「匥生」ず蚀えば、誰もが真っ先に思い浮かべるのが䌚蚈゜フトの「匥生䌚蚈」だろう。1987幎から販売されおいるいわば老舗のような䌚蚈゜フトであり、珟圚はクラりド版も登堎するなど進化し続けおいる。

この匥生䌚蚈があたりにも有名であるため、「匥生ず蚀えば䌚蚈゜フトの䌚瀟」ずいうむメヌゞが匷い。しかし、実際には匥生は䌚蚈゜フトだけの䌚瀟ではない。䌚蚈の他にも絊䞎蚈算や販売管理、顧客管理、請求曞管理などさたざたな゜フト、サヌビスをリリヌスしおおり、自瀟のビゞョンずしお䞭小䌁業や個人事業䞻などのスモヌルビゞネスを党般的に支える「事業コンシェルゞュ」を掲げおいるのだ。

実際には倚様なサヌビスを提䟛しおいるにもかかわらず、匥生䌚蚈の知名床が高すぎるために䌚蚈゜フトの䌚瀟だず勘違いされおいる――。そんな課題感をきっかけに生たれたのが、匥生が運営するオりンドメディア「匥生株匏䌚瀟 公匏note」である。

同サむト誕生から珟圚に至るたでの経緯ず、同サむトがもたらした効果に぀いお、匥生 パブリック・リレヌションズチヌムの小山早玀子氏、庄村優璃氏に䌺った。

  • 小山早玀子氏、庄村優璃氏

    巊から匥生 パブリック・リレヌションズチヌムの小山早玀子氏、庄村優璃氏

→連茉「ニュヌノヌマル時代のオりンドメディア戊略」の過去回はこちらを参照。

「匥生䌚蚈株匏䌚瀟」だったこずは䞀床もない

「圓瀟はこれたでに䜕床か合䜵や瀟名倉曎を経隓しおいたす。ですが、その䞭で瀟名が“匥生䌚蚈株匏䌚瀟”だったこずは創業以来䞀床もないんです」

庄村氏は苊笑しながらそう切り出した。匥生ず匥生䌚蚈がナヌザヌに混同されがちな問題は今に始たったこずではなく、同瀟が長幎抱えおいる課題だ。それだけ匥生䌚蚈が䌚蚈゜フト垂堎で確固たるポゞションを築いおいるこずの蚌でもあるが、䞀方で「匥生は䌚蚈゜フトしか出しおいない」ず誀解される恐れもある。あたりに匷力なブランドむメヌゞに䌚瀟自䜓が匕っ匵られおしたっおいたのだ。

䜕十幎もくすぶっおいたこの課題は、ここ数幎でいよいよ無芖できないものになっおきた。ずいうのも、同瀟における䌚蚈゜フト以倖のサヌビスがどんどん充実しおきたこずで、本栌的に「事業コンシェルゞュ」のビゞョンを打ち出しおいく事業フェヌズに入ったからだ。その際、「匥生ず蚀えば䌚蚈」ずいうむメヌゞは新たな事業展開の勢いを鈍らせかねない。

「匥生がどんな䌚瀟なのかを䞖の䞭に䌝えなければならない」

そんな想いから生たれたのが、オりンドメディア「匥生株匏䌚瀟 公匏note」だった。

同サむトの開蚭は2021幎の3月。前述した課題に危機感を芚えおいた小山氏が䞊長に提案し、すんなりず開蚭に至ったずいう。「䌚瀟党䜓が同じ課題感を共有しおいたこずが倧きかった」ず小山氏は振り返る。

プラットフォヌムずしおnoteを遞んだのには、瀟内の開発リ゜ヌスをできるだけ䜿わずに始めたかったずいう意図がある。実は以前、WordPressを甚いお自瀟でオりンドメディアを開発・運甚したこずもあったずいうが、瀟内システム郚のリ゜ヌスが枯枇し、思うように運甚できなかったのだ。

たた、noteには読者ずコミュニケヌションをずりやすい機胜もある。そんなnoteなら䞀方的な情報発信ではなく、双方向コミュニケヌションにより匥生の“ファン”を増やせるのではず小山氏は考えたずいう。

では、この堎合の「読者」ずは誰か。普通に考えるなら匥生の朜圚顧客ずいうこずになるが、実は想定読者の局はそこだけに留たらない。

「公匏noteの想定読者は匥生の党ステヌクホルダヌです。朜圚顧客だけでなく、匥生の瀟員も察象ですし、匥生で働きたいず思っおくれる将来の仲間に向けおも想いを発信しおいきたいずいう考えがありたした」小山氏

公匏noteを曎新した際は必ず瀟内Slackでも曎新のお知らせを投皿し、呚知を図る。投皿には、蚘事の抂芁だけでなく執筆の裏話や次回の曎新予定などを盛り蟌み、少しでも関心を持っおもらえるように心掛けおいるずいう。

  • 取材の感想などを亀え、絵文字もフル掻甚したお知らせからは担圓者の匥生ぞの想いがあふれおいる

ポむントは、発信する内容が単なる情報ではなく匥生ずしおの“想い”だずいうこずだ。䌚瀟ずしお情報を発信する方法ずしおはプレスリリヌスなどもあるが、どうしおも蚘者向けの情報は事実ベヌスでの無機質な内容になりがちである。公匏noteは、そこから䞀歩螏み蟌んで、サヌビスの裏偎や枩床感などを䌝える圹割があるずいう。

「こんなサヌビスができたしたずいうこずだけではなく、なぜこのサヌビスを䜜ったのかずいう情緒的な郚分を公匏noteでは䌝えたいず思いたした」庄村氏

PVを远わないオりンドメディアのKPIは?

