Towerが魚津工場を完全子会社化、生産能力を4倍に拡充へ

Tower Semiconductorが、合弁会社として運営している日本のアナログファウンドリであるタワー パートナーズ セミコンダクター(TPSCo)の300mmファブである魚津工場(富山県魚津市)を完全子会社化して生産能力を4倍にするため増築する計画を発表した。この動きの裏には、Intelとの確執や経済産業省の支援によるシリコンフォトニクスへの巨額投資計画がある模様である。

Intelとのファウンドリ契約が白紙に

TowerとIntelの関係を振りかえってみよう。Intelはファウンドリ事業をレガシープロセス分野まで拡大することを目指して2022年2月、Towerを54億ドルで買収する計画を発表した。

しかし、契約期限内に必要となる中国規制当局の承認を得られなかったことから2023年8月に買収を断念。買収計画は不発に終わり、IntelはTowerに契約解除金として3億5300万ドルを支払うこととなるなど、両社の関係は振り出しに戻ったかに見えた。

ところが、TowerとIntelは2023年9月、新たな契約を締結したことを発表。Towerの顧客向けにIntelの300mmウェハ工場の製造能力を提供することになった。この契約によってTowerは、最大3億ドルを投じ米国ニューメキシコ州にあるIntelの新工場(Fab 11X)を利用し、65nm BCD(bipolar-CMOS-DMOS)プロセスおよびRF SOIプロセスなどでの製造を行うことになっていた。しかし2026年2月11日、Intel側がTowerの意に反してこの契約履行の拒否を表明したとTowerが決算説明会で明かにしていた。

Intelニューメキシコ工場で製造することになっていたデバイスはもともと日本の魚津工場で認定を取得していたものであるため、Towerはその製造分を魚津工場に再割り当てする必要が生じた。

期待されるシリコンフォトニクスの需要拡大

並行して近年のTowerは、魚津工場で製造される独自のシリコンフォトニクス技術(SiPho)に注力する姿勢も見せている。従来のシリコンフォトニクスソリューションと比較して最大2倍のデータレートを実現できるとしており、この技術を活用すれば、光接続における帯域幅とスループットを向上でき、AIインフラ上で稼働するAIアプリケーションの性能を向上させることが可能になるとしている。

Towerとしては、これらIntelのニューメキシコ工場で製造予定であった製品群、および期待されるSiPhoの市場成長に対応するためには魚津工場の生産能力を拡充する必要性が生じていたといえる。そこで、日本でシリコンフォトニクス分野の振興を図ろうとする経済産業省から補助金を得る形で、魚津工場のSiPhoラインに投資を行う形で、生産能力の拡充を図り、強靭なSiPhoプラットフォームを構築。AIインフラ、データセンターネットワーキング、先進通信分野におけるリーディング企業たちのファウンドリパートナーとなろうという方向で、事業の拡大を図ろうとしている模様である。

すでに同社は2月5日付でNVIDIAのネットワークプロトコル向けに設計された1.6Tデータセンター光モジュールに対応するSiPho技術を提供することも発表しており、この取り組みを受けたAI関連企業などからの発注の増加などによる成長を期待しているようだ。