出光興産と、宇宙用ソーラーアレイなどの製造・開発を手がける米国スタートアップ企業・Source Energy Companyは、宇宙市場向け次世代ソーラーアレイ製品の共同開発に関する覚書を締結し、戦略的協業を開始した。

  • 出光興産が開発する宇宙用CIGS太陽電池のサンプル

    出光興産が開発する宇宙用CIGS太陽電池のサンプル

この協業では、出光興産が培ってきた数十年にわたる太陽電池の研究開発・量産の知見と、Sourceが強みとする革新的かつコスト効率の高い宇宙用ソーラーアレイの開発・供給力を掛け合わせ、宇宙開発への寄与をめざす。

具体的には、出光興産の宇宙用CIGS太陽電池技術と、Sourceの先進的な宇宙用ソーラーアレイ技術を融合し、衛星などの宇宙機を対象とした革新的な宇宙用電源ソリューションの開発を進める。さらに両社は製品開発だけでなく、宇宙用太陽電池製品の供給体制の強靭化にも取り組む。

近年、衛星通信量の増加や地球観測ネットワークの拡大に伴い、宇宙産業の市場規模が世界的に拡大している。衛星など宇宙機の運用に不可欠な太陽電池は、過酷な宇宙環境への耐性など高い性能が求められ、これまではそうした性能を持つガリウムヒ素(GaAs)系太陽電池が宇宙用途の主流だった。しかし世界的な供給不足や衛星需要の急拡大を背景に、安定供給を実現する代替技術へのニーズが高まっているとのこと。

出光興産が独自に開発に取り組む宇宙用CIGS太陽電池は、30年以上に及ぶ研究開発と累計6GWを超える地上用太陽電池パネルの生産実績を持つ。さらに、高い放射線耐性、軽量性、量産性を備えていることから、衛星の安定稼働と長寿命化を実現する。なおCIGSとは、Cu(銅)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Se(セレン)の頭文字からなる化合物半導体のことを指す。

ソーラーアレイとは、複数のソーラーパネルを組み合わせ、展開機構(打ち上げ時に収納された構造物が宇宙空間で所定の形状に広がるための機能)を備えたシステムのことで、太陽電池全体の構成単位において最大の単位となるもの。放射線による劣化を起因とする出力低下を見越し、必要出力よりも大型のサイズで設計するのが一般的だという。

出光興産の宇宙用CIGS太陽電池は、放射線環境下でも高い出力を長期間維持できるため、大型化の必要性を低減できるのが強み。ソーラーアレイを利用する衛星の大幅な重量削減と、エンドユーザーである衛星メーカーのコスト削減にも寄与する。

  • セル、パネル、アレイの関係図

    セル、パネル、アレイの関係図

米Sourceは、地上用太陽電池の技術も活用し、信頼性を高めた宇宙用太陽電池製品の製造・供給で実績を積み上げてきたという。

今回の出光興産との協業により、Sourceは自社の製品群を拡大し、より高い放射線耐性が求められる軌道ミッション向けを中心とした需要の拡大に対応。また、出光興産の宇宙用CIGS太陽電池技術の実用化に備え、コロラド州ロングモントにある自社設備で、同技術に関する開発・試験を出光興産と共同で実施する。