NECはこのほど、報道関係者向けにエンタープライズ(民需向け)事業における市場動向や最新トピックスを紹介する「NEC Media meetup」を開催した。
本稿では、同イベントで、NECのプラットフォーム・テクノロジーサービス事業部門 バイオメトリクス・ビジョンAI統括部が説明した「分散型ID技術による資格証明を活用した京都における人材循環モデルの構築」を紹介する。
分散型IDで学生と企業をマッチング
NECとグローカル人材開発センター、VESS Labs(ベスラボズ)は、文部科学省大学間連携共同教育推進事業「産学公連携によるグローカル人材の育成と地域資格制度の開発」と連携し、分散型ID技術(DID)を活用した「検証可能な資格証明」(VC)を利用し、京都における人材循環モデルを共同で構築することを3月9日に発表した。
この取り組みの第一弾として、DID/VCを活用し、就職活動中の学生と地元企業とのマッチングを促進する実証実験を実証参画企業の採用面接で4月より開始するという。
DID/VCとは、自己主権型で検証可能なデジタル証明書のこと。従来企業が管理していた情報を自分自身で管理し、自身の意思で共有したい相手に共有できることや、共有された相手がその情報が正しいことを検証可能であるという特徴を持っている。
NECによると、日本では地方の人材不足が課題となっており、地域で育った人材が地元企業で活躍できる環境づくりが求められているという。
その中で、学生が自身のビジョンを追求し、地域で育んだ専門性や志を活かしながら、地域の企業やコミュニティでの活躍を通じてキャリア成長や自己実現を図れるように、産官学が一体となった包括的な支援体制の整備が求められている。
このような背景を踏まえ、NECでは、個人の研鑽や実績をデジタル上で証明できるDID/VCを活用した、京都における人材循環モデルの構築を目指し、共同で実証実験を行うことを決めたという。
DID/VC普及に向けた課題
これまでDID/VCの活用・普及に向けては「エコシステム組成」「インセンティブ設計」「セキュリティの担保」という3つの課題が挙げられてきた。
エコシステム組成
DID/VCの仕組みは、証明書を発行する大学などの教育機関、証明書を確認する企業、利用する学生の3者がそろうことで機能する。三者を同時かつ一気に立ち上げ、エコシステムを構築することが肝要。
インセンティブ設計
現状の仕組み、もしくはDID/VC以外の代替手段で満足している(諦めている)各ステークホルダーに対して、コストをかけてでもDID/VCを用いたサービスを使いたい/乗り換えたいと思わせるためのインセンティブ設計が必要。
セキュリティの担保
デジタル化された証明書(VC)を流通させる際、それが確実に本人のものであるか、なりすましや不正利用をいかに防止するかが課題。また、それらを必要最小限のコストで対応できることが重要。
NECは、地元人材と企業をつなぐ仕組みづくりから段階的にモデルを拡張していく考えだ。また、VC活用により就職活動が楽に・有利になる仕掛けを梃に、モデルの早期立ち上げに向けた道筋をつくっていくという。
セキュリティ面では、NECは顔認証技術を活用したデジタル証明書(FaceVC)によりVCの本人性を担保していく構えだ。
4月から採用面接で実証
NECらは、「参画企業の面接時にこの実証指定のVCを提示することで、選考評価に加味される」という実証実験を、2026年4月1日から実証参画企業の選考が終了するまで行う予定としている。
今回の実証実験では、推進事業連携校が設定するグローカル人材基本科目群で一定の成績を修めた上で、グローカル人材PBLを修了した学生に対してグローカルが発行するグローカルプロジェクトマネジャー(GPM)の資格証のVCである「GPM VC」と、京都の経済界と行政が後援する第13回グローカル人材フォーラムにおける成果報告会で受賞した学生に配布した「フォーラムVC」を対象としている。



