モバイルグラフィックス向けニューラルテクノロジーをArmが発表

Armは8月12日、コンピュータグラフィックスに関する世界最大級のカンファレンス「SIGGRAPH」にて、より効率的なモバイルグラフィックスを実現する「Armニューラルテクノロジー(Arm Neural Technology)」を発表した。

同技術は、ArmのGPUに専用のニューラルアクセラレータを追加することで、PC品質のAI搭載グラフィックスをモバイルで実現するもの。例えば、Arm Accuracy Super Resolution(ASR)を基盤としたAIベースのグラフィックスアップスケーリングエンジン「Arm Neural Super Sampling(NSS)」を利用することで、540pから1080pへのアップスケーリングをフレームあたり4ミリ秒という低コストで実現しながら、ネイティブに近い高品質な描画を実現できるようになるという。また、この場合、従来のフルフレームをレンダリングする手法と比べて、GPUワークロードを最大50%削減できるようになり、リソースをゲーム全体の消費電力の削減に回したり、フレームレートやビジュアル品質の向上に活用することが可能になるともしている。さらに、NSSにより、開発者はAIを活用してサーフェスディテール、ライティング、モーションの鮮明さを維持できるため、ゲームの要件に応じて、ビジュアルの忠実性とエネルギー効率のバランスを柔軟に調整することも可能になるともする。

NSSのデモ動画

開発キットも提供

このほか同社は、AIを活用したレンダリングを既存のワークフローに統合し、ハードウェアの提供に先駆けて1年早く開発を開始できるよう設計されたニューラルグラフィックス開発キットも発表しており、同キットにはモバイルゲームでAI駆動のビジュアルを統合・カスタマイズするために必要な機能として、「Unreal Engine用プラグイン」、「PC上で動作するVulkanエミュレーション」、「更新されたプロファイリングツール」、「GitHubおよびHugging Faceで入手可能な公開済みオープンモデル」、「Vulkan用のArm ML拡張機能」などを含んでいるという。

同社では、Vulkan向けに提供されるオープンなArm ML拡張機能により、開発者は使い慣れたレンダリングパイプラインにAIを直接統合することが可能になるとしているほか、従来のVulkanは、グラフィックスパイプラインとコンピュートパイプラインの2つをサポートしているが、Armの拡張機能では、ニューラルネットワーク推論に特化して設計された3つ目のパイプライン「Graph Pipeline」が導入されることとなり、これによりAIをグラフィックスパイプラインのネイティブな構成要素として、モバイルレンダリングに組み込むことが容易になるとしている。

2026年には新たな機能を追加予定

なお、Armでは2026年にはニューラルテクノロジーの応用分野を拡大し、AIを活用してレンダリング負荷を増やすことなくフレームレートを倍増させる「Neural Frame Rate Upscaling」やピクセルあたりのレイ数を削減しながらモバイルでリアルタイムパストレーシングを実現する「Neural Super Sampling and Denoising」を提供する予定としており、これらの技術はハードウェアの提供に先行して利用可能になるとする。