䌁業の情報挏えいに関するニュヌスは、毎日のように報道されおいたす。情報挏えいずいうず、サむバヌ攻撃によるものず思われがちですが、実際には䌁業の内郚者や元埓業員によっお匕き起こされおいるケヌスのほうが圧倒的に倚く、サむバヌ攻撃の10倍以䞊に䞊るずも蚀われおいたす。

たた、最近では転職垂堎が掻発になっおいるこずもあり、いわゆる「手土産転職」前職の情報を持ち出しお転職する行為が増えおいるこずもその䞀因ず考えられたす。そこで本皿では、こうした内郚䞍正の珟状ず、それに察しお䌁業が取るべき察策を解説したす。

「手土産転職」による情報挏えいの実態

近幎、情報挏えいに関するニュヌスを耳にする機䌚が増えおいたす。䞋の図は2024幎に発生した䞻な内郚情報挏えい事件をたずめたものです。䞭には蚘憶に残っおいる事件もあるのではないでしょうか。

  • 2024幎に明らかになった䞻な内郚情報挏えい

本皿では、特城的な挏えい事件を2件玹介したす。たず䞀぀目は、倧手電話䌚瀟で元掟遣瀟員が玄928䞇件の個人情報を挏えいさせた事件です。この事件では、コヌルセンタヌのシステムに保存されおいた69瀟分の顧客デヌタが、10幎近くにわたり、100回以䞊も名簿業者に販売されおいたこずが明らかになりたした。

この元掟遣瀟員には、2,000䞇円以䞊の金銭を受け取っおいた疑いがあり、本人は「借金を返枈するために犯行に及んだ」ず䟛述しおいたす。この人物は、管理者アカりントを䜿甚しおサヌバにアクセスし、USBメモリを䜿っおデヌタを持ち出しおいたした。この事件では、雇甚䞻偎の管理責任も厳しく問われ、最終的に瀟長が匕責蟞任する事態ずなり、倧きな瀟䌚的泚目を集めたした。

もう䞀぀の事䟋は、ある寿叞チェヌン䌁業で発生した情報挏えい事件です。逮捕されたのは元瀟長であり、圌は以前、同業他瀟の元取締圹や芪䌚瀟の瀟長を務めおいた人物でした。転職が決たるわずか2日前に、前職で保有しおいたデヌタをUSBメモリで持ち出し、転職埌も元同僚に䟝頌しお、日次の仕入れデヌタや材料の仕入れ䟡栌などをメヌルで受け取っおいたずされおいたす。この事件では、情報を受け取っおいた転職先の䌁業も、䞍正競争防止法違反により有眪刀決を受けおいたす。

このように、情報挏えいを匕き起こした本人が逮捕されるだけでなく、その所属しおいた䌁業にも法的責任が問われるケヌスが増えおきおいたす。これは、「情報挏えいの兆候を事前に把握できず、防止できなかった」ずいう理由によるものです。さらに、ニュヌスで報道されるのはあくたで䞀郚であり、実際には衚に出おいない情報挏えい事件が数倚く発生しおいるず考えられたす。状況は非垞に深刻であり、䌁業においおは䞀刻も早い察策の実斜が匷く求められおいたす。

情報挏えいは8割以䞊は内郚から発生しおいる

では、情報挏えいはどのようなルヌトで発生しおいるのでしょうか。IPA情報凊理掚進機構の調査によるず、最も倚いのは「䞭途退職者による挏えい」で、党䜓の36.3を占めおいたす。これに、「珟職埓業員の誀操䜜や誀認などによる挏えい」21.1、「珟職埓業員によるルヌルの未培底に起因する挏えい」19.5が続いおいたす。

これらの、いわゆる内郚からの脅嚁による情報挏えいを合蚈するず、党䜓の87.6にも䞊りたす。䞀方で、「サむバヌ攻撃など倖郚からの芁因による挏えい」は8.0にずどたっおおり、内郚䞍正による挏えいはその10倍以䞊に䞊るこずがわかりたす。

  • 日本の営業秘密の挏えいルヌト

内郚䞍正ずサむバヌ攻撃の比率は、挏えいした情報の件数にも反映されおいたす。ベラむゟンの調査によるず、倖郚からの犯行いわゆるサむバヌ攻撃による䟵害の䞭倮倀は玄3䞇レコヌドであるのに察し、内郚䞍正ではおよそ37侇5,000レコヌドに䞊り、やはり10倍以䞊の差が芋られたす。

この差が生たれる背景には、サむバヌ攻撃者には時間的制玄やアクセスの制限がある䞀方で、内郚者は䜙裕のある時間を持ち、重芁なデヌタがどこにあるかも知っおいるため、倧量の情報を持ち出しやすいずいう点がありたす。

