TSMCは12月10日、2025年11月の連結ベースの売上高の速報値を発表した。

それによると、同月売上高は前月比6.5%減ながら、前年同月比24.5%増の約3436億1000万NTドルとなり、11月としての過去最高額を更新、単月売上高としても過去3番目の金額となったという(全体の過去最高額は2025年10月)。AI向けインフラ関連の需要が依然として高止まりしていることが見て取れる。

2025年1月から11月までの収益は合計3兆4,740億5,000万台湾ドルで、2024年の同時期と比較して32.8%増加し、同期間の売上高としては過去最高を記録した。

世界半導体市場統計(WSTS)が12月2日に発表した2025年通期の世界半導体売上高予測は前年比22.5%増であるが、AIチップの需要の継続的な高騰によりTSMCの2025年売上高は、それより10ポイント前後高まることが予想される。

  • TSMCの2025年11月の売上高概要

    TSMCの2025年11月の売上高概要 (出所:TSMC)

NVIDIAのH200の対中出荷許可はTSMCの追い風になるか?

米トランプ大統領は12月9日、自身のSNS(Truth Social)に「私は中国の習近平国家主席に、米国が国家安全保障の継続的な強化を可能とする条件のもとで、中国およびその他の国々の承認済み顧客へNVIDIA H200の出荷を許可することを伝えた。習主席は前向きな反応を示した。(同社の中国向け売上高の)25%が米国に支払われる。この政策は米国の雇用を支え、米国製造業を強化し、米国納税者に利益をもたらす」と投稿した。

これによりNVIDIAは中国向けに性能を落としたH200の対中輸出ができるようになる。AMDにも同様に対中輸出許可が出ている。いずれのAI半導体も生産はTSMCが担当しているので、TSMCの売上増加に寄与するだけではなく、台湾のモジュール組み立てメーカーにも恩恵をもたらすと台湾サプライチェーン関係者は期待している。

  • トランプ大統領のSNS(Truth Social)におけるNVIDIA H200対中輸出許可発言

中国市場で存在感を増す中国産AI半導体

NVIDIA H200はTSMCの4nmプロセスで製造されているが、過去1年間にわたって対中輸出規制の影響で需要が急減し、NVIDIAと台湾のモジュール組み立てメーカーは在庫を抱えることとなった。H200の対中輸出が再開されれば、ASE、Powertech、KYECといった台湾企業が、中国のAIおよびクラウド顧客による米国製AI半導体調達再開による直接的な恩恵を受けそうである。

TrendForceは、中国のハイエンドAI半導体市場が2026年に60%以上成長すると予測している。ただし、中国政府は、国内AI半導体の独立性を支援する政策を継続していくことが予想され、大手AI半導体設計企業が中国政府の恩恵を受けられる支援策がなされる可能性が高い。その結果、中国産AI半導体の中国市場でのシェアは約50%にまで増加する可能性がある。一方、NVIDIAのH200やAMDのInstinct MI325などの海外メーカー製AI半導体のシェアは約30%に留まるとも予想している。また、中国政府がこれら米国製のAI半導体に何らかの輸入障壁や使用制限を設けるか否かは不透明のままである。

  • 2026年の中国市場で入手できる主要AI半導体

    2026年の中国市場で入手できる主要AI半導体。NVIDIAとAMDはTSMCが生産。Huawei 910CはSMICが生産を担当 (出所:TrendForce)