本田技研工業の米国現地法人であるアメリカン・ホンダモーター(以下「Honda」)と、米国の宇宙関連民間企業であるAstrobotic Technology(以下「アストロボティック」)は9月30日、持続的な月面ミッションに対応するための拡張型統合電力システムの開発に向け、共同開発契約を締結したことを発表した。

  • 両社の技術を融合した電力システムのイメージ

    Hondaの循環型再生エネルギーシステムとアストロボティックのVSATを統合した電力システムのイメージ(出所:Honda)

循環型エネルギーシステムと垂直型太陽電池を融合

世界的に“月面開発”に向けた動きが活発化する中、Hondaが開発中の循環型再生エネルギーシステムは、同社独自の高圧水電解システムと燃料電池システムを組み合わせたもので、太陽エネルギーと水をもとにして継続的に酸素・水素・電気を製造する仕組みだ。月面で使用する場合には、昼の間に太陽光発電で生産した電気を使い、高圧水電解システムで水を電気分解することで、酸素と水素を製造してタンクに貯蔵するとのこと。そして夜間にはその酸素・水素を用いて発電し、居住スペースに電力を供給するという。

一方でアストロボティックは、さまざまな月面ミッションに対応するため、月面での持続的な電力供給を目的とした拡張可能な電力システム「ルナグリッド(LunaGrid)」を考案。同システムの主要構成要素である垂直型太陽電池システム(VSAT)は、太陽の位置に応じて自動で角度を調整する機能を備え、エネルギー収集の最適化が可能だとする。また10kWの電力を発電できるVSATに加え、50kWの超大型垂直太陽電池システム(VSAT-XL)も開発中であり、現在計画されている月面ミッションでの電力需要増加にも対応する予定だとしている。

そして今般両社は、アストロボティックのVSATにHondaの循環型再生エネルギーシステムを連携させることで、月面で太陽光が得られない夜間において持続的な電力供給を行う新システムの実現に向け、共同でのフィジビリティスタディ実施を決定。月面の南極におけるさまざまな地点にVSATおよびVSAT-XLを設置した場合の発電量をシミュレーションするとともに、それを踏まえて最適な循環型再生エネルギーシステムのサイズや仕様を検証するという。また併せて、両システムのハードウェア・ソフトウェアの統合性についても検証を行うとした。

  • VSATと循環型再生エネルギーシステムの設置イメージ

    VSATと循環型再生エネルギーシステムの設置イメージ(出所:Honda)

両社は、VSATにHondaのシステムを組み合わせることで、ルナグリッドの電力供給能力を大幅に拡大させると期待されるとしており、月面でのミッション遂行能力の向上、持続的な月面有人活動支援に加え、月面インフラ開発や将来の商業利用へ向けた電力供給などへの貢献を目指し、今回の共同フィジビリティスタディに取り組むとしている。