ルネサスが800V直流AIデータセンター向けGaNソリューションを発表

ルネサス エレクトロニクスは10月13日、NVIDIAが提唱する800V直流AIデータセンターの電力ニーズに対応可能なGaN電源ソリューションを発表した

  • ルネサスの800V直流AIデータセンター向けGaNソリューション

AIサーバの消費電力は増大の一途をたどっており、それを収容するAIデータセンターには高い電力効率と拡張性が求められるようになっている。ワイドバンドギャップ半導体であるGaNは、高速スイッチング、低損失、高い熱耐性などにより、そうしたニーズに応えられるパワーデバイスとして期待されており、特にNVIDIAが推進するラック内への800Vの直流バスによる電力供給に対応可能で、配電による電力損失を低減し、高電流を安全に伝送するための金属部品である大電力配電バーの必要性を低減できるものとされている。

MOSFETやドライバなどと組み合わせることでさまざまなニーズに対応

また、DC/DC降圧コンバータを介して、既存の48V用電源部品を利用することも可能であり、同社のGaN電源ソリューションは、そうした48Vから400Vまでの幅広い動作電圧に対応するとしているほか、複数個使用することで最大800Vまでのスタック構成も可能としている。

さらに、LLC直流トランス(LLC DCX)トポロジに基づくDC/DCコンバータは最大98%の変換効率を実現するとしているほか、AC/DCフロントエンドについては双方向GaNスイッチを提供することで、整流回路設計の簡素化と電力密度の向上を図ることを可能としているとする。加えて、同社のMOSFET、ドライバ、コントローラを組み合わせることで、新規DC/DCコンバータ設計のBOM(部品表)を強力かつ高性能なものへとすることの可能だともしている。

ルネサスでは、高性能なGaN FETだけでなく、MOSFETやコントローラ、ドライバなどを含めた幅広い製品群の展開による高密度かつスケーラブルなエネルギーソリューションの提供を進めていくことで、将来の成長に欠かせない拡張性とともに、高い性能と効率をカスタマに届けていくとしている。

なお、NVIDIAによると、2025年10月13日時点の半導体に関するコラボレーションパートナーとしては、ルネサスのほか、AOS、Analog Devices、Efficient Power Conversion、Infineon Technologies、Innoscience、MPS、Navitas、onsemi、Power Integrations、Richtek、ローム、STMicroelectronics、Texas Instrumentsの各社の名前が挙がっている