i.MX 93にワイヤレス機能を搭載した「i.MX 93W」
NXP Semiconductorsは3月12日に「i.MX 93W」を発表した(https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260312-4211156/)が、同社の日本法人であるNXPジャパンがこれに関する説明会を3月18日に開催したので、その内容をご紹介したい。
i.MX 93Wは、同社が2021年11月に発表した「i.MX 93」に「IW610」をSiPの形で統合したワンチップソリューションである(Photo01)。
エッジ領域におけるワイヤレスニーズに対応
昨今のフィジカルAIの流行はIoTというかエッジ向けに大流行しているが、そのエッジ向けにワイヤレスの統合が欠かせない様になってきた、というのがこの製品の切っ掛けの様だ。
エッジAIに関して言えばi.MX 93は当初からNPU(Ethos-U65)を搭載しており、eIQに関して言えば先日も報じた通りNXPは力を入れている。こう言っては何だが、2021年にi.MX 93が発表された時にここまで機能が求められる様になると判っていたか? というとちょっと怪しいところもある訳で、NXPの先見の明が改めて示された格好と言っても良いかもしれない(Photo03)。
このi.MX 93Wのターゲットとされるマーケットがこちら(Photo04)。
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Photo04:ちなみにi.MX 93はターゲットにオートモーティブも入っていたのだが、今回落ちたのは要するにオートモーティブにワイヤレスが必要無いという訳ではなく、IW610にオートモーティブグレードが存在しないため、ターゲットにしたくても出来なかったという事の模様
基本的にi.MX 93のターゲットアプリケーションの中でワイヤレスネットワークが必要なところ、という事になる。
i.MX 93Wの主な特徴
i.MX 93Wの主な特徴がこちら(Photo05)。
もともとIW610はデュアルアンテナにも対応できる構成であり(Photo06)、i.MX 97Wではシングル/デュアルの両方のアンテナに向けたリファレンスが用意されており(Photo07)、設計の迅速化が可能とされる。
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Photo07:IW610はWi-Fi 6対応ではあるが、デュアルアンテナでもビームフォーミングの機能は無い。ところでi.MX 93Wにはシングルアンテナ用にSPDT/ダイプレクサが内蔵されている様に見えなくもないのだが、この辺はリファレンスデザインを見ないと断言できない
システム構成はこんな感じ(Photo08)。
i.MX 93のシステム構成と比較すると、システムコントロールとメモリの部分に多少差がある(SD/SDIO 3.0/eMMC 5.1のI/Fがx3→x2になり、またOctal SPI FLASH with Inline Cryptoが省かれている)。
またFlex Domainの中が、i.MX 93には2D Graphicsとなっているのがi.MX 93WではGraphics:Hardware Compositorという表現になっており、同一のモノかどうかは判断できない。あとIW610をどう接続しているのか(IW610そのものはホストとSDIO/SPI/USB/UART/GPIOと様々な方法で接続可能)は現状返答がなかった。
なお、NXPより、i.MX 93+IW610よりもコストを下げられるという説明があったが、これは省パッケージ化による実装面積の削減+BOMコストの削減が期待できる、という話であり、チップ単価に関してはまだ公開できないという話であった(ちなみに1000個あたりの価格でi.MX 93は6~10ドル前後、IW610は3.40ドル前後となっている)。
i.MX 93Wは2026年後半からのサンプル出荷、量産開始は2027年初旬を予定している。





