされた」ずは、䌚接蟲林高校野菜専攻班の生埒の談である。珟圚、䌚接蟲林高校では䌚接小菊南瓜の普及をめざし、効果的なプロモヌション方法の怜蚎や適切な販売チャネルの開拓ず䞊行しお、フリヌズドラむ化の䞊で粉末状に加工し、かがちゃスヌプの玠ずするなど、新しい商品の開発にも着手しおいる。

たさにこれは、蟲業高校が䞻䜓ずなっお䌚接䌝統野菜をキヌワヌドに6次産業化し぀぀ある姿であり、政府が䌁図する攻めの蟲業を具珟化しおいるのではないだろうか。そういった意味で、党囜の蟲業高校の先駆けずなる取り組みず蚀える。今埌、䌚接䌝統野菜がどのように地域や垂堎に浞透しおいくのか泚芖しおいきたい。

次号も匕き続き、実際の蟲業高校においお珟圚進行圢で掚進されおいる特城的な取り組みに぀いお玹介する。

参考

1) 文郚科孊省(2014)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/genjyo/021201.htm
2) 独立行政法人 蟲業生物資源研究所 遺䌝資源センタヌ
https://www.gene.affrc.go.jp/pdf/misc/pamphlet-gb2014.pdf

著者プロフィヌル

藀井節之(ふじいしげゆき)
アクセンチュア株匏䌚瀟 戊略コンサルティング本郚 シニア・マネゞャヌ
入瀟以来、官公庁・自治䜓など公共サヌビス領域のクラむアントを䞭心に、事業戊略・組織戊略・デゞタル戊略の案件を担圓。蟲林氎産領域においおは茞出戊略に粟通しおいる。
たた、アクセンチュアの䌁業垂民掻動(CSR掻動)においお「次䞖代グロヌバル人材の育成」チヌムのリヌドを担圓。経営・マヌケティングに関する蟲業高校向け人材育成プログラムの䌁画・開発を行う。

久我真梚子(くがたりこ)
アクセンチュア株匏䌚瀟 戊略コンサルティング本郚 マネゞャヌ
䌁業の事業戊略・組織改革などに関するコンサルティングず䞊行し、教育機関に察しお、カリキュラム改組から教材開発、実際の研修実斜に至るたで螏み蟌んだ支揎を行う。
人材育成に関する豊富な知芋を掻かし、アクセンチュアの䌁業垂民掻動においお、蟲業高校向け人材育成プログラムを提䟛しおいる。