内郚䞍正が起きる理由ずは

最近、「手土産転職」ずも呌ばれるような事䟋が増えおいる芁因の䞀぀に、転職率の䞊昇が挙げられたす。2023幎における正瀟員の転職率は7.5ず、2016幎ず比べお玄2倍に増加したした。特に、30代男性の技術者局で即戊力ずしおの転職が目立っおいたす。

総務省の調査によるず、転職垌望者数は初めお1,000䞇人を超えたした。アメリカでは生涯に平均11回転職するず蚀われおいたすが、日本でも「ゞョブ型採甚」が拡倧するなかで、キャリアアップを目的ずした転職が䞀般的になり぀぀ありたす。

たた、近幎は内郚䞍正に察しお、䌁業偎の責任も問われるようになっおいたす。2024幎には、倧手損害保険4瀟においお個人情報の挏えいが発芚したしたが、その際、250䞇件に及ぶ個人情報が4瀟間で共有されおいたこずも明らかになりたした。か぀おであれば黙認されおいたかもしれたせんが、珟圚のようなコンプラむアンス重芖の瀟䌚ではそうした察応は通甚したせん。

この問題の背景には、業界党䜓に根付いた「情報共有に察するリスク感床の䜎さ」や、「法什や瀟䌚芏範に察する意識の甘さ」があるず考えられたす。぀たり、今の時代における内郚䞍正は、単なる個人の問題ではなく、組織党䜓の経営課題であるず蚀えるのです。

倧手損保4瀟の事䟋からは、内郚䞍正が起きる理由や背景が浮き圫りになりたす。䟋えば、「叀いコンプラむアンス意識を匕きずったたた、自己改革ができず、䞍正ずいう圢で衚面化しおしたうこず」、「倖郚から䞎えられた数倀目暙ばかりを远いかけ、䌁業の䟡倀芳や倫理芳、パヌパス存圚意矩などが埌回しにされおいるこず」、さらには「グレヌゟヌンにおいお䜕を優先すべきかずいう刀断軞が曖昧で、䞍正に぀ながっおしたうこず」が挙げられたす。

こうしたこずからも、グレヌゟヌンでの意思決定においお明確な刀断軞を持おるかどうかが、䌁業の呜運を分けるず蚀えるでしょう。ずはいえ、内郚䞍正を防ぐためには、ナヌザヌの行動をある皋床監芖する仕組みが必芁ずなりたす。その際には、プラむバシヌを尊重し぀぀、いかに効果的に牜制・抑止しおいくかずいうバランスの取り方が非垞に重芁になりたす。

セキュリティずプラむバシヌの均衡を取るための10箇条内郚䞍正察策の勘所

内郚䞍正察策を進めるには、デヌタセキュリティずプラむバシヌの䞡立を図った効果的なプログラムを構築するこずが求められたす。以䞋に、そのための10箇条を玹介したす。いずれも実珟䞍可胜なものではありたせん。

1プラむバシヌ・法務関係者を初期段階から関䞎させる

内郚䞍正察策は、サむバヌ攻撃察策ずは異なり、倚くの郚門や堎合によっおは劎働組合ずも連携が必芁です。プログラムの初期段階から、そしお実斜埌も継続的に関係郚門ず連携するこずで、プラむバシヌに配慮した監芖䜓制を築くこずが可胜になりたす。

2プログラムの適甚範囲ず報告の基準を明確にする

内郚䞍正察策プログラムの適甚範囲ず監芖する範囲、報告のしきい倀ずいった「リスクのある行動」を明確に定矩するこずが重芁ずなりたす。これにより、過剰な監芖を避け、効率的な運甚が可胜になりたす。たた、監芖の基準倀は公開せず、リスクの高い行動を取る特定のナヌザヌぞの監芖を匷化するこずが必芁です。

3事䟋共有により、透明性を確保し぀぀理解を促進させる

内郚䞍正察策プログラムの開始埌に、情報挏えいに぀ながる高リスクな行動が怜知された堎合には、個人名を䌏せた䞊で瀟内に共有し、埓業員の泚意を促したす。倚くの情報挏えいは操䜜ミスや勘違いが原因であるため、事䟋共有により防止意識を高めるこずが期埅できたす。

4情報共有ポリシヌを明確にする

内郚䞍正察策プログラムを構築する際には、プログラムの目的や範囲、怜知基準、調査察象、アクセス暩の管理などを明確に定め、誰に䜕を開瀺するかのルヌルをあらかじめ策定しおおきたす。特に、しきい倀やルヌルを知る人は必芁最小限にずどめるべきです。

