オムロンは、創業以来93年続く“祖業”の電子部品事業を、米国の投資会社・The Carlyle Group(カーライル)に売却する。カーライルが設立する特別目的会社の完全子会社に、2026年10月1日に譲渡する予定だ。譲渡事業価値は810億円としている。

同社は、直近の大きな事業環境の変化への直面を背景とし、2025年9月19日付で「デバイス&モジュールソリューションズビジネス」(電子部品事業、以下DMB)の分社化の検討開始を公表していた。

この分社化によって「事業スピード向上のメドは立った」としつつ、「現在の事業環境下では、想定以上に迅速かつ大規模な投資が必要であることを再認識し、DMBをカーライルへ譲渡することが最適との結論に至った」と、電子部品事業の売却理由を説明している。

DMBのカーライルへの売却にあたり、まず子会社のオムロンデバイスを承継会社として、DMBを吸収分割の方法で承継。その後、オムロングループ内で海外各国・地域におけるグループ会社が保有する、DMB関連の株式と資産等の譲渡を実施し、グループ内再編を行う。この吸収分割は6月24日の株主総会決議で承認され、7月1日が効力発生日となる予定だ。

その後、10月1日にオムロンデバイスの全株式を、カーライルが設立する特別目的会社「TCG2601」(SPC1)の完全子会社「TCG2602」(SPC2)に譲渡する予定。オムロンデバイスの社名は「Aratas株式会社」へ、吸収分割の効力発生後に変更予定となっている。

オムロンは事業譲渡後、SPC1に対し、オムロンの株式保有割合が5%となるよう出資する予定。オムロンはこれにより、「承継会社およびそのグループ会社との間で、販売面での連携機会を適切に維持しつつ、独立会社としての新プロセスへの安定的移行を支援する」としている。

医療向けから始まったオムロンの祖業、中国新興など台頭で売却へ

オムロンの祖業である電子部品事業(DMB)の歴史は古く、1933年の創業期に医療現場向け「レントゲン写真撮影用タイマ」の製造から始まって以来、リレーやスイッチ、センサーといったデバイスを中核に展開してきた。

同社はこうした品質を高めたデバイス群によってさまざまな産業の発展に寄与してきたとし、「自動改札を含む無人駅システムなど、社会システム実用化を支える要素技術として、また、産業機械を中心とした制御機器事業の基盤を形成し、オムロングループの価値創造を支える技術基盤の一翼を担ってきた」とコメントしている。

「堅実な成長を長期にわたり実現してきた」というDMB。しかし、EV(電気自動車)向けの高容量リレー市場が急速に拡大する一方で、「中国ローカル競合を筆頭に新たなプレイヤーが台頭し、市場機会を競合に先駆けて機動的にとらえるために、今まで以上の事業スピード・投資拡大が必要になった」(同社)という。

こうした外部環境の変化を踏まえ、DMBの自律的な事業運営体制の構築と持続的成長に向けた検討を、外部企業とのパートナーシップも視野に入れて進めてきたが、前述の通り、カーライルへDMBを譲渡することが最適という結論に至ったとのこと。

オムロンはこの決定について、「DMBにとって最適な成長環境を整えると同時に、当社が『中期ロードマップ SF 2nd Stage』(2025年11月公表)で掲げる事業ポートフォリオの再構築の加速、インダストリアルオートメーション(IA)を中心としたデバイス事業領域と、データサービス事業領域における13の注力事業の拡大に向け、投資のさらなる集中を可能とするもの」とコメントしている。