今回のお題は前回に引き続き「燃料補給」。普通、燃料補給は地上あるいは艦上に降りた機体に対して行う。もっとも、空中給油というものもあり、飛んでいる機体に対して、空中給油機から燃料を送り込む手法も(軍用機の分野では)広く用いられている。連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照

ホバリングしているヘリコプターに給油

ところがヘリコプターの場合、もう一つの燃料補給がある。それが、ホバリングしているヘリコプターに対する給油。米海軍の水上戦闘艦が、搭載するヘリコプターに対して多用している方法で、HIFR(Helicopter In-Flight Refueling)と称する。その模様を撮影した写真が以下のもの。

  • 米駆逐艦「バリー」(DDG 52)の艦上で、MH-60Rヘリコプターに対してHIFRを実施している様子 写真:US Navy

もっとも、厳密にいうと艦は停止していないから、ヘリコプターは艦との相対位置を保つために、艦と同じ針路・同じ速力でゆっくり飛行することになる。艦とヘリコプターの相対位置からすれば「ホバリング」で間違っていないが、地球から見た絶対位置からすれば「ホバリング」とはいえないことになる。

閑話休題。米海軍の艦載ヘリコプターは空中受油プローブを備えていない。だから、米空軍の特殊作戦ヘリコプターや救難ヘリコプターがやっているように、空中給油機から空中受油プローブを通じて燃料を受け取ることはできない。では、どうやって給油を行うのか。

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