TrendForceによると、AI需要の高止まりがメモリおよびファウンドリの2026年市場規模を記録的な金額まで押し上げることが予想されるという。

それによると2026年のファウンドリは前年比25%増の2187億ドルと高い伸びを示すが、メモリ市場は前年比134%増の5516億ドルとファウンドリ市場の2倍以上に市場規模を拡大させるとしている。

  • ファウンドリ市場とメモリ市場の推移と2026年の予測

    ファウンドリ市場とメモリ市場の推移と2026年の予測 (出所TrendForce)

過去のスーパーサイクルと何が異なるのか

直近の2017年~2019年に生じたメモリのスーパーサイクルは、主にクラウドデータセンターの拡張がけん引役であったが、現在のメモリスーパーサイクルはAI需要に起因し、供給が前回以上にひっ迫する構造となっている。背景には、AIの活用が学習から推論へと移行するのに併せてリアルタイムの応答性と効率的なデータへのアクセスの重要性が高まっており、サーバにより大容量かつ広帯域幅のDRAMを大量搭載しようとする動きがあることに加え、NVIDIAの次世代プラットフォーム「Vera Rubin」では、高性能ストレージに対する要求から、エンタープライズSSDの需要が増加するためだという。

また、TrendForceでは過去のスーパーサイクルと異なる点として、従来のような最終製品メーカーが主導する形で生じているのではなく、クラウド・サービス・プロバイダ(CSP)がけん引している点を挙げている。CSPは価格に対する相対的な感応度が低く、それが価格上昇が続いても調達活動が鈍らないという動きにつながっているとする。

メモリとファウンドリで成長率が異なる背景

一方のファウンドリ市場もAI関連需要の高止まりによる恩恵を受けているが、メモリ市場と比べると成長率は落ち着いたものとなっている。この2つの市場の成長率の差は、業界の構造と価格要因に起因しているとTrendForceでは指摘している。

AI半導体の多くが先端プロセスで製造されるが、その製造能力を有するファウンドリは限られており、生産能力の拡大ペースは限定的と言わざるを得ない。そのため、ファウンドリ市場全体を見た場合、生産能力の約70~80%が成熟プロセスが占めており、先端プロセスは20~30%に留まっており、そうした先端プロセスの価格が高価であっても、市場全体で見た場合、その売り上げ規模も限定的ということとなる。

また、ファウンドリとクライアントは長期契約が基本であり、その結果として価格の変動が少なく、スポット生産分が存在するメモリ市場のように価格が急激に変動する頻度が少ないという面もある。

メモリ不足は解消できるのか

メモリとファウンドリの収益格差は、生産能力の拡大方法が異なる点も起因しているとTrendForceでは指摘しており、その要因の1つとして標準化レベルが異なる点を挙げている。メモリは1つのプロセスをベースに生産が行われるが、ファウンドリは複数世代に別れ、かつ用途に応じたプロセスを使い分ける必要があるためで、どういった用途向けのどのプロセスに投資をするかで情勢が変わってくる。また、メモリは一般的にロジックと比べてマスク枚数が少ないことも収益の差を生み出す要因の1つともしている。

なお、TrendForceの見通しでは、AIに対する需要は収まるどころか勢いを増す醸成であり、メモリの供給不足がすぐに解消される見込みは低く、メモリサプライヤは強い価格決定力を維持しているとしており、しばらくは高成長が続くことが期待できるという。