AMDはスペイン・バロセロナで2月3日~2月6日に掛けて開催される「Integrated Systems Europe 2026」にて、Kintex FPGAの新シリーズとして「Kintex UltraScale+ Gen 2」を発表した。この内容を事前資料を基にご紹介したい。

I/O、メモリ、セキュリティ機能が強化されたKintex UltraScale+ Gen 2

Kintex Ultrascale+は2015年2月に発表され、2016年10月に量産開始のアナウンスが行われた製品だが、すでに出荷から10年近くが経過している。

今回ここに、Kintex UltraScale+ Gen 2が追加された格好(Photo01)だが、少なくとも現時点ではLCの数を今後増やすかどうかははっきりしていない。

  • LCの数はKintex 7世代並に戻っている

    Photo01:LCの数がKintex 7世代並に戻ってしまったのが特徴といえば特徴だが、将来的にはもう少し増やしたSKUが出るのかもしれない

では何が違うか? というと、I/Oとメモリ、それとセキュリティ関連の強化である。もう少し具体的にこれを示したのがこちらである(Photo02)。

  • Kintex Ultrascale+比で言えばDSP性能は大して変わらない

    Photo02:DSP性能に関して言えば、比較がKintex Ultrascale+ではなくAgilex 5であることに注意。Kintex Ultrascale+比で言えば大して変わらない

特にメモリ搭載量とI/O性能の強化が主眼になっており、加えて2015年にはそれほど要求のなかったセキュリティ機能の実装が主なポイントである。もう少しBreakdownしたのがこちら(Photo03)で、Kintex UltraScale+世代との機能面での違いは、

  • Memory Controllerの追加とOn Chip Memoryの増量
  • Security機能の追加
  • Programmable I/OがHPIOからXP5IOに変更(HDIOは変更なし)
  • 100G Ethernetが2ブロックに強化
  • PCIeがGen 3からGen 4に変更
  • GTY Transceiverを強化(ただしGTH Transceiverは廃止)

といったところになる。

  • XP5IOではMIPI D-PHYやLVDSに加え、LPDDR4X/5/5Xをサポート

    Photo03:XP5IOではMIPI D-PHYやLVDSに加え、LPDDR4X/5/5Xをサポートしており、これがHPIOとの違いの模様

SKU一覧がこちら(Photo04)であるが、これだけ見ていても判りにくいので、大体同程度のKintex Ultrascale+と併せてまとめたのが表1となる。

  • 2026第4四半期にリリース予定なのはこの3製品という話になりそう

    Photo04:この書き方からすると、2026第4四半期にリリース予定なのはこの3製品という話で、今後はもう少しLC数を増やした製品も投入されそうな気もする

  • Kintex UltraScale+とKintex UltraScale+ Gen 2の比較

    表1:Kintex UltraScale+とKintex UltraScale+ Gen 2の比較

つまるところ従来のDistributed RAMとUltraRAMに加えて、36K Block RAMや288K UltraRAMを追加したのと、AMSおよびSecurity Block、Memory Controllerを追加した一方、LC数がその分減少したという感じに見える。

36K Block RAMや288K UltraRAMはSpartan Ultrascale+でサポートされているものだし、PCIe Gen4のIPも同じくだ。Memory ControllerはSpartan Ultrascale+だとLPDDR5までで2つのみ搭載されていたが、こちらはLPDDR5X対応のサポートを行って4つ搭載という感じである。

さてそんなKintex Ultrascale+ Gen 2であるが、超音波診断向け用途を同社は強く推している(Photo05)。

  • Integrated Systems Europe 2026というイベントがAVベースの組み込みシステムを中心としている

    Photo05:そもそも発表を行ったIntegrated Systems Europe 2026というイベントがAVベースの組み込みシステムを中心としたものだけに、確かに超音波診断システムというのは非常に適切な事例ではある

超音波診断で新生児の早産に起因する死亡を減らす事が出来るが、そのためには測定の自動化や精度の向上、分析能力の向上が欠かせないとしたうえで、Kintex Ultrascale+ Gen 2を利用する事でこうした事への対応が可能、とした(Photo06)。

  • 気になるのはLCの数が若干とは言え減っている事と、Processorそのものは持たない事

    Photo06:ただ気になるのはLCの数が若干とは言え減っている事と、Processorそのものは持たない事で、むしろZynq Ultrascale+の方が適切なのでは? という気もする

具体的には、

  • 従来のセンサーをそのまま流用可能(Photo07)
  • 高速I/Oを増強(Photo08)
  • 汎用I/Oと外部Memoryの強化(Photo09,10)
  • 高い計算性能(Photo11)

などが挙げられている。

  • FPGAならでは、ではある

    Photo07:この辺はFPGAならでは、ではあるものの別にKintex Ultrascale+ Gen2だから可能、という訳でもない

  • 以前よりも高速伝送への要求が高まる方向になっているのは事実

    Photo08:これがそのまま超音波診断装置に役立つか? というと微妙ではあるが、以前よりも高速伝送への要求が高まる方向になっているのは事実である

  • 従来よりもアプリケーション構成の幅を広げることにつながる

    Photo09:一旦外部のLPDDRに結果を蓄積できる、というのは確かに従来よりもアプリケーション構成の幅を広げることにつながる

  • 超音波診断装置には十分な帯域

    Photo10:最大6chのLPDDR5Xを使えるのは結構帯域として大きい(LPDDR5X-8533としても200GB/sec程度の帯域が利用できる)。超音波診断装置には十分な帯域だろう

  • Kintex Ultrascale+から変化がない

    Photo11:といっても表で判る通り、Kintex Ultrascale+から別にこの部分は変化がない

ちなみにこのKintex Ultrascale+ Gen 2はAlteraのAgilex 5のEシリーズの対抗馬という位置づけになっているようで、例えばVideo Capture/Playback Cardを構成した場合(Photo12)には2倍の性能を実現できるとしている。

  • A5EC052Aは524K LE/676 DSP/30Mbit SRAMといった構成

    Photo12:A5EC052Aは524K LE/676 DSP/30Mbit SRAMといった構成で、確かに大体同程度のクラスの製品ではある

あと面白いのが保証に関係する部分で、2045年までの延長保証があるという話はともかく、放熱量がLatticeの製品よりも少ないとしている(Photo13)のはどう評したものか。

  • 比較対象はLattice Avantらしい

    Photo13:比較対象はLattice Avantらしいが、何を動かすかで発熱は大分変る事を考えると、何とも言い難い

このKintex Ultrascale+ Gen 2、2026年第3四半期にはVivado/Vitisの対応が行われ、第4四半期にサンプルおよび評価キットが出荷、量産開始は2027年前半中を予定している(Photo14)。

  • Spartan Ultrascale+はまだ評価キットが出ていなかった

    Photo14:Spartan Ultrascale+、量産出荷は2025年6月だったはずだが、まだ評価キットが出ていなかったのか……