ENEOSホールディングスが協賛するJ-WAVEのラジオ番組「ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-」でナビゲーターを務める堀田茜さんが、静岡市清水区にある次世代型エネルギー供給プラットフォーム「ENEOSみらいコネクト」を訪れた。
太陽光と蓄電池、EMSで電力を地産地消
「ENEOSみらいコネクト」は、ENEOS清水油槽所内の遊休地を活用した次世代エネルギー拠点。地域でエネルギーを生み出して効率的に利用するだけでなく、必要に応じて蓄えたり別のエネルギーに変換したりする仕組みを一体的に構築している。
敷地面積は約4万6,000平方メートル。東京ドーム約1個分に相当する広さで、ここに太陽光発電設備や大型蓄電池、水素ステーションなどが整備されている。
このENEOSみらいコネクトの中核となるのが、太陽光発電設備・大型蓄電池と、それらを統合的に制御しているエネルギーマネジメントシステム(EMS)だ。
敷地内には約3MWの発電能力を持つ太陽光発電設備があり、5,350枚の太陽光パネルが並ぶ。送電時の最大出力は約1,990kWで、1日あたりでは約1,000世帯分の電力をまかなえる計算になるという。
太陽光発電は天候によって発電量が変動するため、その変動を蓄電池で補完している。この施設には蓄電容量7.7MWhの大型蓄電池を設置しており、おおむね晴れた日の1日分の発電電力を蓄えられる。スマートフォンに換算すると約50万台分のバッテリー容量に相当する規模だ。
さらにEMSが気象データや電力需要をもとに発電と蓄電を制御する。発電量の多い時間帯には余剰電力を蓄電池に蓄え、需要が高まれば蓄えた電力を供給する。また、余った電力を水素の製造に回すこともできる。
こうして最適化された電力は専用の送電線を通じて静岡市清水文化会館マリナートや清水さくら病院などの周辺施設へ供給されており、地域でつくった電力を地域で消費する「エネルギーの地産地消」を実践している。
再生可能エネルギーから「グリーン水素」を製造
ENEOSみらいコネクトでは、太陽光から生み出した電力をそのまま使うだけではない。再生可能エネルギー由来の電力を使って水を電気分解し、「グリーン水素」を製造する取り組みも行っている。
その役割を担うのが「静岡清水水素ステーション」だ。
同ステーションには、電力会社の送配電網を介さない「自営線」を通じて、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力が送られる。この電力で水を電気分解し、製造時に二酸化炭素を排出しない水素をつくる。水素製造は施設内で製造から充填までを完結させる「オンサイト方式」を採用している。別の場所で製造した水素を輸送する必要がなく、輸送に伴う環境負荷を抑えられる。
水素の製造もEMSによって制御される。太陽光発電の発電量や蓄電池の稼働計画を踏まえ、需要予測に応じて水素をつくるタイミングや製造量を調整する仕組みだ。1時間に製造できる水素は約9kgで、燃料電池車「MIRAI」なら約1.5台を満タンにでき、走行距離では約1,000km分に相当するという。製造した水素は燃料電池車や燃料電池バスなどへ供給される。
電力を電気として消費するだけでなく、水素という別の形に変えて蓄えることで用途を広げられる。太陽光発電と蓄電池、水素を組み合わせることで、発電量と需要の変動にも柔軟に対応できるというわけだ。
災害時にもエネルギーを供給できる地域へ
ENEOSみらいコネクトが目指すのは、平常時に再生可能エネルギーを効率的に使うことだけではない。
自然災害などによって電力などのインフラが影響を受けた場合にも、地域内でエネルギーを生産して蓄えておく仕組みがあれば、エネルギー供給を維持しやすくなる。ENEOS Powerでは、このような災害時にもエネルギー供給を途絶えさせない仕組みを、地域でエネルギーを生産・消費することの大きな価値のひとつと位置付けている。
太陽光で発電した電力をその場で利用するだけでなく、大型蓄電池に蓄える。余剰電力から水素をつくり、モビリティにも利用する。ENEOSみらいコネクトではこうした複数の設備をEMSで連携させることで、地域内でエネルギーを循環させる仕組みの構築を進めている。目指すのは、脱炭素化と地域のレジリエンス向上を両立するエネルギーモデルの実現だ。
ENEOSグループは、この施設をカーボンニュートラル社会の実現に向けた先行事例のひとつとして位置付けており、清水での取り組みを今後につなげていく考えだ。