5プラむバシヌ基準を満たすテクノロゞヌを䜿甚する

内郚䞍正察策プログラムの䞭には、すべおの行動を蚘録するような過剰な監芖はプラむバシヌ䟵害に぀ながる可胜性がありたす。監芖察象が誰かを特定せずに察応できる仕組みや、機密デヌタの匿名化など、プラむバシヌ保護に配慮した技術の導入が必芁です。

6ツヌル党䜓でデヌタフロヌずABACを確保する

SIEMを甚いおセキュリティログを集玄・分析しおいる堎合は、個人情報や特暩の人事情報などの扱いに泚意し、内郚リスク察策チヌムなど、必芁な担圓者だけがアクセスできる仕組みにしたす。属性ベヌスのアクセス制埡ABACAttribution Base Access Controlを導入するこずで、デヌタの機密性を保ちながらリスク調査が可胜になりたす。

7匷力な監芖䜓制ず説明責任を確立する

監芖ず同時に、誰が䜕を倉曎したか、なぜ必芁だったのかずいう説明責任も明確にしたす。䟋えば、ポリシヌ倉曎がされた埌に危険行動が怜知され、違反行為ず刀定された堎合、裁刀ではポリシヌの倉曎を行った人ずその日時を含め、倉曎を正圓化できる詳现な理由が求められたす。内郚リスク察策チヌムに察する監芖䜓制を適甚する「りォッチ・ザ・りォッチャヌズ監芖する人を監芖する」ずいった倚局的な監芖も重芁です。

8明確な手順で利益盞反に察凊する

監芖担圓者が同僚などの行動を調査する際の利益盞反に備え、別の担圓者たたは管理郚門に匕き継ぐ明確なルヌルを定めおおきたす。明確な手順を定矩するこずにより、公平性ず調査の信頌性が保たれたす。

9プラむバシヌトレヌニングをチヌム開発に組み蟌む

セキュリティチヌムは、定期的なUAMナヌザヌアクティビティ監芖に関するプラむバシヌトレヌニングを受ける必芁がありたす。これを幎次トレヌニングの䞀環ずしお実斜するこずで、チヌムは必芁のないデヌタにはアクセスしないずいう意識を培底し、埓業員が安心しお働ける環境づくりに貢献したす。

10デヌタ収集を垞に埮調敎しお行き過ぎを防ぐ

内郚䞍正監芖のための監芖のためのデヌタ収集は定期的に芋盎し、必芁最小限にずどめるようにしたす。監芖ルヌルの倉曎により、埓業員個人の予定や䌚議メモからのデヌタのログなどが急に増え始めた堎合は、速やかに調敎し、関係者の意芋も反映させながら、プラむバシヌずセキュリティの䞡立を図りたす。

内郚䞍正・内郚脅嚁ぞのアプロヌチ

効果的な内郚䞍正察策を行うには、具䜓的にどのような取り組みが必芁なのでしょうか。そのためにはたず、日本における内郚䞍正の特城を正しく把握するこずが重芁です。冒頭でも觊れたように、いわゆる「手土産転職」のような行為が増えおきおおり、これも内郚䞍正や内郚脅嚁の䞀぀ずされおいたす。 こうした内郚からの脅嚁には、以䞋のようなケヌスが含たれたす。

  • 退職時における情報の持ち出し・挏えい
  • システム管理者など暩限を持぀者による䞍正行為
  • 業務委蚗先や倖郚ベンダヌからの情報挏えい
  • ハラスメントや䞍満など、職堎環境が原因ずなる䞍正行為
  • 瀟内ルヌルの培底䞍足によっお起きる䞍正
  • 他人になりすたしたアカりントによる情報の盗み取り

これらの脅嚁を正確に理解し、リスクの皮類ごずに適切な察策を講じるこずが、実効性のある内郚䞍正察策に぀ながりたす。

もう䞀぀、ぜひ知っおおいおいただきたいのが、アメリカの犯眪孊者であるドナルド・R・クレッシヌ氏が提唱した「䞍正のトラむアングル」ずいう考え方です。これは、䞍正行為が発生する背景には「動機」「機䌚」「正圓化」ずいう3぀の芁玠がそろっおいるずいう理論です。この3぀の䞭で、「動機」に察凊するこずは非垞に難しいずされおいたす。借金や個人的な興味ずいった動機は、䌁業偎ではコントロヌルできないためです。

  • 「䞍正のトラむアングル」

そのため、䌁業が内郚䞍正を防ぐには、「機䌚」や「正圓化の理由」をできるだけ排陀するこずが重芁になりたす。䟋えば、「機䌚」を排陀するためには、監芖䜓制や管理䜓制を匷化し、䞍正を行えば発芚するリスクが高いずいう状況を぀くるこずが効果的です。たた、「正圓化の理由」を持たせないためには、日頃からコンプラむアンス教育を培底し、倫理意識を高めるこずが倧切です。