前回は、ヤマトグループが導入する貨物輸送機(フレイター)、A321-200 P2F(Passenger to Freighter)のうち、機体の話をメインに取り上げた。今回は、航空貨物輸送において欠かせないツールであるコンテナと、それを積み込む仕組みを紹介しよう。連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照。
AAYコンテナとAKHコンテナ
ヤマトグループが導入するA321-200 P2Fの最大搭載量は28トン。もっとも、航空貨物に限ったことではないが、スペースと重量の両方が満杯になることは滅多にないと思われる。10トントラック5~6台分との数字も示されており、体積ベースではそういう話になるのだろう。
貨物の搭載にはコンテナを主用するが、メインデッキにAAYコンテナを14台、ロワーデッキにAKHコンテナを10台、それぞれ搭載できる。余談だが、コンテナ以外に、ULD(Unit Load Device)という言葉も使われている。このAAYコンテナとAKHコンテナ以外に、PAGパレット(サイズは3,175mm×2,235mm)も使用できる。
航空貨物用コンテナの特徴は、サイズ・形状にさまざまなバリエーションがあること。機種ごとの断面形状・サイズの違いや、メインデッキ・ロワーデッキの違いがあるため、それに合わせた結果である。そのうち、A321-200 P2Fが搭載するのは、AAYコンテナとAKHコンテナの2種類だ。
AAYコンテナは、胴体断面に合わせて上半分の左右を斜めに落とした形状。下面側の幅は3,175mm、上面側の幅は810mm、前後長さは2,235mm、高さは2,063mm(情報ソースによって多少の変動がある)。A320ファミリーだけでなく、ボーイング737のメインデッキにも載せられるようだ。
一方、AKHコンテナは、胴体断面に合わせて下半分の左右を斜めに落とした形状。上面側の幅は2,438mm、下面側の幅は1,562mm、前後長さは1,534mm、高さは1,143mm。
つまり、AAYコンテナの方が幅が広く高さがある一方で、上部が強く絞り込まれた形状になっている。胴体断面をギリギリまで活用しようとした結果として、こういう断面形状・寸法になっている。
このように、メインデッキで使用するコンテナとロワーデッキで使用するコンテナは断面形状や寸法が異なる。だから、輸送する貨物の形状・寸法によっては、搭載に利用できるコンテナが制約されるかもしれない。
コンテナの搭載・卸下は左右から
前回にも解説したように、A321-200P2Fはメインデッキとロワーデッキの双方にコンテナを搭載するが、ロワーデッキに出入りするための扉は右舷側にある。それに対して、メインデッキに出入りするための扉は左舷側にある。
だからコンテナの搭載・卸下を行う際には、左右からカーゴローダー(ハイリフトローダー)が機体に取り付くことになる。すべて右舷側からやろうとすると、メインデッキ用のカーゴローダーとロワーデッキ用のカーゴローダーの動線が干渉しそうだが、左右に振り分ければ、そうした問題は起こらない。
報道公開では、メインデッキにAAYコンテナを搭載する模様が実演された。