NanoXploreのSoC FPGAが欧州宇宙規格「ESCC 9030」を取得
SoC FPGA設計と耐放射線FPGA技術を特徴とするNanoXploreとSTMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、STの28nm FD-SOI技術をベースとするNanoXploreの耐放射線SoC FPGA「NG-ULTRA」が欧州の宇宙アプリケーション向け認定「ESCC 9030」を取得したことを発表した。
NG-ULTRAは、地球低軌道/中軌道衛星群(コンステレーション)などの宇宙アプリケーション専用にSRAMベースのアーキテクチャを採用する形で設計されており、エネルギー効率、宇宙放射線への耐性、先進的なアーキテクチャ機能といった優位性に定評のあるSTの28nm FD-SOI技術を利用して製造されているSoC FPGA。クワッドコアのArm Cortex-R52ベースのSoCと、537K LUT+32MビットRAM構成の高い演算能力を有するハードウェア回路を搭載しているほか、独自の先進的な耐放射線技術を組み合わせており、最大50krad(Si)の吸収線量(TID)耐性を備え、長期性能が確保されているとする。また、最大65MeV·cm2/mgのシングル・イベント・ラッチアップ(SEL)試験での耐性、および60MeV·cm2/mgを超える線エネルギー付与(LET)レベルでの検証が行われたシングル・イベント・アップセット(SEU)耐性により、シングル・イベント効果に対する高い耐性を示しているともする。
今回の品質認定取得についてNanoXploreのCEOであるEdouard Lepape氏は、「欧州が深宇宙空間および新たな宇宙空間向け衛星コンステレーションの要件に合わせて最適化された最先端のデジタル部品の、完全な生産チェーンを獲得したことを示す成果」であるとコメントしているほか、ESA(European Space Agency、欧州宇宙機関)とCNES(フランス国立宇宙研究センター)、および欧州委員会(DG-DEFIS経由)のサポートにより、NanoXploreとSTは、EUによる戦略的自律性の確立と、欧州の衛星のこれまで以上の競争力強化に貢献していくことを強調している。
また、この認定取得は、欧州の宇宙開発エコシステムにおいて産業的にも技術的にも重要なマイルストーンであるとも説明。ESCC 9030は、有機基板上あるいはプラスチックパッケージにフリップチップ実装された高性能なICに関する欧州の新たな規格で、NG-ULTRAが同規格の認定を取得した最初の製品となるという。同規格は、宇宙アプリケーションに要求される信頼性を提供すると同時に、深宇宙には適しているものの、重く高価な従来のセラミックパッケージに頼らず衛星コンステレーションや大規模なミッションを実現するための重要なステップであると両社では説明しているほか、高い性能だけでなく、リスクの高い依存関係を軽減することにより、長期間のミッションに対応できる独立性と持続性を備えた欧州内のサプライチェーンの確保を示すものであり、欧州の各拠点における設計、製造、組立、およびテスト能力を組み合わせ、競争力と量産性、宇宙グレードの信頼性を同時に実現することを目標としたものであるともしている。
具体的には、開発および製造にあたっては、フランスのパリ、グルノーブルおよびモンペリエにあるNanoXploreの研究開発・設計センターに加えて、STのグルノーブルの研究開発・設計センター、仏クロルの300mmウェハ製造設備、仏レンヌの宇宙アプリケーション向けパッケージング施設、グルノーブルと伊アグラテのテスト・信頼性評価施設をはじめとする欧州内のその他の認定された拠点を活用したという。
なお、NG-ULTRAは、欧州が進めている全地球衛星測位システム「ガリレオ(GALILEO)」や地球観測衛星「コペルニクス(COPERNICUS)」のほか、将来的には欧州独自の安全・高速通信衛星コンステレーション計画「IRIS2」などの最重要ミッションを含む多数の衛星用機器システムに使用される見込みだという。