ソニーセミコンダクタソリューションズは、業界最小をうたう1.45µmのLOFIC画素を採用した、4K解像度のCMOSイメージセンサー「IMX908」をセキュリティカメラ向けに商品化。明暗差の大きな環境や暗所における高精細な画像出力を追求したセンサーで、3月末からサンプル出荷を予定している。
1/2.8型(対角6.42mm)、有効約840万画素の4K CMOSイメージセンサー(CIS)。新開発のLOFIC画素を採用することで、1回の露光で4K解像度と96dBのハイダイナミックレンジを両立した撮影が行える点が大きな特徴だ。さらに低照度性能も向上させ、明暗差の大きな環境や暗所において、従来よりも白飛びや黒つぶれ、ノイズの発生を抑えた高画質な撮像を追求した。
IMX908のターゲット製品であるセキュリティカメラは現在、安全管理のためのモニタリングにとどまらず、市街地や施設といった生活空間の状態把握など、幅広い用途で社会に普及している。昨今はAIによる画像認識も標準搭載されるなど、明所から暗所まで安定して高画質な撮影を可能にするイメージセンサーへのニーズが高まっている。
ソニーセミコンはIMX908に、セキュリティカメラ向けに新開発した独自のLOFIC画素技術「STARVIS 3」を搭載し、イメージセンサーの1画素が蓄積できる最大電子数(飽和電荷量)を、従来製品「IMX778」(1/2.8型、有効約845万画素)の約20倍まで引き上げた。また、セキュリティ用CMOSイメージセンサーに関する、ソニー独自の低照度画質指標「SNR1s」(0.53lx)に基づき、低照度性能も約27%向上。96dBというダイナミックレンジを追求している。
IMX908のもうひとつの大きな特徴が、HDR(ハイダイナミックレンジ)撮影において一般的な複数回露光による撮影ではなく、1回の露光でHDRを実現すること。動体を含むシーンでも、アーティファクト(画像処理の結果、実際の被写体とは異なる模様や色ずれとして画像上に現れる現象)を低減した、高精細な画像出力を可能にしている。
こうした特性を、ソニーセミコンは独自の画素設計で、業界最小サイズとなる1.45µmのLOFIC画素で実現。明暗差の大きな環境や暗所において高画質な4K撮影を可能にすることで、セキュリティカメラの認識精度向上や多機能化に寄与するとしている。
IMX908の詳細
IMX908では前出の通り、新開発のLOFIC(Lateral Overflow Integration Capacitor、横型オーバフロー蓄積容量)画素を搭載している。
LOFIC構造は、従来よりも効率的な電荷の蓄積と電圧変換を可能にし、センサーの飽和電荷量の拡大や低照度性能の向上に寄与するもの。この構造を、ユニットセルサイズ1.45×1.45µmの単一画素で実現することで、1/2.8型と小型サイズながら4K解像度(3,856×2,180)での撮影を可能にした。
また、飽和電荷量を従来比で約20倍まで拡大することで、より多くの電荷を蓄積し、光が強い明所での撮影において白飛びを抑えて撮影できるようにしたのも大きなポイント。従来よりも少ない光量から電圧変換できるため、低照度性能が従来比約27%改善し、暗所撮影における黒つぶれやノイズの発生も抑制している。
こうした特性改善により、単一露光で撮影できるダイナミックレンジは96dB(Clear HDR3)まで拡大。従来よりも明暗差が大きな環境や暗所においても、高感度で高画質な撮像を実現している。
単一露光方式によるHDRで、アーティファクトの発生を抑えた撮像と高速な画像出力も実現。動きのある被写体でも、AIによる画像認識の妨げとなる可能性がある“輪郭のずれ”や“色ずれ”を抑えた高精細な撮影を安定して実現し、認識精度の向上に寄与するとしている(異なる露光時間で撮影された複数画像を合成処理する複数回露光方式では、アーティファクトが発生することがある)。
なおIMX908では、異なる変換効率で生成された複数の画像データの出力もできるため、カメラ設計により柔軟な選択肢を提供できるという。
そのほかの仕様面として、カラーフィルターはベイヤー(Bayer)方式。フレームレートは90fps/10bit、60fps/12bitに対応する。電源電圧は1.1/1.8/3.3V、出力インターフェースはMIPI D-PHY 2 / 4 Lane。パッケージはセラミック LGA ARコートで、サイズは12×9.3mm(縦×横)。







