次世代パワー半導体材料として期待されるルチル型二酸化ゲルマニウム
Patentixは6月30日、次世代のパワー半導体材料として期待されるルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)のバルク結晶の合成に成功したことを発表した。
r-GeO2は、バンドギャップ半導体と呼ばれるSiC(3.3eV)やGaN(3.4eV)と比べてもバンドギャップが4.68eVと広く、SiCを上回る省エネ効果を得られることが期待されている次世代のパワー半導体材料。同程度のバンドギャップを持つ半導体材料として酸化ガリウム(Ga2O3)があるが、それと比べて不純物ドーピングによるp型の発現が理論的に予測されており、より幅広いデバイスへの応用が期待できるとされている。
合成されたルチル型二酸化ゲルマニウムの特長
r-GeO2の性能を最大限に発揮するためには、結晶欠陥(転位)の少ないr-GeO2バルク結晶基板上に高品質なr-GeO2結晶薄膜をホモエピタキシャル成長させる技術を開発することが求められるが、r-GeO2のバルク結晶は融液を用いた合成が困難であるため、これまでr-GeO2バルク結晶の合成に成功したという報告例は少なかったという。
今回、同社は約15mmのr-GeO2のバルク結晶の合成に成功。粉末状にしたもの対象としたX線解析法での構造評価から、ほとんどのピークがr-GeO2由来のものであること、ならびに結晶のファセット面の評価から、ファセット面は(110)面であることが確認されたという。
また、(110)面に対してビッカース硬度測定を行った結果、Si(1150HV)よりも硬い1610HVであることを確認。この値は、SiCの2500~3000HVやGaNの1800~2000HVよりも柔らかく、同社ではr-GeO2は比較的加工性に優れた材料であることが示されたとする。
なお、同社では今後、今回の成果を踏まえる形でr-GeO2のバルク結晶の開発を加速させていき、種結晶として活用した大口径化や高品質化を通じた市場投入を目指していきたいとしている。