中国企業が液浸露光装置を開発

米国の対中半導体および製造装置輸出規制の下で、半導体技術の自給自足をめざす中国勢が、NVIDIAに対抗するため国産AIチップ開発を国を挙げて推進してる。そんな中、中国最大のファウンドリであるSMICが地元の新興企業Yuliangsheng Technology(上海宇量晟科技)が開発した液浸DUV露光装置をAIチップ製造に試用する目的で評価中であると英Financial Timesが報じている

業界関係者によれば、Yuliangshengが開発したのは、28nmプロセスをターゲットにした液浸DUVスキャナだという。すでにSMICは、ASMLの28nmプロセス向けDUVスキャナで、マルチパターニングによりHuaweiのスマートフォン(スマホ)向け7nmプロセス採用Kirinプロセッサを製造した実績がある。Yuliangshengの液浸DUVも同様に、マルチパターニングで露光・エッチング(Litho-Etch)を繰り返すことで7nm、さらには5nmプロセス実現を目指してしているようである。ちなみにこの露光装置には、一部、外国製の部品が使われている模様だが、商品化までには、すべて中国製部品に置き換えるという。

現在、オランダ政府は米国政府の要請でASMLの液浸DUV露光装置の中国企業への輸出を禁止しているが、SMICの使用しているASML製液浸DUV露光装置は、輸出規制の発効前に合法的に入手したか、第3国から入手した中古品である。

中国勢はEUV露光装置も開発中か?

すい星のごとく現れた正体不明の新興企業Yuliangshengには、深圳に拠点を置くSiCarrier(新凱来技術)が出資しており、このSiCarrierは通信機器大手Huaweiの関連企業である。このSiCarrierも、中国深圳で2021年に設立されたばかりの新興半導体製造装置メーカーであり、これまで実態が不明だったが、今年3月に上海で開催されたSEMICON Chinaではじめて公の場に姿を現した。SiCarrierブースには、化学的気相成長法(CVD)と原子層堆積法(ALD)などの成膜装置や、アニール(熱処理)装置、エッチング装置など半導体の回路を形成する「前工程」向けの製造装置、さらにはデバイス特性検査装置などがずらりと並び、「第2のNAURA(中国最大の総合半導体製造装置メーカー)」誕生かと参加者を驚かせていた。

SiCarrierはエッチング装置に武夷山、エピタキシャル製品には峨眉山など、中国を象徴する山々にちなんだ名前を付けることが多い。Financial Timesによれば、SiCarrierはHuaweiの支援を受けてEUV露光装置も開発中とのことで、その開発プロジェクトには「エベレスト」という社内コードネームが付けられているという。やはり、開発がいかに挑戦的か自覚しているようである。中国は、国家の威信をかけてこのエベレストに挑み続けており、もしも商品化に成功したら、世界の半導体勢力地図は塗り替えられ、世界最大の半導体消費市場である中国が製造面でも大きな存在感を持つ可能性が出てきたといえる。