半導体露光機市場は活況が続いている。今後数年はロジック、メモリーともに先端生産ラインが続々と立ち上がり需要が拡大する見通しで、EV(電気自動車)やPCの成長鈍化を、生成AIとデータセンター需要の急速な拡大がのみ込んでいる状況だ。
最大手の蘭ASMLは、独占供給しているEUV(極紫外線)露光機の次世代機開発を進める一方で、後工程向けの製品も初めて出荷した。日本勢の得意分野である後工程市場では、キヤノンが“業界標準の強み”を発揮しているが、今後はニコンを含めた三つ巴の競争になっていく。半導体の前工程、後工程ともに、次世代プロセスへの対応が課題となる。
業績好調なASML、初出荷の後工程向け露光機も注目
ASMLの2025年通期売上は、EUV露光機の販売増を反映し、前年比15.6%増の326億7,000万ユーロ、純利益は27%増の96億1,000万ユーロと好調に推移した。2026年通期売上は340〜390億ユーロ、粗利益率は51〜53%と続伸を見込んでいる。
先端プロセス向け需要が旺盛な同社だが、出荷先の状況には変化が見られる。2024年は中国市場が41%を占めたが、米関税政策と駆け込み需要の終了と景気後退をうけて2025年は33%と大幅減。その反面、TSMCが2nm(ナノメートル)対応先端工場の稼働をはじめたこともあり、台湾向けは22%と前年の2倍になった。
DRAM投資が活発な韓国は4ポイント増の25%。先端工場の誘致に注力する米国だが、構成比は前年比5ポイント減の12%になった。日本は1ポイント増の5%だ。
2025年の露光機販売台数(新品)は300台と、2024年の380台から激減。また中古露光機は27台で、これも前年の38台を大きく下回った。露光機売上を光源別にみると、もっとも大きいのは高単価のEUVで全体の48%を占め、前年の38%から10ポイント増。次がArFi(フッ化アルゴン液浸)で前年から2ポイント減ったものの構成比は42%を占めた。この2光源だけで全体の90%(前年は82%)を占めており、利幅の大きな先端系偏重の流れがより明確になっている。
EUV露光機の販売台数は前年の44台から48台に増加し、EUV露光機売上は前年比39%増の116億ユーロになっている。注目の高開口度(NA0.55)EUV露光機は合計8台を出荷し、6台が稼働中という。重ね合わせ性能と生産性を向上した第2世代の「EXE:5200B」は1回の露光で従来比1.7倍のパターン描画が可能としている。
このほか、ArF(フッ化アルゴンドライ)は2%(前年4%)、KrF(フッ化クリプトン)は4%(同9%)、i線(波長365nm)は1%(同2%)となっている。キヤノンやニコンが販売台数を伸ばしているレガシィ分野は減少傾向にある。販売台数がもっとも多かったのはArFiの131台(前年129台)、次がKrF(フッ化クリプトン)の78台(同152台)、i線は54台(同65台)だった。
2025年のトピックのひとつは、後工程向けの露光機を初めて出荷したことだ。高付加価値の先端分野に偏重する同社だが、急成長の3次元パッケージ市場には対応せざるを得ず、i線機「XT:260」の初号機を出荷した。これで半導体露光機3社がすべて、パッケージ分野でしのぎを削ることになった。
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