ベリサーブは11月4日、東京都市大学メディア情報学部情報システム学科の増田聡教授と連携し、量子コンピューティングに関するソフトウエア品質保証技術の研究開発を開始したと発表した。第一弾としてQuemixの協力を得て、状態遷移テストのテストケース生成に量子アニーリング方式の量子コンピュータを活用する技術検証を実施したとしている。
量子コンピュータの活用と品質保証を2つの観点で研究
今回の研究では、量子コンピューティングをソフトウエア品質保証に活用する「QC4QA(Quantum Computing for Quality Assurance)」と、量子コンピューティングを利用するシステムの品質を保証する「QA4QC(Quality Assurance for Quantum Computing)」の2つの観点に着目する。
ベリサーブは、特にQA4QCを重要な研究テーマの一つに位置付けている。まずQC4QAの観点から量子コンピュータを利用し、その特性や品質上の課題に関する知見を蓄積する。得られた知見をQA4QCの研究開発に生かし、量子コンピューティングの特性を踏まえた品質保証技術の確立を目指す。
状態遷移を網羅するテストケースの生成を検証
第一弾の技術検証では、量子技術を専門とするQuemixの協力を受け、D-Waveの量子アニーリング方式の量子コンピュータを使用した。状態遷移テストは、システムやソフトウエアが持つ「状態」と、その状態を変化させる「イベント」に着目し、状態の遷移が仕様通りに行われるかを確認するテスト技法だ。
検証の対象は、実務で利用する規模の状態遷移モデル。仕様で定められた状態遷移を網羅しながら、できるだけ少ない手順で連続して実行できるテストケースの生成方法を検討した。従来型コンピュータによる二つの計算方法と量子コンピュータによる計算方法を用い、条件を満たすテストケースを生成できるかどうかを確認するとともに、手順数や処理時間の違いを比較した。
その結果、量子コンピュータの計算結果について、条件を満たしていない部分を従来型コンピュータで修正し、不要な経路を削除することで、仕様で定められた状態遷移を網羅した連続実行可能なテストケースを生成できたという。
処理時間で従来型コンピュータへの優位性は確認できず
一方、今回の検証条件では、従来型コンピュータで条件を満たす結果が得られる場合でも、量子コンピュータで計算できる形に問題を設定する過程で、条件に合うテストケースの生成が難しくなるケースを確認した。量子コンピュータの計算結果だけで必要な条件を満たすことも難しく、処理時間について従来型コンピュータに対する優位性は確認できなかった。
ベリサーブは今回の検証から、量子コンピュータを利用するプログラムやソフトウエアの品質評価では、計算結果だけでなく、計算に適した形への問題設計や計算後の処理を含め、一連の処理が最終結果に与える影響を評価する必要があるとの知見を得たとしている。
今後はQA4QCの観点から、量子コンピュータを利用するプログラムやソフトウエアの品質を確認・保証する方法について研究開発を進める。利用目的に応じた品質評価基準やテスト方法を検討し、量子コンピューティングにおける品質保証技術の確立を目指す。