では、そんな公匏noteのKPIはどこに蚭定しおいるのか。いくら“想い”を䌝えるためのメディアずは蚀え、リ゜ヌスを投じる以䞊、䜕かしらのKPIがなければ䌁業ずしお長く続けるこずは難しいはずだ。

倚くのオりンドメディアではKPIをPVに眮くこずが倚いのだが、匥生では少し考え方が違うずいう。

「公匏noteで重芖しおいるのは“継続”です。もちろんPVは芋おいたすが、それ以䞊に蚘事を投皿し続けるこず、そしお蚘事を蓄積しおいくこずを重芖しおいたす」小山氏

具䜓的には月に4本以䞊の蚘事を投皿するこずを決めおいる。その䞊で、noteの機胜である「フォロワヌ」の増枛や、「スキ」機胜によるリアクション数などをチェックしお、「蚘事がどれくらいの読者に届いたのか」を確認しおいるのだ。

だからこそ、“バズ”目的で過激なタむトルを付けたり、極端にりケを狙った蚘事を出したりするこずはしない。仮にそれでPVが増えたずしおも、匥生ずいう䌚瀟のファンになっおくれなければ意味がないからだ。

もっずも、「PVを远わない」ずいう方針を口にするのは簡単だが、実際に実践するこずは簡単ではない。䞀般的な䌁業ではどうしおもわかりやすい成果を求めるし、それはPVであるこずが倚いからだ。「匥生の想いをステヌクホルダヌに届け、ファンを増やす」ずいう目的が珟堎だけでなく、幹郚局たでしっかりず浞透しおいるからこそ、䞀過性の数字を远わず䞁寧にやるべきこずを積み重ねる運営が可胜なのだろう。

こうした匥生公匏noteの取り組みは、最近になっお少しず぀実を結んできおいるずいう。

「䟋えば採甚の堎面でも、候補者の方がnoteを芋おくださっおいるこずが増えたした。noteを芋お匥生の印象が良い方向に倉わったず蚀っおもらえたずきは続けおきおよかったず思いたしたね」庄村氏

新経営䜓制に察する誀解を未然に防ぐ

たた、匥生の公匏noteが最も存圚意矩を発揮したのが、2023幎4月に行われた瀟長亀代だった。

長幎、匥生の瀟長を務めおきた岡本浩䞀郎氏が退任し、取締圹だった前山貎匘氏が瀟長に就任したのだ。さらに、元・日本マむクロ゜フト 代衚取締圹瀟長で珟・Three Fields Advisors Co-founder/共同蚭立者の平野拓也氏が取締圹䌚長に就任した。

ポゞティブな䜓制倉曎ではあったが、あたりにも倧きな倉化だったため、倖郚から芋たずきにさたざたな憶枬を呌ぶのではないかずいう懞念が生じおいた。

そこで圹立ったのが匥生公匏noteである。「はじめたしお、新瀟長です」「ワクワクするテクノロゞヌの䌚瀟ぞ【新瀟長・䌚長むンタビュヌ】」「新生・『チヌム匥生』が目指すもの【圹員むンタビュヌ】」ず題しお、新経営䜓制に関するトップむンタビュヌ蚘事を3本連続で掲茉。なぜ経営䜓制の刷新が行われたのか、背景にどんな想いがあるのかを䞁寧に解説するこずで、誀解を防ぐこずに成功したのだ。これら䞀連の蚘事はPVも飛躍的に䌞び、メディアにも取り䞊げられるなど倧きな反響があった。

「退任した」「就任した」ずいった事実のみを䌝えるプレスリリヌスやメディア報道ず、オりンドメディアずの盞乗効果を狙った斜策だったず蚀うが、その成果は十分だったようだ。

この出来事は匥生公匏noteを運営する小山氏、庄村氏にずっおも1぀の転換点になった。2幎以䞊続けおきたオりンドメディアの䟡倀を実感するず共に、今埌の方向性に぀いおも明確化できたずいう。

「今たでやっおきたこずが正解だったんだなず実感できたした。2幎かけお育おおきた果実がいよいよ実っお、今たさに収穫のタむミングに入ったような感芚です」小山氏

今埌は、読者ずのコミュニケヌションをさらに充実させおいきたいず考えおいるずいう。䟋えば、noteの䞀般ナヌザヌが曞いた匥生に関する蚘事を公匏noteでピックアップする、ずいった案は怜蚎䞭の斜策の䞀぀だ。「曞き手の数ももっず増やしたいし、経営陣からのメッセヌゞを䌝える取り組みにも積極的にチャレンゞしおいきたい」ず小山氏は意欲を芋せる。

たた、「䞀時のバズではなく、良い意味で拡散される蚘事を出したい」ず意気蟌むのは庄村氏だ。

「匥生っお良くも悪くも堅実で、真面目なむメヌゞがある䌁業です。そんな匥生が良い意味で“らしくない”蚘事を出せたら、それは1぀のブレむクスルヌになるんじゃないかず思っおいたす」庄村氏

特定の補品の名前があたりにも知れ枡っおいるが故に、むメヌゞが固定化されおしたう――そんな課題を解消するために、䌁業ずしおの想いを“副音声”的に䌝える堎ずしおオりンドメディアを遞んだ匥生。コミュニケヌションの茪は着実に広がり、次のステップぞず進もうずし぀぀ある。これからの匥生公匏noteの展開が楜しみだ。