ロームは3月12日、スマートリングやスマートバンドなどの小型ウェアラブル機器およびスマートペンなどの小型周辺デバイス向けに、近距離非接触通信を行う無線技術(NFC)に対応したワイヤレス給電ICチップセット「ML7670(受電)」「ML7671(送電)」を開発したことを発表した。

  • 新チップセットの製品画像

    新製品の受電IC「ML7670」と送電IC「ML7671」製品画像(出所:ローム)

近年では、ヘルスケア・フィットネス用途を中心にスマートリング市場が急速に拡大している。ただし、指に装着するリング型の極小筐体では有線給電が困難な上、スマートフォンのワイヤレス給電などで採用される国際標準規格「Qi規格」では、コイルサイズの制約などから搭載が困難とのこと。そのため、小型デバイスで確実に充電できる新たな“近接給電方式”が求められていた。

そうした中で注目されたのが、アンテナの小型化を可能にする高周波数帯(13.56MHz)を採用したNFC給電。小型機器にも実装可能なサイズを実現したことで、次世代ウェアラブル製品への採用が加速している。

ロームもそれらのニーズに応えるため、1W給電に対応したチップセットとして「ML7660(受電)」「ML7661(送電)」を商品化し、好評を集めていた。そして同社は今般、同製品の派生タイプとしてML7670およびML7671を開発。さらに小型の機器向けに最適化された新チップセットは、給電量を最大250mWに抑えるとともに、充電ICへの電力要求に必要なスイッチングMOSFETなどの外部部品も内蔵したことで、小型ウェアラブル機器、特にスマートリング製品において求められる電力クラスに対し、実装面積と給電効率の両面で最適化された設計を実現したという。

また受電ICのML7670は、2.28mm×2.56mm×0.48mmという業界最小クラスのコンパクトさを維持しつつ、給電量250mWという低出力領域での動作における最大給電効率は45%と高効率。コイル整合、整流回路、スイッチングデバイスの損失低減などの要素を最適化することで、同等クラス製品雄効率水準を上回る性能を実現したとする。

さらに新製品は、ワイヤレス給電に必要なファームウェアをIC内部に実装しているといい、ホストMCUが不要となる上、機器開発の省スペース化および開発工数削減にも貢献。加えてNFC Forum規格(WLC 2.0)に準拠しているため、既存デバイスとの互換性を保った給電が可能で、拡大するNFCワイヤレス給電システムにおける中心的なデバイスとして機能するとした。

  • 新製品と既存品・一般品との特長比較とアプリケーション適用例

    新製品と既存品・一般品との特長比較とアプリケーション適用例(出所:ローム)

なおロームによると、新チップセットの量産はすでに開始されており、同社オンラインストアでの販売も順次開始済みで、リファレンスデザインや評価ボードも提供可能とのこと。今般、SOXAIが開発した日本発の睡眠管理用スマートリング「SOXAI RING 2」でも採用されたことが明かされた。

同社は、新製品の発売によってウェアラブル端末の進化と利便性向上に貢献するとともに、今後もウェアラブル機器に求められる小型・省電力技術を活用したデバイス開発を推進し、ユーザーの利便性向上とウェアラブル市場の発展を後押ししていくとしている。