Omdiaの産業・公共ディスプレイ&OEMインテリジェンスサービスによると、2025年の産業用ディスプレイパネルメーカーの売上高合計は前年比24%増の34億ドルとなる見込みだという。
アクティブマトリクス有機EL(AMOLED)の製造経験が蓄積されるにつれ、パネル性能と信頼性が向上し、軍事用途などの高仕様アプリケーションでの評価が可能になった。これには、戦闘機やヘリコプターといった航空電子機器コックピットディスプレイ、軍用グレードのノートパソコンや頑丈なタブレットなど、高輝度と広い動作温度範囲のディスプレイが求められるアプリケーションが含まれる。
こうした軍用グレードのディスプレイ需要は、地政学的緊張を背景に高まっており、2025年の出荷台数は前年比5.9%増の96万5000台に達すると予測されている。中でも2021年にAUOから産業機器・サイネージ部門が独立して誕生したAUO Display Plus(ADP)が主導的立場にあり、天馬(Tianma)、BOEが続いている。
Omdiaによると、2026年の出荷台数は同6.5%増だが、出荷額は微増か横ばいにとどまると予想されるという。また、2025年12月に米国国防総省は、光学ガラスやコンピュータディスプレイを含む軍事調達において、2030年までに中国製ディスプレイ技術への依存を段階的に廃止することを義務付けたため、サプライチェーンの再編と新しいディスプレイ技術の導入が加速すると予想されるともしている。
Omdiaの主席アナリストであるツユ・フアン氏は、「産業用ディスプレイパネルメーカーは、ゲーム機、アクションカメラ、軍用グレードのデバイスを通じて収益の向上を目指しており、ディスプレイモジュールからセットビジネスへと事業を拡大させつつ、AMOLED、ミニLEDバックライト、EPDなどの新技術を導入している。地政学的緊張と市場の不確実性の中で、サプライチェーン関係者は多様な機会と課題を管理する能力を発揮する必要がある」と述べている。
2025年の市場をけん引したゲーム機とアクションカメラ
売上高別に見ると、AUO Display PlusがPOS製品をけん引役にリード企業となっており、Innoluxがゲーム機用ディスプレイを武器に続き、それにTianmaがHMI、ハンドヘルド、家電、家庭用医療製品などを武器に続いている。
2025年の売上の伸びをけん引したのが前年比101%増のゲーム機と同23%増のアクションカメラで、全体成長率の約3/4を担ったという。また、船舶やドローン向けミニLEDバックライトといった新たなディスプレイ技術も、平均販売価格の上昇を支えたという。こうした最新技術に各社が注力しているほか、AMOLEDの普及率も今後数年間で高まることも予想されている。
特にゲーム機用パネル市場は、120Hzのフレームレートを備えた7~8インチのパネルが採用されることが多く、軽量設計、スリムなフォームファクター、高い落下耐性などの付加価値も求められることから、AMOLEDが次世代ディスプレイの選択肢として有望視されるようになってきているという。
