この半導体ニュースのまとめ

・Mercedes-BenzとNVIDIAが次世代の運転支援・自動運転システムの共同開発を拡大
・MB.OSとNVIDIA Hyperion、Alpamayo Stack、Halosを組み合わせてフルスタック化
・市街地の運転支援から将来のSAEレベル4、ロボリムジンまでを開発対象に

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)とNVIDIAは10月16日、次世代の運転支援・自動運転システムの開発に向け、戦略的パートナーシップを拡大すると発表した。

Mercedes-Benzが持つ車両エンジニアリングと安全技術、車載OS「MB.OS」に、NVIDIAのアクセラレーテッド コンピューティングやAI、自動運転技術を組み合わせる。

両社はこれまでに、欧米市場に向け、市街地で出発地から目的地までの運転を支援するMercedes-Benzとして初となる運転支援システムを共同開発してきた。今回の提携拡大では、その協業を次世代の高度な運転支援と自動運転へ広げる。

MB.OSとNVIDIA Hyperionを連携

新たなシステムでは、Mercedes-BenzのMB.OSと、NVIDIAの車載コンピューティングおよびセンサーアーキテクチャ「NVIDIA Hyperion」を連携させる。

MB.OSは車両の各種機能を制御するとともに、新たな運転機能の追加や無線通信によるOTAアップデートを支える車載OSとなる。

NVIDIA Hyperionは、自動運転に必要となる車載コンピューティングとセンサーの構成を担う。カメラなどのセンサーから取得した周辺情報を処理し、自動運転ソフトウェアを実行するためのハードウェア基盤として活用する。

車両側のOSと自動運転向けコンピューティング・センサー基盤を連携させ、車両の販売後もソフトウェア更新によって運転機能を追加・改善できる構成とする。

Alpamayo Stackが運転状況を推論

自動運転ソフトウェアには、AIのリーズニング能力を備えた「NVIDIA Alpamayo Stack」を活用する。

Alpamayo Stackは、車両周辺の状況を認識するだけでなく、複雑な運転状況について推論し、どのように走行すべきかを判断するフルスタックの自動運転ソフトウェアとして位置付けられている。

市街地において出発地から目的地までの運転を支援する機能、事故回避などを支えるアクティブ セーフティ、自動駐車などへの対応を想定する。

NVIDIAの自動車担当バイス プレジデントであるAli Kani氏は、アクセラレーテッド コンピューティングによって、車両が周囲の環境を理解し、複雑な運転状況について推論するためのインテリジェンスを実現できるようになると説明している。

Halosが並列の安全スタックを追加

自動運転システムの安全性については、「NVIDIA Halos」をMercedes-Benzの安全基盤へ組み込む。

Halosは、自動運転機能を担うメインのシステムと並行して動作する安全スタックを含み、システムへ冗長性とガードレールを追加する。

運転状況を推論・判断するAlpamayo Stackに加え、独立した安全機能を並行して動作させることで、AIによる運転判断を安全面から支援する構成となる。

Mercedes-Benz Groupの取締役で、開発・調達担当の最高技術責任者を務めるJörg Burzer氏は、NVIDIAを自動運転分野における最も重要な戦略的パートナーと位置付けている。

同氏は、Mercedes-Benzが求める高い安全基準を維持しながら、自動運転に関する新たな技術を実際の道路へ展開する考えを示した。

将来のSAEレベル4とロボリムジンも視野

MB.OS、NVIDIA Hyperion、Alpamayo Stack、Halosを組み合わせたシステムは、高度な運転支援に加え、将来のSAEレベル4に相当する自動運転アプリケーションの開発も支える。SAEレベル4では、運行設計領域として定められた条件内で、システムがすべての動的運転タスクを担う。両社は、その応用先として、乗客の移動を自動運転で担うロボリムジンも挙げている。ただし、対象車種や提供地域、実用化時期などの具体的な計画は今回の発表では明らかにされていない。

市街地での出発地から目的地までの運転支援や自動駐車など、現在の運転支援機能を拡張しながら、より高度な自動運転システムの開発につなげる方針となる。

車両開発から生産までNVIDIA技術を活用

Mercedes-BenzとNVIDIAの協業は、自動運転システムだけにとどまらない。Mercedes-Benzは車両エンジニアリングのシミュレーションにもNVIDIAの技術を活用している。実際の車両を製作する前に仮想環境で設計や性能を検証し、開発工程の効率化に役立てる。

また、Mercedes-Benzのデジタル生産エコシステム「MO360」でも、仮想空間における生産計画やAIを活用したアプリケーションへNVIDIAの技術を適用している。

両社は、グローバルに展開するMercedes-Benzの生産ネットワーク全体を対象として、効率、柔軟性、品質のさらなる向上に取り組む。

Mercedes-BenzはMB.OSを車両側の基盤とし、NVIDIA Hyperionによる車載コンピューティングとセンサー、Alpamayo StackによるAIの推論と自動運転、Halosによる安全性を組み合わせることで、運転支援から将来のSAEレベル4までを支えるシステムを構築していくとしている。