GaNベースの650V耐圧双方向スイッチを製品化

ルネサス エレクトロニクスは3月23日、DCブロッキング機能の内蔵により、単一デバイスで正負両方向の電流を遮断することが可能な高耐圧650Vクラスの双方向スイッチ「TP65B110HRU」を発売した。

  • ルネサスの650Vクラス双方向スイッチ「TP65B110HRU」

    ルネサスの650Vクラス双方向スイッチ「TP65B110HRU」のパッケージイメージと適用イメージ (出所:ルネサス)

同製品は、バック・トゥー・バック構成で2個のFETを使用していた箇所に1個の双方向GaNを置き換えることで、太陽光マイクロインバータやAIデータセンター、車載オンボードチャージャー(OBC)などの複数段に分かれている電力変換回路を簡素化することを可能とするもの。また、高耐圧のD-mode GaNと低耐圧のSi MOSFETを直列に接続したカスコード構造を持つ独自のSuperGaN技術を活用することで、高速スイッチングかつ低損失も実現しつつ、標準的なゲートドライバでの駆動も可能としたとする。

さらに、従来の電力変換における多段設計では単方向スイッチをバック・トゥー・バック構成で使用することによるスイッチ数の増加と効率の低下に対し、DCブロッキング機能を単一のGaNデバイスに集積することで、より少ないスイッチ数でシングルトポロジーを可能にするという。これにより例えば、太陽光マイクロインバータの場合、双方向GaNスイッチ2個で回路を構成できるようになるため、スイッチ数を従来比で半減でき、2段構成で必要となる中間のDCリンク用コンデンサも不要となるとするほか、GaNはゲート電荷が少なく高速にスイッチングできるため、高いスイッチング周波数と高電力密度を実現できるとしており、実際の単段太陽光マイクロインバータの実装例では、今回発表の双方向GaNスイッチを用いた場合、バック・トゥー・バック構成や低速なシリコンスイッチを使用しない構成が可能になり、97.5%を超える電力変換効率を確認したという。

なお、同社の650VクラスのSuperGaN製品は、駆動が容易で高い堅牢性を備えた独自のノーマリーオフ技術を採用してきており、同製品も同技術を継承して開発。高耐圧の双方向D-mode GaNチップと、高いしきい値電圧(3V)と高いゲート耐圧(±20V)を備え、効率的な逆方向導通を可能にするボディダイオードを有する2つの低耐圧Si MOSFETを同一パッケージに収めることで、E-modeの双方向GaNデバイスと比べて、負のゲートバイアスを必要とせず標準的なゲートドライバと高い互換性がある点を特長とし、ゲート駆動回路の簡素化・低コスト化とともに、ソフトスイッチングおよびハードスイッチングの両動作において、性能を損なうことなく高速かつ安定したスイッチングを実現したとする。そのためVienna整流器のようにハードスイッチングを必要とする電力変換トポロジーにおいても、100V/nsを超える高dv/dt耐性により、オン/オフ遷移時のリンギングを最小限に抑え、遅延も短縮できるなど、高い堅牢性と性能、使いやすさを兼ね備えた双方向スイッチングを提供可能だとしている。