ロームが半導体製造のEDS工程に量子技術を適用
ロームは7月10日、半導体製造工程に量子技術を活用することで、従来比でセットアップ時のロスを40%削減することに成功したことを発表した。
この取り組みは、同社と量子計算と古典計算を融合させた高度アルゴリズムを活用し、企業の複雑なビジネス課題を解決するソフトウェアを開発する早稲田大学発スタートアップ「Quanmatic」との共同実証に基づくもの。
具体的には、半導体製造工程の一部で、ウェハ上に形成したチップの電気的特性をテストする工程である「EDS(Electrical Die Sorting)工程」にQuanmaticが持つ、早稲田大学・慶應義塾大学の研究に基づく量子計算技術効率化のプロダクト群や、量子と古典計算技術を駆使した計算フレームワークおよび専門的な定式化技術に、ロームが蓄積してきた製造に対する知見とノウハウ、各種データを融合させた最適化計算システムを導入。その結果、セットアップ時のロスを従来比40%削減できることを確認したという。
半導体前工程への量子技術の適用範囲拡大を検討
なお、今回の結果を受けて両社は、より大規模で複雑な前工程に対しても同様に量子技術を活用した最適化計算システムを導入できないかといった協議を開始済みとしており、EDS工程での実証・導入で得られた知見を活かすことで、短期間での構築を実現。2025年1月にプロトタイプを完成させ、2025年4月にはローム浜松の一部エリアで実証実験に成功したとのことで、今後の本格導入に向けて検討を進めていくとしている。
今後、両社は、引き続き連携を深めるとともに、前工程、EDS工程両方における複数工場への展開を目指して取り組んでいくとしている。