SEMIの半導体装置・材料市場調査部門であるMarket IntelligenceのシニアディレクタであるClark Tseng氏が、2025年12月に東京で開催されたSEMICON Japan 2025併催の「SEMIマーケットフォーラム2025」にて、「世界半導体製造装置・材料の2025年末市場予測 (2025年12月版)」について講演した。半導体製造装置の市場予測についてはすでに開催前日に発表されていることから本稿では、フォーラム当日に発表された半導体材料市場予測について紹介したい。

  • SEMI半導体材料市場予測のタイトル画面

    SEMI半導体材料市場予測のタイトル画面 (出所:SEMI、以下すべて同様)

2028年の半導体材料市場は2022年比で29%の成長

同氏は、「半導体市場そのものの2025年から2030年の年平均成長率(CAGR)は8%ほどだが、AI半導体に限ってみれば16%と高い勢いを持って成長を続けることが期待できる」として、「AIへの投資が半導体需要を押し上げている」との見方を以前から示している。この勢いを背景に、2028年の半導体製造装置市場は2022年比で57%の成長率とするほか、半導体材料市場も同29%の成長率と予測されるとするが、材料市場で最大市場であるシリコンウェハの伸びは6%にとどまる見込みとする。

  • 2028年の半導体製造装置、材料、シリコンウェハ市場の成長率予測

    2028年の半導体製造装置、材料、シリコンウェハ市場の成長率予測(2022年比)

シリコンウェハの出荷面積(単位:百万平方インチ)の推移を過去10四半期ほどさかのぼってみると、2022年第3四半期をピークに、2022年第4四半期から減少が始まっている。最近はAI向けに300mmウェハが伸びて全体としてやや回復基調にあるものの、いまだに2022年第3四半期のピークまで回復していない。このため、世界中のシリコンウェハメーカーの業績は悪化傾向にある。

  • シリコンウェハ出荷面積

    シリコンウェハ出荷面積(MSI=百万平方インチ)の推移

SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG=シリコンウェハ製造企業の業界グループ)の標準的なシリコンウェハの今後の見通しは、「2025年の成長率は前年比5.4%増で2028年までに過去最高面積を記録する。AI需要の高まりにもかかわらず、シリコンウェハ市場は半導体製造装置市場よりも回復がはるかに遅れる」というものである。この見通しを下回る最悪のシナリオとしては、「メモリ市場の回復遅れや非AI需要低迷のために、特に成熟プロセス向けシリコンウェハが在庫調整モードに陥り、過去最高出荷面積を2028年までには達成できない」ことが考えられる。標準的な見通しより楽観的なシナリオとしては「データセンターやエッジへのAI適用が早まり、HBMの出荷が増加、これに伴いシリコンウェハの出荷が急増」するシナリオが考えられるとしている。

  • 今後のシリコンウェハ出荷に関する3つのシナリオ

    今後のシリコンウェハ出荷に関する3つのシナリオ

ウェハファブ材料予測

AIデータセンターの建設とHBM需要により、ウェハ1枚当たりの先端材料の使用量(フォトレジスト、CMP、特殊ガス、ALD/CVDプリカーサ)が増加しており、シリコンウェハ出荷面積の回復が穏やかであるにもかかわらず、これらの材料セグメントでは2桁の成長が見込まれる。

しかし、バルクシリコンは依然として低迷しており、シリコン/SOIの売上高は2024年に約7%減となっている。ウェハ出荷量は成熟プロセスの継続的な弱さと在庫消化を踏まえれば、2022年のピークを2028年ごろまで上回ることが難しいとみられるとする。

パッケージング材料予測

先端パッケージング(HBMスタック、2.5D/3D、チップレット)は、アンダーフィル、モールドコンパウンド、再配線層、インターポーザ、ボンディング、熱伝導材料の急速な成長をサポートする役割を担う存在であるため、パッケージング材料市場の成長率はウェハファブ材料の成長率よりも大きくなることが期待される。

材料への支出は構造的に装置への支出よりもスムーズであると言える。ファブは、設備投資を抑止している期間であっても稼働が継続していれば、レシピを最適化し、材料を消費するためである。ただしAIブームにより、製品構成がAI関連用途(HBM、2.5D/3Dチップレット)へとシフトする点に留意する必要があるといえる。

AIはすでに生産品目や消費材料に変化をもたらしているが、バルクシリコンの出荷量を増加させるまでには至っていない。そのため半導体材料は、前工程装置よりも回復が遅れているといえる。