中国の商務部(日本の経済産業省に相当)が2026年1月6日付で発表した「商务部公告2026年第1号 关于加强两用物项对日本出口管制的公告(商務部公告2026年第1号:日本向けデュアルユース品目の輸出管理強化に関する告示)」に続き、翌7日にも「商务部公告2026年第2号 公布对原产于日本的进口二氯二氢硅发起反倾销立案调查(2026年商務部公告第2号:日本産の輸入ジクロロシランに対する反ダンピング調査を開始)」を発表した。同日より調査を開始し、調査終了は1年後を予定しているが必要があれば半年ほど延期をするともしている。

ジクロロシラン(化学式:SiH2Cl2)は、半導体製造においてSi酸化膜、Si窒化膜、単結晶Siエピ膜、多結晶Si膜、SiC膜などといったさまざまな成膜に不可欠の重要な特殊ガスで、日本製は超高純度で世界的に定評がある。日本の半導体ガス業界関係者によると、日本の主要サプライヤは、信越化学工業、大陽日酸(日本酸素ホールディング傘下)、住友精化、日本エア・リキードなどだという。

中国政府は、中国製の半導体製造材料はじめ産業用材料の日本への輸出規制に加えて、今度は日本製の半導体材料の中国への輸入に関してもさまざまな規制の検討をしつつあるようで、口先だけではなく見せしめともいえる実力行使に出てきたと言えよう。

中国産業界からの要請を受けて反ダンピング調査開始を決定

中国商務部は、中国のジクロロシラン業界の代表である唐山三福電子材料から2025年12月8日に提出された日本を原産とする輸入ジクロロシランに対する反ダンピング調査の申請を受理したことを踏まえて今回の調査を開始したと発表している。

中国商務部によると、「中華人民共和国アンチダンピング条例」の関連規定に基づき、1カ月にわたって申請者の資格、調査対象製品の関連情報、中国における同種製品の関連情報、調査対象製品の中国業界への影響、調査対象国の関連情報の予備審査を実施。その結果、「中華人民共和国アンチダンピング条例」の第16条に基づき、2026年1月7日より日本産の輸入ジクロロシランに対する反ダンピング調査を開始することを決定したとしている。ダンピング調査対象期間は2024年7月1日から2025年6月30日まで、損害調査対象期間は2022年1月1日から2025年6月30日までとしている。

中國商務部の報道官は、「この調査は、中国内産業界からの要請を受けて開始された。申請者が提出した予備的証拠によると、2022年から2024年にかけて、日本からのジクロロシランの輸入量は概ね増加したが、この間、価格は31%下落した。日本からの輸入品に対するダンピングは、国内産業界の生産と操業に損害を与えている。調査当局は申請を受理した後、中国の関連法律やWTO(世界貿易機構)規則に基づいて審査し、申請が反ダンピング調査を開始するための条件を満たしていると判断し、調査を開始することを決定した。捜査当局は法に基づいて捜査を行い、関係者全員の権利を全面的に保護し、捜査結果に基づいて客観的かつ公正な裁定を下す予定だ」と述べている。

利害関係者に反ダンピング調査参加登録を要請

また、中国商務部は利害関係者に対し、告示日から20日以内に商務部貿易救済調査局に、基本的な身元情報、中国への輸出入調査対象製品の数量と価格、生産・販売された類似製品の数量と価格、その他関連情報を提出し、反ダンピング調査への参加登録を行うよう要請しているほか、同調査の製品範囲、申請者の資格、調査対象国、およびその他の関連事項について意見を述べようとする利害関係者は、公告日から20日以内に商務部貿易救済調査局に書面による意見を提出することができるともしている。

なお、中国商務部は同条例 第20条に基づき、アンケート、サンプリング、ヒアリング、現地調査などの方法を用いて関係者からの状況把握を行う形で調査を進めるとしている。ジクロロシランの反ダンピング事案における外国輸出者または生産者向けには、企業構造と業務内容、調査対象製品、中国への輸出売上高、国内売上高、事業・財務情報、生産コストと関連費用、ダンピングマージン推定値、検証フォームなどの情報を尋ねるとしているほか、国内生産者向けには、企業の基本情報、国内市場における類似製品の状況、事業・関連情報、財務・関連情報、その他説明が必要な事項について、国内輸入者向けには、企業の基本情報、調査対象製品の貿易状況、関連情報をそれぞれ尋ねるとしている。

商務部の調査に際しては、利害関係者が事実をありのままに反映せず、関連情報を提供しない場合ならびに合理的な期間内に必要な情報を提供しない場合、またはその他の方法で調査を著しく妨害した場合はしかるべき裁定を下すことができるとしている。