Intelが最高技術・AI責任者を任命
Intelで2020年から最高戦略責任者(CSO)を務めてきたサフロドゥ・イェボア・アマンクワ(Safroadu Yeboah-Amankwah)氏が6月30日付で退任し、その職務の一部を新たに最高技術・AI責任者に任命されたサチン・カッティ(Sachin Katti)氏が引き継いだとする報道を複数の海外メディアがIntel内部情報として伝えている。この件は同社広報も認めているという。 。
Katti氏は、Intelのネットワーク&エッジグループのゼネラルマネージャーを務めてきた人物で、インド工科大学ボンベイ校で電気工学の工学士号を、米マサチューセッツ工科大学(MIT)で電気工学とコンピューターサイエンス(CS)の博士号をそれぞれ取得。同社入社前はスタンフォード大学工学部電気工学科兼CS学科の教授を務めていたほか、ネットワークとAI分野に向けたスタートアップを複数創業してきた経験も有している。
Katti氏の経歴は、現在、Intelが向かおうとしているAIと先端プロセスへの注力という方向性と合致するものと見られている。昨年、Micron TechnologyからIntelのEVP/COO/CTOへと転身したNaga Chandrasekaran氏もインド・マドラス大学の出身で、インド出身人材の拡充を図っているように見える。
NVIDIAが中国清華大学出身のAI専門家2名を登用
Intelがインドの人材を重用する一方、MetaやGoogleは中国出身の人材確保を加速させている。NVIDIAもその波に乗るように、このたび中国清華大学出身のBanghua Zhu氏とJiantao Jiao氏という2人のAI研究者を迎え入れたことが、彼らのSNSへの投稿から明らかになった。
Zhu氏は、米ワシントン大学電気・コンピュータ工学部の助教(Research Associate)を務めていた人物。2018年に清華大で電気電子工学の学士号を、2024年にカリフォルニア大学バークレー校で電気工学とコンピュータサイエンスの博士号を取得した。同氏は自身のSNSへ、NVIDIAの推論とマルチモーダル基盤モデルを活用したエンタープライズAIエージェントを開発チームである「Star Nemotron」に加わり、応用研究に注力していく予定であると投稿している。
一方のJiao氏は、カリフォルニア大学バークレー校の電気工学部とCS・統計学部の助教で、米スタンフォード大学で電気工学の博士号を取得しており、NVIDIAでは、汎用人工知能(AGI)と超知能の領域を発展させるとしている。
NVIDIAのこうした人材確保の動きは、世界のテック大手による「中国系AI人材争奪戦」の一端を示しており、NVIDIAが今後どのようなAIイノベーションを展開するか注目されている。
なお、シンクタンクのポールソン研究所(Paulson Institute)傘下にある調査機関の報告によると、中国の研究者は2023年に米国における一流AI人材の26%を占めているという。この割合は米国研究者の28%に次ぐ多さだと香港の有力英字紙South China Morning Starが伝えている。