レアアースを含む“日本産新鉱物4種”が国際鉱物学連合に承認されたことを、山口大学が1月23日に発表。同大学らでつくる研究グループが、群馬県の茂倉沢鉱山(層状マンガン鉱床)で発見したもので、ランタンやセリウムといったレアアースが濃集していることが分かっている。

  • 石英中にみられる新鉱物「セリウムバナジン赤坂簾石」の暗褐色の柱状結晶(東大物性研究所 浜根大輔博士が撮影したもの) 出所:山口大学ニュースリリース

    石英中にみられる新鉱物「セリウムバナジン赤坂簾石」の暗褐色の柱状結晶(東大物性研究所 浜根大輔博士が撮影したもの) 出所:山口大学ニュースリリース

山口大学大学院創成科学研究科の永嶌真理子若手先進教授、東京大学物性研究所の浜根大輔博士、アマチュア鉱物研究家の大西政之氏、宮島浩氏、原田明氏の研究グループによる成果。研究の詳細は、日本鉱物科学会が発行する学術雑誌「Journal of Mineralogical and Petrological Sciences」の掲載論文で示されている。

山口大学は今回、研究グループが発見した4種の鉱物が、国際鉱物学連合(IMA:International Mineralogical Association)の新鉱物・命名・分類委員会(CNMNC:Commission on New Minerals, Nomenclature and Classification)によって、2024年から2025年にかけて新鉱物として承認されたことを、改めて公表したかたちだ。

新鉱物は暗褐色の柱状結晶の姿をしており、いずれも「バラ輝石」に富む岩石に含まれる石英レンズ中に存在。これら4種を区別するには、化学分析と結晶構造解析が欠かせないという。

この鉱物に含まれるレアアースの用途として、ランタン(元素記号:La)は特殊ガラス原料、特にカメラレンズの材料などが挙げられる。またセリウム(同:Ce)はガラス研磨剤のほか、自動車排ガス触媒などにも活用されている。

なお、今回の新鉱物4種の発表は学術的成果に基づくものであり、資源量や埋蔵量などについての言及はない。

研究グループが今回発見した、4種の新鉱物の名称と理想化学式は以下の通り。

  • セリウムバナジン赤坂簾石(IMA No.2024-044):CaCe(V3+AlMn3+)(Si2O7)(SiO4)(OH)
  • セリウム赤坂簾石(IMA No. 2025-001):CaCe(Al2Mn3+)(Si2O7)(SiO4)(OH)
  • ランタン赤坂簾石(IMA No.2025-002):CaLa(Al2Mn3+)(Si2O7)(SiO4)(OH)
  • ランタンバナジン赤坂簾石(IMA No.2025-003):CaLa(V3+AlMn3+)(Si2O7)(SiO4)(OH)
  • 群馬県茂倉沢鉱山で見つかった、4種の褐簾石族新鉱物の結晶構造や化学組成の詳細 出所:日本鉱物科学会

    群馬県茂倉沢鉱山で見つかった、4種の褐簾石族新鉱物の結晶構造や化学組成の詳細 出所:日本鉱物科学会

海水に含まれるマンガンと鉄が化学的に堆積して生成したマンガン鉱床からは、マンガン鉱石が産出される。東京大学総合研究博物館によると、日本に存在する1,000以上のマンガン鉱床の大半は、古生代から中生代に同様のプロセスを経て形成されたものだという。なお、国内のマンガン鉱山の稼働は既にすべて休止しているとされる。

今回の新鉱石の発見場所である茂倉沢鉱山は、バナジウムに富む層状マンガン鉱床で、1977年に長島石、1978年に鈴木石が発見されたことで知られる。セリウムバナジン赤坂簾石(セリウムバナジウム赤坂石)の研究は、同鉱山では46年ぶりの新発見をもたらし、新種として2024年10月3日付でIMA-CNMNCに承認された。

研究グループはその後も研究を続け、さらに同鉱山から3種の新鉱物(セリウム赤坂簾石、ランタン赤坂簾石、ランタンバナジン赤坂簾石)を発見。これらについても、2025年5月3日付で新種としてIMA-CNMNCに承認されている。

なお“赤坂石”とは、今回の研究の筆頭著者・永嶌教授の師である、赤坂正秀 島根大学名誉教授にちなんでつけられたもの。永嶌教授らは、2013年に三重県伊勢から発見された鉱物にこの名称をつけており、今回発見された新鉱物はその亜種にあたる関係性だという。

今回の研究の詳細については、日本鉱物科学会の掲載論文のほか、東大物性研究所Webサイトの浜根博士による解説ページをあわせて参照のこと。