楽天モバイルは、AIを活用した衛星通信・地上ネットワークの統合運用の実現に向けた“ダイナミック周波数共用の技術開発”を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業に提案し、採択されたと発表。研究開発の実施期間は2026年3月~2031年3月末(予定)で、総額最大110億円が支援される。
JAXAが同事業で公募した、衛星等の技術開発テーマは「衛星通信と地上ネットワークの統合運用の実現に向けた周波数共用技術等の開発・実証」。今回の楽天モバイルの研究開発においては、東京大学大学院工学系研究科中尾研究室が連携機関として参画する。
今回の研究開発は、AIを使って衛星通信を管理・制御する機能「次世代衛星通信AI」により、地上ネットワークとの円滑な切り替えを実現する周波数共用技術を開発し、ネットワークの統合運用をめざすというもの。
具体的には、衛星通信と地上ネットワークの基地局設備から取得したエリアカバレッジ情報に基づき、AIが衛星通信の自動的な停波/起動を制御するアプリケーションのほか、衛星通信と地上ネットワークの干渉調整、衛星通信の周波数変更、さらにはトラフィック収容の最適化などをAIで制御するアプリケーションを実装。災害時や、ユーザーの移動によるハンドオーバー発生などといった状況に応じて、最適な通信環境を確保するネットワーク統合運用技術を開発していく。
一般的なスマートフォンと低軌道衛星が直接接続する、いわゆる“衛星ダイレクト通信”においては、地上ネットワークと同一周波数帯の共用を前提とする場合が多く、通信状況に応じた干渉調整が必要になる。
特に音声やビデオ通話では、ドップラーシフトと呼ばれる現象(電波などを発する物体が移動する場合に、送波側・受波側との相対的な速度差により周波数が変化する現象)や、伝搬遅延の影響により、高度な補正処理が求められるという。
楽天モバイルでは、AIで衛星通信と地上ネットワークを統合運用することで、ユーザーがネットワークエリア間を移動する際も、安定かつ快適な通信環境を提供できると説明。さらに、自動運転車両やドローンなどの常時接続を必要とする次世代サービスへの活用も期待できるとしている。
楽天モバイルと東京大学は、これまで東京大学構内への仮想化Open RAN技術検証環境の提供や、低軌道衛星を利用したIoT超カバレッジに関する共同研究開発の実施など、楽天モバイルのネットワーク技術検証環境において、AIによる衛星通信の管理・制御に関連する研究開発に取り組んできたという経緯がある。
両者は今回の研究開発を通して、「次世代衛星通信AI」による衛星通信と地上ネットワークの統合運用に向けた検証を実施する。
